地元・掛川が待ち望んだ交流戦初戦
女子ソフトボール “ニトリJDリーグ” の第7節。静岡県掛川市にあるいこいの広場野球場で行われた “NECプラットフォームズレッドファルコンズ” と ”タカギ北九州ウォーターウェーブ” の一戦。
前節の地元・北九州ラウンドでの接戦をものにできなかったタカギ北九州。交流戦を契機に、今シーズンの粘り強い戦いを取り戻すべく臨む。
一方のNECは、前節で終盤までもつれた投手戦を制してチーム状態は上向き。第3節で果たせなかった “地元勝利” に向け、久保田 崇掛川市長と石川 紀子同副市長も応援に駆け付けるなど、大きな期待を受けてグラウンドに立つ。
茶の主な産地として有名な静岡県だが、中でも掛川市の茶産出額は県内屈指。その地元名産品である “掛川茶” で日本中から観戦に来たファンをおもてなししようと、この日は掛川市が無料の呈茶ブースを出展。時折強い日差しが照り付ける中、後味に深みのある冷茶を求めて多くのファンが喉を潤した。
初回に飛び出すビックプレー
NECの先発・山本 すみれは、「ブルペンから決して良い調子ではなかった」と “推しのソ” 清原 奈侑捕手が試合後に語った通り、タカギ打線に捕まる。
先頭の “推しのソ” 山根 悠夏がいきなり鋭い打球をレフトへ放つ。しかし、これをNECの諏訪 いろはが好捕して山本を援護する。
山本は続く2番・土井 彩香に安打を許すと、3番・兼平 真咲にもライトへ鋭い当たりを放たれる。1死一、三塁と大量得点の予感が漂うスタジアムの雰囲気を一変させたのは、この打球を処理したライトの辻野 こころだった。
「あのプレー。初回のディフェンスが今日の試合を決めましたね」と試合後にNECの溝江 香澄監督が振り返ったとおり、辻野の放ったレーザービームがサード・金井 亜茉音のグラブに収まり刺殺。絶体絶命のピンチを脱して流れをつかむ。
「選手たちはあまり気付いていないかもしれないが、こういったプレーの積み重ねがチームに粘りをもたらして勝ちを拾えるようになる」と、溝江監督が目指すソフトボール像を地元・掛川のファンに披露した。
対するタカギの先発・今村 みなみも、先頭に死球を許すと2死ながらも得点圏に走者を背負う難しい立ち上がり。ここで打席に入った東京2020金メダリスト “推しのソ” 清原は、レフトへ技ありの一打を放ち先制点はNECかと思われたが、こちらもタカギのレフト・樋口 菜美の好捕で得点ならず。両チームのディフェンスが光る立ち上がりとなった。
モメンタムを渡さないベンチワーク
2回裏、四球と安打で得点圏に走者を進めたNECは、8番の柴田 日菜乃の左前適時打で先制するが、3回表のタカギも早速反撃に転じる。
初回に続いき、2番の土井、3番の兼平でチャンスを作り、一発のある樋口を打席に迎えたNECはマウンドへ西山 麗コーチを送る。「あの場面は、四球を出しても良いので厳しいコースを突くように指示した。清原が上手くリードしてくれて、0-3のカウントから良く抑えてくれた」と溝江監督が振り返ったとおり、インサイドを鋭く突いた山本は同点のピンチをしのぎ、タカギにモメンタムを渡さない。
するとその裏、先頭の “推しのソ” 松本 沙耶が四球を選ぶと、溝江監督に耳打ちされた原 日菜海が「狙い通りだった」と、長打を警戒するタカギ内野陣の意表を突くセーフティバントが安打となりチャンスを広げる。
無死一、二塁で打席に向かった4番の清原が送りバントを成功させると、今度はタカギのベンチが動く。NECにモメンタムを渡すまいと、先発の今村から金田 夢愛にスイッチしてピンチをしのぎにかかる。