世界一の遺伝子を引き継ぎ好位置キープ – 東地区2位(14勝4敗)
コロナ禍による無観客での開催となりながらも、私たちにたくさんの感動を与えてくれたオリンピック東京大会。ソフトボール競技で金メダルに輝いた日本代表15人のうち、リーグ最多7人の選手を送り込んだビックカメラ高崎ビークイーン。山本 優選手、森 さやか選手が引退しても、世界一の5選手を中心にJDリーグ過去2シーズンで圧倒的な強さを見せてくれた。
JDリーグ東地区連覇を果たし、ダイヤモンドシリーズ決勝に唯一連続で進出したビックカメラ高崎ビークイーンは今シーズン、金メダリストの我妻 悠香捕手、市口 侑果二塁手が引退。世代交代にチャレンジするビックカメラ高崎ビークイーンの三連覇を危ぶむ声も聞こえる中、世界一の遺伝子を引き継いだ選手たちが躍動した前半戦だった。
期待に応えた新生・ビックの選手たち
“世界のエース” 上野 由岐子投手をクローザーに配置転換し、次世代の中国代表を背負う長身左腕・Wei Yuchen(ウェイ・ユ チェン)投手を先発に抜擢。2年前の東地区MVPの濱村 ゆかり投手、日本代表の “推しのソ” 勝股 美咲投手と共に、ローテーションを組んだ投手陣は、昨シーズンのチーム防御率1.66を上回る1.56と結果を残して岩淵 有美監督の期待に応えた。
我妻捕手の抜けた正捕手には、日本代表の主砲として期待される “推しのソ” 炭谷 遥香選手が座り、高卒ゴールデンルーキーの井出 久美選手(健康福祉大高崎高)との併用で、上野投手らを好リード。市口選手の抜けたセカンドには、高卒2年目の遠藤 愛実選手が抜擢。打撃力は成長途上な遠藤選手だが、守備では外野に抜ける鋭い打球を好捕して勝利に貢献するなど、安定感あるプレーを見せてくれている。
今シーズンからJAPANの4番・キャプテンから身を引いた内藤 実穂選手も、同時にビックカメラ高崎ビークイーンキャプテンの重責を藤本 麗選手に譲りプレーに専念。相手投手の配球を読む勝負強いバッティングは健在で、勝利を決定付ける9打点を挙げれば、核弾頭を務める “二刀流” 金メダリストの藤田 倭選手も打率.333、17打点とベテランの貫禄を見せ、若返ったチームを牽引した。
覇権奪回を握るは新生JAPANを担う三銃士
オリンピックイヤーで盛り上がった今夏、正式競技から外れたソフトボールであったが、オリンピック・パリ大会の開幕直前に嬉しいニュースが飛び込んだ。イタリアで開催された ”XVII Women’s Softball World Cup 2024 Finals(第17回 女子ワールドカップ ファイナル)” において女子ソフトボール日本代表が、ライバルのアメリカ代表を下して見事に金メダルを獲得したのだ。
この代表候補に名を連ねたビックカメラ高崎ビークイーンの若き三銃士、藤本選手、“推しのソ” 炭谷選手と工藤 環奈選手が後半戦の大事な局面で活躍してくれるかに、2年ぶりの覇権奪還がかかっているといっても過言ではない。
新キャプテンに就任した藤本選手は、打率.444、出塁率.524と絶好調。快足が武器の藤本選手だけに、二塁からでも単打で本塁生還も狙える得点力の要。24安打9四死球と塁上を賑わせた数字に対して9得点に終わった打線が繋がれば、得点力は間違いなく上がってくる。
一方、“推しのソ” コンビの炭谷選手、工藤選手は、相手チームから厳しいマークを受け、波に乗りきれない歯がゆい打席が続いた前半戦からのブレイクスルーが期待される。広角に長打が打てる炭谷選手、昨シーズン4割を超える打率で首位打者賞を獲得した “日本の安打製造機” 工藤選手への与四球数は相変わらず多い。
四球でリズムを狂わせることなく、淡々とボールを引きつけて強い打球を放っていた昨シーズンと少し異なり、今シーズンは「自分たちがチームを引っ張らなければ」という強い責任感からか、強くコンタクトした打球がファールゾーンに飛ぶシーンが多く見られた。
守護神・上野投手が控える盤石な投手陣に加え、ベテラン・藤田選手、内藤選手が睨みをきかせる打撃陣は、相手チームにとって脅威であることは変わらない。4年後のオリンピック・ロサンゼルス大会で金メダルを狙う3選手が、泰然自若でいつものプレーを見せてくれれば、2年ぶりの頂点も視界良好となるだろう。