毘沙門天のご加護はどのチームに?
女子ソフトボール “ニトリJDリーグ” の第8節。「戦国時代最強の武将」の誉れ高い上杉謙信の生地・新潟県上越市で行われた “デンソーブライトペガサス” と ”シオノギレインボーストークス兵庫” の一戦。
戦の神様・毘沙門天の生まれ変わりと言われた謙信公のご加護を受け、ここ高田城址公園野球場で定位置のプレーオフ進出圏内まで上昇するきっかけが欲しいデンソーの中森 菜摘監督。ファイティング・スピリッツで多くのファンを魅了する “推しのソ” Carley Hoover(カーリー・フーバー)投手を先発に立てて連勝を狙う。
一方、ここまで西地区・9勝5敗で貯金4つと “台風の目” となっているシオノギを率いる “男子ソフトボール界の毘沙門天” 松田 光監督。「選手が勝手に活躍してくれるので、私は何もしていません(笑)」と謙遜しつつも、今シーズンの好調・シオノギの屋台骨、エース・三輪 さくら投手を先発に、上越ラウンドで毘沙門天のご加護を受けたいところ。
夏の気配漂う快晴の空の下、交流戦対策を整えてきたチームに戦の神が微笑む結果となった。
交流戦対策万全のシオノギが先制パンチ
「対カーリーに限って言えば、120点の結果を出してくれた」と松田監督が言えば、「監督が速球対策のために、バッティングピッチャーをやってくれたので思い切っていけた」と中村 みなみ選手も振り返る鮮やかな速攻。
1回表、シオノギは先頭の谷本 奈々選手の四球から、「速球に強さを買って起用した」と松田監督が話した2番・右田 雅選手、3番・中村選手の連打であっという間にカーリー投手から先制点を奪う。
戦上手の上杉 謙信が好んだ “短期決戦策” 同様、素早い攻勢で先制点を奪ったシオノギが主導権を取り、優位に試合を進める。
ここまでチームの勝ち星全てを挙げる獅子奮迅の活躍を見せているシオノギ先発の三輪投手は、「交流戦は初見のバッターが多いので、とにかくミートさせないことに注意して慎重に入った」と話した通り、丁寧に低めを突く投球でデンソーの強力打線を抑え込んでいく。
しかし、2回裏1死からデンソーは、東京五輪金メダリストの川畑 瞳選手が気迫あふれるヘッドスライディングでチームを鼓舞する二塁打を放つと、続く小島 あみ選手が右前安打の間に同点のホームを陥れようと果敢に再びのヘッドスライディングを見せる。
しかし、ここはライト・中村選手の好返球でタッチアウト!全身泥まみれのベテラン・川畑選手に、チームの士気は爆上がり。
すると、中溝 優生選手が四球を選んで2死ながら得点圏に再び走者を送ると、打席に入るは “推しのソ” 黒田 菜那選手。黒田選手が放った打球は、サード頭上を越えてレフト線に抜ける同点適時打!誰もが勢い付くデンソー打線の爆発を予想したが、この打球がファールの判定。中森監督の確認も叶わず、判定は覆ることなくデンソーは無得点でモメンタムをシオノギに渡すことになった。
打順の巡りもシオノギに傾く
絶体絶命の同点のピンチを凌いだシオノギに、勝ち神・毘沙門天が更に微笑むことになった。
“速球対策” で起用した右田選手が先頭となった3回表、その石田選手が期待に応えて安打を放つと、続く中村選手も左中間に二塁打を放ち、無死二、三塁のチャンスを作る。