「私、山田恵里は、2022年シーズンをもちまして現役を引退する事を決断しました。」という衝撃の引退発表から1週間。
千葉県浦安市で行われた、JD . LEAGUE(JDリーグ)第13節の試合後、山田恵理選手・デンソー(DENSO BRIGHTPEGASUS)の引退会見が行われました。
山田選手は、女子ソフトボールの大スター!
日本リーグの打撃記録を更新するばかりか、アメリカ女子プロソフトボールリーグ、世界選手権、オリンピックと世界レベルの活躍に、メディアから「女イチロー」と命名される程のレジェンドです。
その会見の冒頭、直立して記者に向かって挨拶する山田選手にサプライズ!
同じ時代を戦い、尊敬する1つ先輩の上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)が花束を持って登場です。
溢れる涙と熱い抱擁・・・ソフトボール界を牽引するスター同士の感動的なシーンから会見はスタートしました。
現役生活21年、2004年のアテネオリンピックで銅メダルを獲得し、2008年の北京オリンピックではソフトボール日本代表の主将として初の金メダル。昨年の東京2020でも主将として金メダルを再び獲得した山田選手。
苦労や喜び、感謝を余すところなく語りました。
「今シーズンに入るに当たり、まだまだチームに出来ることがあると思っていたが、シーズンが進むにつれ、これ以上突き抜けた結果を出すことは難しいのではないかと思うようになり、そして21年間全く悔いがなくやり切ったのでこの決断に至りました。」
と、清々しい表情で話す山田選手。
「1人でも多くの方々に試合を見に来て欲しいと言う思いもあって、沢山の方々に迷惑を掛けることにはなるが、このタイミングで発表させていただいた。」
と、最後までソフトボールを盛り上げたいとシーズン中に発表した理由も話してくれました。
21年間を通じて最も想い出に残ることという質問には、
「同じ時代を上野選手と過ごせたこと。これが私の一番の財産であり、一番の想い出。」と上野さんへの想いが溢れます。
選手としては、「対戦相手として上野さんを打つためにとても練習したし研究した。上野さんと対戦できたこと一打席一打席が幸せだった。上野さんがいるからここまで来られた。」と、目標でありライバルであった上野選手を打つための努力が史上最高のバッターにまで成長できたと、上野選手への感謝は尽きません。
人としては、「対戦相手のため、余り話しする機会が無かったが、東京で話をする機会が増えて、(ソフトボール界の)いろんなものを背負わせてしまったと思った。人として選手として成長させてくれた存在。先に引退してしまい、すみませんという気持ちです。」と上野選手への気遣いも見られました。
恩師との想い出では、高校時代の利根川勇監督、アテネオリンピックに招請した宇津木妙子監督、北京オリンピック・東京2020の両大会で主将に指名した宇津木麗華監督の3人の名前を挙げ、当時を懐かしむようにそれぞれの方との感謝のエピソードを話しました。
シドニーオリンピックで指揮を執る宇津木妙子監督を見て、「この人の下で世界と戦いたいと思った。」との憧れを抱いた高校時代のエピソードから、「打てなくても使ってくれたアテネオリンピック招集」への感謝、そして東京2020では「開催国で金メダル獲得を期待させているプレッシャーに押し潰されそうになったときに掛けてくれた言葉」を思い出して、こみ上げてくる涙を抑えきれない場面もありました。
後輩の日本代表選手達へ掛ける言葉としては、「勝ち続けるプレッシャー、選ばれる責任はあるが、幸せと誇りをもってプレーして欲しい。」とバトンを託し、JDリーグでプレーする選手へは、「今ある素晴らしい環境に感謝して、(この環境が)当たり前とは思わず試合だけで無くリーグを盛り上がる策をひとりひとりが考えて欲しい。」とソフトボール人気の更なる拡大を期待していました。
また、「環境に感謝を持つことでプレーに現れ、それがまた関係者に伝わる。沢山の方に支えられていることを忘れずプレーをして欲しい。」と長く一流で活躍するヒントもありました。
最後に、ファンの皆さんに向けては、「勝負事ですし、意識すると今日みたいに(記者会見を意識して無安打)なるんですが・・・」と笑って前置きしながらも、「最後のプレーを見に来て頂くからには、意識して結果を出せることを見せたい。」と確りとした口調でメッセージを伝えると、「後は、ソフトボールを楽しんでいるところを見せたい。」と笑顔で締めくくっていました。
1時間を超える会見は、涙あり笑いありで様々な質問に答えてくれた山田選手、本当にお疲れ様でした。ただ、山田選手の球歴、功績を語り尽くすには全然足りませんでしたので、また機会を頂いて続きを伺いたいですね!