四国を元気に!プロジェクト しまなみ絶景サイクリング

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Journal-ONE | 第73回全日本大学野球選手権 和歌山大 vs 東日本国際大学 7回1失点の好投を見せた和歌山大学先発の島龍成(履正社高)
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国公立大唯一の出場校が狙うは日本一

全国26の大学野球連盟で優勝を果たした大学が集い、日本一を決める大会。第73回全日本大学野球選手権大会が始まった。

東京六大学野球連盟から早稲田大学、東都大学野球連盟からは青山学院大学、他にも甲子園を沸かせた選手や秋のプロ野球・ドラフト会議(新人選手選択会議)での指名候補とされる選手を擁し、大学野球日本一を目指すチームがひしめく中、唯一の国公立大学が近畿学生野球連盟 春のリーグ戦を制し、2年ぶりに4回目の舞台に帰ってきた。

その大学の名は国立大学法人和歌山大学。江戸幕府第8代将軍の徳川 吉宗が紀州藩主の折に開設した、藩校「学習館」の流れを汲む和歌山大学は、教育学部、経済学部、システム工学部、観光学部、社会インフォマティクス学環の4学部1学環と、大学院に4研究科を持つ近畿圏でも人気の高い総合大学だ。

Journal-ONE | 第73回全日本大学野球選手権 和歌山大 vs 東日本国際大学 円陣で話しをする大原弘監督(和歌山大)

円陣で選手たちに話しをする大原弘監督(和歌山大)-Journal-ONE撮影

「全国の強豪校と違い、有望な選手に声をかけても選ばれることは難しいですし、選んでくれても入学試験を突破しなくてはなりません。ですから、国立大という特異性を活かした ”ここでやりたい” と思ってもらう魅力ある野球をしていかなくてはなりません。野球部のブランディングです」と教えてくれた大原 弘監督。

大原監督が話す “ブランディング” とはいかなるものか? 1回戦、広島経済大学(広島六大学野球連盟)を終盤鮮やかな逆転で勝ち抜いての2回戦、東日本国際大学(南東北野球連盟)との一戦を観ながら、その真相を解明してみたい。

試合中の僅かな時間も

東京ドームで行われたこの日の第3試合目。試合前のノックから選手の機敏な動きに目を奪われる。ゴロをさばく所作は決して “プロ注” の選手ほどではなく、スローイングの速さや球の強さが秀でいるわけでもない。チーム全体の動きがとにかく機敏なのだ。フィールド外でノックをサポートする選手たちを含め、全員が常に ”全力疾走” で動いている。

ノックが終わる時間を見計らい、サポートメンバーがベンチ前にマーカーコーンを置き始めた。ノックが終わり、ベンチ前での円陣を手短に終えた後、このマーカーコーンに向かって全選手が様々なダッシュトレーニングを始めた。

Journal-ONE | 第73回全日本大学野球選手権 和歌山大 vs 東日本国際大学 試合の隙間時間も工夫した練習を行う和歌山大の選手たち

試合の隙間時間も工夫した練習を行う和歌山大の選手たち-Journal-ONE撮影

「限られた練習時間、限られた練習スペースをいかに有効に使うか。選手たちはいつも自分たちで考えながら野球に向き合っています」と話していた大原監督の顔が思い浮かぶ。

攻守交代の時間もトレーニング。サポートメンバーがストップウォッチに目をやり、「○○、24秒!」「○○、25.5秒!」と守備に着くタイムを計って選手たちに共有している。

Journal-ONE | 第73回全日本大学野球選手権 和歌山大 vs 東日本国際大学 意識の高さが度々の好走塁に繋がる

意識の高さが度々の好走塁に繋がる-Journal-ONE撮影

高校野球において全力疾走は「高校球児のあるべき姿(姿勢論)」として捉えられることが殆どだが、和歌山大学のそれはあくまでもトレーニングの一環。取り組む意味や効果を理解することで、自分たちに必要不可欠なものとして全力疾走をルーティンに取り入れているのだ。

名門校と公立校

和歌山大学・島 龍成(履正社高)投手、東日本国際大学・阿字 悠真(滋賀学園高)投手の先発で始まったこの試合。

和歌山大学のスタメンを見ると、島投手の履正社高をはじめ、4番の山田 孝徳選手の天理高(奈良)、田中 文都選手の明豊高(大分)など、甲子園常連の強豪校出身の選手が何人も所属している。

国公立大に野球名門校の名があることを大原監督に尋ねると。「島も山田も、コロナ禍の大会(2020年甲子園高校野球交流試合)でベンチ入りはしていましたがレギュラーではなかったのです。和歌山県から県外の高校に進学して腕試しをした彼らが、大学野球は地元でやりたいと戻ってきてくれたのです」と、受験勉強を経て ”Uターン入学” をしてくれたことを嬉しそうに教えてくれた。

Journal-ONE | 第73回全日本大学野球選手権 和歌山大 vs 東日本国際大学 和歌山大の4番・山田孝徳(天理高)など地元に戻ってきた選手も多い

和歌山大は4番・山田孝徳(天理高)など地元に戻ってきた選手も多い-Journal-ONE撮影

しかし、野球名門校の出身者だけでチームを構成できないのが、入試の壁を越えなくてはならない国公立大学のスポーツだ。和歌山大学のラインナップには、県内の公立高校である星林高、熊野高、向陽高の出身者が上位打線に座っている。

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