“相性の良さ” で流れが変わるリーグ戦
女子ソフトボール国内トップリーグ “JD.LEAGUE” の3シーズン目は、残すところ5試合(一部のチームは6試合)。11月9日(土)から始まるプレーオフ進出へ向け、順位争いが熾烈を極めている。
一方、プレーオフ進出に望みは絶たれたものの、チームが掲げるシーズン目標達成に意欲を燃やすチーム。個人タイトルや自己ベストに挑む選手。来シーズンへの飛躍に向けてリーグ戦を戦う選手、スタッフたちにとって”相性の良いチームを作る” ことも重要だ。
地元での最終戦の臨む、”日本精工ブレイブベアリーズ” はここまで5勝19敗、西地区8位と苦しい戦いとなっているが、対戦する “伊予銀行ヴェールズ” との戦績は今シーズン2勝負けなしと相性の良さを見せている。
得意チームを作り、来シーズンの飛躍を狙う日本精工と、苦手意識を払拭して地元・松山での最終節に弾みを付けたい伊予銀行の試合は、両軍投手の力投と守備が光る締まった試合展開となった。
将来を背負って立つ投手同士の投げ合い
日本精工の先発は、”推しのソ” 後藤 明日香投手。ここまで先発、リリーフと大車輪の活躍を見せる後藤投手は、西地区4位となる投球回数(74回2/3)を投げチーム5勝のうち4勝を挙げている日本精工投手陣の柱だ。投球回数、勝ち星ともに昨シーズンを上回る成績は、日本精工のエースとしてさらなる飛躍を期待されている。
一方、伊予銀行の先発は、こちらも “推しのソ” 遠藤 杏樺投手。昨シーズンのルーキーイヤーで8勝を挙げ、伊予銀行投手陣になくてはならない存在となった。今シーズン、初のプレーオフ進出を目標に掲げた伊予銀行を背負って立つ投手として期待されていたが、ここまで1勝と二年目のジンクスに苦しんでいる。
今シーズン、伊予銀行で苦しんでいるのは遠藤投手だけではない。開幕から調子の上がらない打線は、チーム三冠王の “推しのソ” 辻井 美波選手が、西地区最多本塁打を放つなど一人気を吐いているものの、昨シーズン(3完封)を大きく上回る7つの完封負けを喫している。接戦に強い伊予銀行だが、一度狂い出した歯車を再び噛み合わせることは至難の業だ。
選手の調子を見ながらメンバー起用に工夫を凝らしている石村 寛監督も、「序盤から少ないチャンスをものにして、最少失点で切り抜けたい」と、投手陣を中心に守り切るソフトボールで二桁勝利を目標にチームを鼓舞している。
二試合続けて序盤の一発で主導権
“推しのソ” の両先発・後藤投手と遠藤投手が素晴らしい立ち上がりを見せると、2回表の伊予銀行の攻撃も2死無走者となり投手戦の様相を呈してきた。
昨日の豊田自動織機シャイニングベガ戦、初回に辻井選手放ったソロ本塁打で挙げた虎の子の1点を、庄司 奈々投手の完封勝ちで守り切った伊予銀行。この流れがこの良い流れを受け継いだのは、6番・キャプテンの安川 裕美選手だった。
1-2と追い込まれながらもフルスイングのファールでタイミングを合わせると、2-2からの8球目に真ん中高め付近に入った甘い球を逃さずジャストミート。良い角度の弾丸ライナーで右翼へ上がった打球はそのままフェンスを越える先制のソロ本塁打。昨日に続き、序盤の一発で伊予銀行が主導権を握った。
一発を浴びたものの、その後も全く崩れることのない後藤投手は、その後7回まで投げきって打たれた安打は僅かに2本。四死球も3つと完璧に伊予銀行打線を封じ、地元開催勝利を打線に託す。
地元勝利に執念を燃やす終盤
後藤投手と同じく、伊予銀行の遠藤投手も危なげなく日本精工打線を無失点に抑え、試合は終盤へと進んでいく。地元ファンに勝利を届けるべく、日本精工打線が反撃に転じたのは6回裏だった。