色鮮やかな甲冑がズラリ!
金井;掛川城に続くお堀に掛かる緑橋の手前、白壁の蔵のような建物があります。今回ご紹介するのは、こちらの “遠州掛川 鎧屋” さんです。お店の名前からも戦国時代を感じさせてくれますよね。早速、中に入ってみましょう。
竹内:うわぁ!お店の中に入ると直ぐ、色鮮やかなズラリと並んだ甲冑が目に入ります。私が持つ甲冑のイメージは黒色だったのですが、燃えるような朱塗りの甲冑や黄金色に輝く甲冑まで!兜のデザインも本当に拘ったデザインになっていて、とてもカッコイイです。
金井:「甲冑の色や兜の作りには、武将それぞれの思いがあるのです」と教えてくれたのは、ご主人の重田 和義さんです。重田さんの忍者のような出で立ちを見て一瞬、本当に戦国時代にタイムスリップしたように感じてしまいます(笑)。
竹内:余りにリアルな甲冑に目を奪われていると、重田さんが「これらは職人さんが、資料をもとに当時の甲冑を再現している本格的なものなのです」と教えてくれます。目の前で本格的な甲冑を見る機会などめったにありませんから、顔を近づけてよぉく観察してみると・・・何枚もの板が組紐で重ね合わせられていることが分かります。すると重田さんが、「この板は ”小札” という、甲冑を構成している小さな短冊状の板です。鉄で作る場合もありますが、牛革などが一般的。和紙を重ねているものもあるのですよ」と教えてくれました。
金井:小札同士は組紐で編み合わされていて、細かい職人の技が伺えます。私たちが使うグラブも、いくつものパーツを牛革の紐で編み合わせて作られています。自分が使っているグラブと甲冑の共通点に気付き、とても親近感が湧きました。「穴がたくさんあることによって軽量化をしているのです」と、重田さんが教えてくれましたが、この甲冑を身に着けて何キロも歩いて移動したり、刀を持って戦ったりしていたなんて、戦国武将の体力には驚かされますよね!
存在感ある刀の数々にも驚き
竹内:甲冑と一緒に飾ってある刀も存在感があります。模擬刀という居合いなどの武道用とのことですので、現段階で切れないのはもちろん研磨できないことから将来的にも切れることがないのですが、凄いオーラを感じます。「刀は神様ですので、持つ前には一礼して手に取ってください」と重田さんに促されて一礼をしてから両手でそぉっと持ち上げましたが、重い!1kgを越える重量は長い刀身と相まってさらに重く感じます。私たちが使うバットよりもずっと長くて重いです。刀を手にする部分(柄)を握って戦国武将気分で構えてみますが、この長さと重さで刀を振り切るのは本当に大変そうです。
金井:甲冑もそうですが、戦国武将の刀は本当に細かいところまでこだわって作られています。柄はバットのグリップテープのように組紐でしっかりと編み込んであって、手にピッタリフィットします。補強と手との一体感を高めるために施されたものですが、そこに美しさを加えてお洒落にしているところが素敵です。私たちも、バットが手に馴染むように自分に合ったグリップテープを巻くのですが、色やデザインにこだわっている選手も居るので、刀剣とバットにも共通点があるのだと思いました。
竹内:刀身と柄を固定する “目貫” という小さい金具も金色で精巧な細工が施されていてとても綺麗です。「目貫には、持ち主の意思や家族に関するメッセージがあるのですよ」と重田さんに教えていただき、改めて目貫を見ると “魂の宿る自分の分身” なんだと改めて感心しました。私もバットに魂が宿るよう、大切に使いたいと思いました。