実績ある選手に代わり若いチームで怒濤の12連勝 – 東地区1位(15勝3敗)
「昨年の東地区2位チームが主力選手を大幅に入れ替え!」そんなビッグニュースでストーブリーグを盛り上げた日立サンディーバ。投手では、昨シーズン7勝を挙げたオリンピック東京大会メキシコ代表のTaylor McQuillin(テイラー・マクイリン)投手。野手では同じくオリンピック東京大会アメリカ代表のHannah Flippen(ハンナ・フリッペン)選手、日本代表としてオリンピック・ロサンゼルス大会で金メダルを目指す坂本 結愛選手。広角に鋭い安打を放つ好打者・山口 みどり選手といった主力がチームを去った。
3シーズン連続のプレーオフ進出に欠かせないピースの大量離脱は、開幕節こそ幸先良く連勝したものの、続く第2節・神奈川県茅ヶ崎市でのホームゲームで連敗。群馬県太田市に会場を移した第3節でも1勝1敗と、“波に乗り切れない” 日立サンディーバを心配するファンも多かったことだろう。
しかし、オープン戦期間から全く焦っていなかったのが、チームを率いる村山 修次監督だった。多くの主力選手の離脱にも「胡子新コーチの指導で、打撃はかなり上向きです。期待の新人も獲得できたので、特に心配はしていません」と笑顔で話していたとおり、ゴールデンウィークを目前にアクセルをふかし始めた日立サンディーバは、ここから前半戦終了までチーム史上初となる怒濤の12連勝を継続したままサマーブレイクに入った。
主軸なき若い打線が打ちまくる
今シーズン、日立サンディーバ打線の特徴は“主軸なき打線”。「4番を任せられる選手が居ない」「ポイントゲッターがマークされると手も足も出ない」といった意味ではなく、全ての打者がチャンスメーカーであり、ポイントゲッターなのだ。
「成長したという表現よりも、別の次元に突き抜けたといった感じです」と村山監督が評するのは、目下打率.500で東地区ダントツの首位打者、藤森 捺未選手だ。核弾頭を務める藤森選手だが、4本塁打に14打点とポイントゲッターとしての役割も果たす今シーズン。元々、長打力が魅力の中距離打者という印象だったが、圧倒的な飛距離で西地区の外国人スラッガーにも負けないパワーを見せる。もちろん、10盗塁とリードオフマンとして相手投手のモメンタムを削ることも忘れない。
昨シーズン、初の日本代表に選出された “推しのソ” 唐牛 彩名選手が、走攻守に安定したプレーを見せれば、ルーキーながらにマスクを被りつつけた女鹿田 千紘選手も、新加入の東京2020アメリカ代表のDejah Mulipola(デジャ・ムリポラ)選手との併用で、守備の負担が軽減されて打撃でもチームに貢献できるようになってきた。
もちろん、昨シーズンからチームを引っ張る存在の “推しのソ” 杉本 梨緒選手、山内 早織選手も存在感を見せている。しかし、未來の和製大砲・平田 唯花選手の成長や、新人の笠原 朱里選手(日本体育大)、保谷 蓮選手(園田学園大)の活躍もあり、「正直、どの選手を使うかスタメンの編成に迷ってしまいます」と村山監督を良い意味で悩ませている。
日本人3本柱が安定した投球を見せる
新加入のアメリカの有望株・Dontaysha Gobourne(ドンテイシャ・ゴーボーン)投手のコンディションが上がるのを待ちつつ、12連勝を支えたのは日本人三本柱だった。
主将を務める坂本 実桜投手は、今夏イタリアで開催された”XVII Women’s Softball World Cup 2024 Finals(第17回 女子ワールドカップ ファイナル)”でも金メダルを獲得した女子ソフトボール日本代表に唐牛選手と共に参戦。オリンピック・ロサンゼルス大会で金メダルを目指すメンバー候補として、6勝無敗の防御率1.50と好調・日立サンディーバの原動力となっている。
坂本投手に次ぐ投球回を記録した “推しのソ” 長谷川 鈴夏投手も “リーグ随一のお洒落番長” としての磨きがかかる以上に、投球術にも磨きがかかる。元々、制球力に定評のある長谷川投手だが、今シーズンは奪三振率が大きく向上。ここ一番で三振が取れる投球スタイルも身に付け、防御率1点台をキープしてサマーブレイクに突入した。