最終節に逆転V、2位死守が
女子ソフトボール “ニトリJDリーグ” の第13節は、2024シーズン最終節。静岡県掛川市にあるいこいの広場野球場で行われた “ビックカメラ高崎ビークイーン” と “大垣ミナモ” の一戦。
東地区首位 “日立サンディーバ” とゲーム差2.0となったビックカメラ高崎は、少ないながらも逆転Vの可能性を残している一方、3位 “戸田中央メディクス埼玉” に詰められたゲーム差はわずかに0.5。JDリーグ創設以来、2シーズン連続で東地区王者に輝いたビックカメラ高崎にとって、2位以上の死守はもちろん、プレーオフ、ダイヤモンドシリーズでのモメンタムを保持するためにも、連勝は至上命題だ。
第11節に行われた日立との首位攻防戦で、4シーズンぶりの先発マウンド。2度の延長タイブレークを含む9イニングスを被本塁打の1失点で完投した “世界のエーズ” 上野 由岐子投手。
続く第12節では、強打の3位・戸田中央を相手に完封勝利を挙げ、チームの逆転Vに望みを繋いだ上野投手が、この最終節も大垣ミナモを相手に3週連続で先発マウンドに登った。
レジェンドと新星の投げ合い
ビックカメラ高崎先発の上野投手は、ここまで先発した2試合をともに完投。16イニングスを投げての失点は僅かに1と、素晴らしい投球を見せている。
その上野投手が得意とする速球にも対応できる、1番のSamantha Show(サマンサ・ショー)選手がレフト前にボールを運ぶ先頭打者安打で熱戦の火蓋を切り、スタジアムザワつかせた。しかし、続く2番・瀬戸口 梨乃選手の打席で盗塁を試みたサマンサ選手を、”推しのソ” 炭谷 遙香捕手が刺して結局三人で攻撃を切って取る。
対する大垣ミナモの先発は、今シーズン6回2/3の登板イニングの中村 美瑠投手。来シーズンに期待の新星も先頭打者・藤田 倭選手にいきなりの死球を与えこちらも無死一塁とスタジアムをザワつかせた。
続く、藤本 麗選手が犠打で送り、”推しのソ” 工藤 環奈選手にもに3-2から四球を与えて1死一、二塁としたところで、東京2020でも4番を張った内藤 実穂選手を迎える。ここ一番の勝負強い打撃でチームを救ってきたベテランは、思い切り投げ込む中村投手のボールに押されながらもフラフラとした打球を一塁手後方にまで運ぶ。
ライト線に落ちるかと思われた瞬間、キャプテンの近本 和加子選手がスライディングしながら地面すれすれでキャッチ。飛び出した一塁走者を刺殺してダブルプレーを奪いピンチを脱した。
これで波に乗った中村投手は、2回以降勢いを増してビックカメラ高崎の強力打線を抑え込んでいく。2回表、炭谷選手の中前安打から2死三塁まで走者を進められるも無失点に抑えると、中盤まで危なげない投球。自身初勝利に向け、レジェントとの息を呑む投げ合いを演じる。
一方の上野投手は、”推しのソ” 小西 陽菜選手、瀬戸口選手、西野 希美選手と毎回安打を許すものの、三塁を踏ませない要所を締める投球。レジェンドの卓越されたマウンド捌きに静岡県のファンから大きな拍手が沸き起こった。
終盤のギアチェンジで流れが変わる
先制点に向け、コツコツとレジェンド攻略をし続けた大垣ミナモだが、終盤に入った上野投手は、「投手戦では一発で試合が決まることが多いので、とにかく本塁打を打たれないように気を付けて三巡目に対した」と、自らの投球で流れを持ってこようとギアを入れ替える。