世界選手権では山西利和(東京五輪3位)が2019年ドーハ大会と2022年オレゴン大会で連覇を果たしているものの、競歩における五輪での最高成績は、池田が手にした前回の銀メダル。池田の2大会連続メダル獲得が、日本の競歩史上初の金メダル、しかもパリ五輪陸上競技の金メダル第1号として達成されれば、チームジャパン全体を大いに活気づけることにもなるだろう。
悲願の「金」獲得なるか!?男子4×100mリレー
「東京で取り損ねた”金”を取りに行く!」。これが男子4×100mリレー・日本代表チームのパリでの最大目標だ。金メダル獲得を目指して臨んだ前回の東京大会では、決勝でバトンがつながらず途中棄権に終わる悔しい結果となった。それから3年。顔ぶれには変化が生じているが、今回も十分にメダル争いができるメンバー構成が実現している。
核となるのは、世界選手権100mで2大会連続入賞中のサニブラウン・アブデルハキーム。これまではアンカーで起用するイメージが強かったが、五輪出場権が懸かった5月の世界リレー予選では、1走を務めて”大爆走”。日本の五輪出場に大きく貢献した。
1走候補には、日本選手権100mを2連覇中で、鋭い跳びだしを持ち味とする坂井隆一郎がすでに存在するが、「サニブラウンの1走もアリだよね」となったことで、戦略の幅も大きく広がっている。
これに加えて、リオ五輪での銀メダルを筆頭に、日本の”メダル獲得請負人”とも言える桐生祥秀が代表入り。「東京五輪で悔しい思いをしたメンバーのうち、僕だけが今回代表に入ることができた。最高の走りをして、もう一度メダルを取りたい」と、静かに燃えている。
7月20日に”試運転”したダイヤモンドリーグのロンドン大会では3走を務めて快走。「伝説の3走、健在」を示すとともに、絶対的な安心感を大いに印象づけた。
今回の日本チームの特徴は、「誰がどの走順に入っても十分に戦える」(土江寛裕担当ディレクター)こと。リレーチーム全8選手で、ぱっと考えただけでも5~6パターンのベストオーダーが想定できる陣容となっている。
現状では、リレーのみの出場となった若きエース栁田大輝を2走に固定することは確定済み。それによって準備期間でパスワークの精度をさらに高め、リレーに先駆けて行われる個人種目の成績や個々の状態に応じて、最終的なオーダーを決めていく計画だ。
金メダル獲得を想定した目標タイムは37秒40。100m・200mの今季世界リストで複数が上位を占めるアメリカやジャマイカ、さらには前回優勝のイタリア、2022年世界選手権覇者のカナダなど、ライバル国は強敵揃いだが、そのなかで日本はどう戦っていくか!?
男子4×100mリレーは、陸上の日程でも終盤となる8月8日に予選が行われる。個人種目の結果を見ながら、オーダーをあれこれ想像しながら待つのも楽しみの一つとなりそうだ。
ダブル入賞&メダル、どこまで迫るか!? 男子110mハードル
ここまでに紹介してきた種目のほかにも、活躍を大いに期待できる選手がいる種目はたくさんある。
まずは男子110mハードル。体格やスピードレベル等の際により、世界で戦うには不利といわれていた種目だが、同じ順天堂大学の先輩・後輩コンビ、泉谷駿介と村竹ラシッドが、2人揃っての決勝進出、さらにはメダルに迫る快走という、夢のようなレースを見せてくれるかもしれない。
前回の東京大会に続く五輪出場となる泉谷は、昨年の日本選手権で13秒04の日本新記録を樹立。ブダペスト世界選手権では、日本人で初めて決勝に駒を進め、5位入賞の成績を残した。昨年はダイヤモンドリーグにも参戦し、初挑戦となったローザンヌ大会を制して、世界的にも注目を集め、その後は、「好スタートのイズミヤ」として、すっかり知られる存在となっている。