“パリ五輪”に向けた最後の戦いが始まる
“パリ五輪”開幕まで2カ月弱。5月14日に開幕する”ネーションズリーグ”で、バレーボール女子日本代表は出場権獲得に向けた最後の戦いに挑む。
昨秋、東京で開催された五輪予選で、当時世界ランク8位だった日本は、1位のトルコ、4位のブラジルにフルセットの末に惜しくも敗れ、出場権を獲得することができなかった。
開催国のフランスを含めた7カ国が出場を決める中、残る枠は5つ。そのうち2つはアフリカ、アジアの世界ランク最上位国が獲得し、残る3枠はすでに出場権を獲得した国と、上記のアフリカ、アジア枠を除いた中での世界ランク上位3カ国に与えられる。
現在、世界ランキング9位の日本が出場権を得るためには、6位の中国を上回りアジア最上位に入ること。中国にポイントが及ばなかった場合は、5位のイタリア、10位のオランダ、11位のカナダ、12位のドイツなどと争い、上位3カ国に入ることが絶対条件だ。
“ネーションズリーグ”参加国の世界ランキング
1位:★トルコ(397.46)
2位:★アメリカ(358.62)
3位:★ブラジル(352.55)
4位:★セルビア(350.86)
5位:イタリア(338.97)
6位:中国(329.65)
7位:★ポーランド(327.89)
8位:★ドミニカ共和国(308.86)
9位:日本(305.09)
10位:オランダ(287.94)
11位:カナダ(265.66)
12位:ドイツ(228.36)
13位:タイ(222.00)
15位:★フランス(184.99)
20位:ブルガリア(165.39)
40位:韓国(93.72)
( )内はポイント
★印:パリ五輪出場権獲得
内容も問われる世界ランキングのポイント
世界ランキングは1試合ごとに加算、減少される。しかも、ただ単に勝てば何点と決まっているわけではなく、自国よりも上位につける国に、よりよいセット率で勝利すれば、加算されるポイントは増え、反対にランキングが下回る相手に敗れると、減少するポイントも増える。
日本が15日に初戦で戦うトルコ戦を例にするならば、勝敗の違いによる世界ランクの変動は以下の通りだ。
◆日本がトルコに勝利の場合(数字はセットカウント)
日本 3-0 トルコ:日本に+14.9ポイント/トルコは-14.9ポイント
日本 3-1 トルコ:日本に+12.4ポイント/トルコは-12.4ポイント
日本 3-2 トルコ:日本に+9.9ポイント/トルコは-9.9ポイント
◆トルコが日本に勝利の場合
日本 0-3 トルコ:日本は-5.1ポイント/トルコは+5.1ポイント
日本 1-3 トルコ:日本は-2.6ポイント/トルコは+2.6ポイント
日本 2-3 トルコ:日本は-0.1ポイント/トルコは+0.1ポイント
つまり、ランキング上位のチームに勝てば、それだけ世界ランクも上昇する可能性がある。五輪出場を争う各国に勝利することはもちろんだが、すでに五輪出場を決めたトルコ、アメリカ、ブラジルといった国々に勝利すれば得られるポイントも大きい。
とはいえ五輪出場を決めた国にとっても、五輪本番の組み合わせに世界ランキングが影響してくることから、簡単にポイントを失うわけにはいかない。すべての国にとって、”ネーションズリーグ”は五輪出場や代表入り、さらには五輪でのメダル獲得に向けて負けられない試合が続くことに変わりはない。
熾烈な五輪代表メンバー争い
パリ五輪の出場権獲得に加え、女子バレー日本代表にとって、五輪本番を見据えれば今大会は世界ランキング上昇に加え、熾烈なメンバー争いを繰り広げる最中の大会でもある。
五輪予選や世界選手権といった主要国際大会が、ベンチ入り14名であるのに対し、五輪は12名にリザーブの1名を加えた13名のみ。それぞれのポジションで、試合出場の機会を勝ち取るために最後の実戦、各選手にとっては大きなアピールの場でもある。
“アウトサイドヒッター””オポジット””ミドルブロッカー””セッター””リベロ”と、すべてのポジションで誰がコートに立つ権利を得るのか。それぞれの長所やバランスを考慮したうえで、最終メンバーが確定するのだが、やはりその中心になるのは主将の”古賀紗理那”だ
“古賀紗理那”はプレーでも精神面でもチームの中心
所属する”NECレッドロケッツ川崎”では”Vリーグ”と”皇后杯”を2連覇。それぞれの大会でMVPも受賞した、まさに日本を代表する女子バレーボール選手でもある。特に今季はジャンプの高さが向上し、2枚、3枚と複数揃ったブロックにもひるむことなく、時に上から打ちつける攻撃力で、チームを勝利に導いてきた。