互いのプライドをかけて臨む最終決戦
前週、5月18日と19日に行われたNTTリーグワン2023-24 プレーオフトーナメント準決勝で死力を尽くした “東京サントリーサンゴリアス“(以下、東京SG) と “横浜キヤノンイーグルス“(以下、横浜E)。
惜しくも決勝の舞台である国立競技場で、シーズン・ラストマッチを行うことが叶わなかった両チーム。激闘からわずか一週間弱で、身体のメンテナンスはもちろん、モチベーションを再度引き上げていくのは至難の業。
「負けたら終わりという試合を2試合もできるのは、チームにとってとても良い経験になる」と横浜E・田村 優選手がこの試合の大きな意義を話せば、「どの試合であれ、どの選手が出てもサントリーのラグビーをやりきることが伝統を継承すること」と東京SG・堀越 康介主将選手もこの試合にかける思いを話します。
お互いのプライドをかけ、決勝戦に勝るとも劣らないモチベーションを持って臨んだ3位決定戦は、スタジアムのファン9,509人の熱気を巻き込んだ最後まで見応えある一戦となりました。
パラリンピック日本代表のエースも
今季リーグワン・ラストゲームとなる秩父宮ラグビー場の場外広場は、この日も多くのファンたちが集まっています。
その一角では、この日も “車椅子ラグビー” 体験会が催され、その会場には来たるパリ・パラリンピックでの金メダル獲得に欠かせないキーマンの姿がありました。
「お久しぶりです!」と爽やかな笑顔で迎えてくれた人こそ、車椅子ラグビー日本代表の橋本 勝也選手なのです。6月6日から9日にかけ、カナダで開催される国際大会を経て、いよいよパリでの決戦に臨む大事な時期ですが、所属する “TOHOKU STORMES” の若狭 天太選手と共にラグビーファンたちと笑顔で交流しています。
パリパラも近くなり、テレビでの露出が増えてきた橋本選手は、「自分が出演することで、パリパラでの注目度が上がることは嬉しいですが、取材を受ける目的は他にあるんです」と話し始めます。
「ご存じの通り、車椅子ラグビーをプレーできる環境はまだまだ少ないです。パリパラでの活躍を通じて、多くの方に競技の魅力を知って欲しい。そしてパリパラ後に地域の体育館やアリーナをもっと貸していただけるきっかけになればと」と、切実な練習環境の改善を願う橋本選手。JournalーONEもその役割を少しでも果たせるよう、様々な場面で車椅子ラグビーを応援していきたいと思います。
多彩な攻撃で横浜Eが主導権
前週の準決勝(vs 埼玉パナソニックワイルドナイツ)後半、怒濤の攻撃を見せた横浜E。この試合は序盤からエンジン全開で主導権を握りました。
先ずは前半3分、敵ゴール前でアタックを見せた横浜Eは、東京SGのディフェンスが多いとみるや、CTB(センター)のJesse Kriel(ジェシー・クリエル)選手が左に大きくキックパス。これは阻まれたものの、今度は左サイドから右サイドラインへキックパス。これがWTB(ウイング)松井 千士選手にわたってトライ。SO(スタンドオフ)田村選手のGも決まって7-0と先制します。
しかし、プライドをかけて臨む東京SGは12分、SH(スクラムハーフ)の齋藤 直人選手から、LO(ロック)Trevor Hosea(トレヴァ・ホゼア)選手、FL(フランカー)桶谷 宗汰選手の重量アタックで敵ゴール正面まで突進。ここからモールから出たボールを、FB(フルバック)松島 幸太朗選手が受けてトライ。高本 幹也選手のGで7-7の同点に追いつき会場を沸かせます。