注目される東京農大の “スポーツ”
2024年、東京農業大学のスポーツ部は年始から熱く燃えた。1921年の第2回大会から出場している箱根駅伝では、記念すべき第100回大会を迎えた今年、陸上競技部 長距離ブロック男子が 10年ぶり70回目の出場を果たした。久しぶりに松葉緑のユニフォームで箱根路を力走する姿に、沿道で応援する箱根駅伝ファンたちから大きな歓声を受けて話題となった。
続く6月には、硬式野球部が躍動。北海道オホーツク硬式野球部が、第73回全日本大学野球選手権に5年連続20回目の出場を果たせば、世田谷にある硬式野球部も東都大学野球春季リーグ戦の入れ替え戦で勝ち点を挙げ、31年ぶりの1部復帰を勝ち取った。
さらに、今夏のオリンピック・パリ大会の男子マラソンでは、陸上競技部OBの小山 直城選手(ホンダ)が日本代表として出場。東京農業大学のOBだけでなく、日本中がその力走に熱い声援を送ったことも記憶に新しい。
幕内優勝経験のある元大関・正代関など、角界に多数の力士を輩出している相撲部も、9月の第49回全国学生相撲個人体重別選手権大会で好成績を収めるなど、東京農業大学の “スポーツ” が大きく取り上げられた1年となっている。
東京農大のアイデンティティは “大根踊り”
「東京農大のスポーツは伝統ある部活動が多くあります。しかし、スポーツに力を入れている他の大学には全く及ばないとは思いますが・・・」と、話し始めたのは企画広報室の寺谷 広介室長だ。
「閑静な住宅街に囲まれた世田谷キャンパスは、都心にもかかわらず野球のグラウンドやアリーナ、サッカーグラウンド、陸上トラックなどを有しています。北海道オホーツクキャンパスも、校舎のすぐ隣に野球場があるなど、スポーツに取り組める環境がしっかりしていることが、伝統を継いで活躍し続けられる要因のひとつではないでしょうか」と教えてくれた。
東京農業大学世田谷キャンパスは、1月に完成した “経堂の森” をはじめ、都心とは思えない豊かな緑に包まれた学び舎。その景観にマッチする2016年に完成した最新鋭の建物 “農大アカデミアセンター” や2023年の完成した “国際センター” などが、 学問に、研究に、スポーツに学生たちがキャンパスライフをより充実して過ごせるような設えを整えている。アカデミアセンターの高層階からは、オリンピック東京大会・馬術競技の会場となった “馬事公苑” や、遠く新宿や品川のビル群も眺めることができる。
その景色を見ながら、「やはり、東京農大のスポーツを語る上では、東京農大生のアイデンティティ “青山ほとり” の存在が欠かせないでしょうね」と、寺谷室長が続ける。
”青山ほとり” とは、私たちが良く知る東京農業大学の伝統応援 ”大根踊り” のこと。東京農業大学全学応援団が、大根を持って歌いながら応援を行うことに由来しているが、正式名称よりも応援の様相を表現した「通り名」の方が知られるほど、そのパフォーマンスにはインパクトがある。
「スポーツの応援はもちろん、結婚式などの人生の門出でも踊られるほど、応援が東京農大のアイデンティティとなっているのです。他校にはない東京農大特有の応援が、選手たちを奮い立たせているのではないでしょうか。隣接する併設高校の東京農業大学第一高等学校チアリーディング部のニックネームも ”ラディッシュ(大根)” なんですよ」と、笑顔で寺谷室長が教えてくれた。
地域の人たちとの繋がりは様々
東京農業大学のアイデンティティ ”大根踊り” が、スポーツファンと東京農業大学を繋ぐ絆となっていることに加え、学園祭においてもその特徴的な開催内容が、地域の人たちを惹きつけている。
「10・11月に開催される学園祭 “収穫祭” は、芸能人などを呼ばずに毎年多くの地域の方々にお越しいただいています。実習の受け入れ先や連携地域などで作った新鮮な野菜や、加工品の販売を楽しみにしてくれているのです」と、3キャンパス計10万人の方々が来場する農業大学ならではの学園祭について教えてくれた。