優勝決定の熱覚めやらぬ本庄
女子ソフトボール “ニトリJDリーグ“ の最終節が埼玉県本庄市のケイアイスタジアムで行われた。ほんの1時間ほど前に行われた “ホンダリヴェルタ“ と “日立サンディーバ“ の一戦は、最後まで緊張感のある打撃戦でスタジアムを沸かせた。その激闘に勝利し、東地区初優勝を飾った日立が狙うのは、もちろんダイヤモンドシリーズでの勝利、JDリーグ2024年間王者の座だ。
その日立に挑戦すべく、東西地区の2位と3位、加えて残りチームで勝率の最も高いワールドカードを獲得したチームが集まり、日立に挑戦権を得るためのノックアウトラウンド「プレーオフ」が、11月9日と10日に神奈川県川崎市・等々力球場で開催される。
そのプレーオフ進出を決めているチームの一つが “戸田中央メディックス埼玉“。戦前予想で「東地区台風の目」と期待を込めたJournalーONE編集部の期待を大きく上回った戸田中央は、今シーズン序盤から東地区の優勝争いに参戦し、JDリーグ3シーズン目を大いに盛り上げてくれた。初のプレーオフ進出から一気に日本一の頂点に駆け上がるべく、地元開催となった最終節・本庄ラウンドでも勢い良く勝ちきりたいところ。日立優勝の余韻が残るグラウンドには、戸田中央を応援する地元ファンが多数詰めかけ、”太陽誘電ソルフィーユ” を迎えた一戦が始まった。
戸田中央はこの試合の先発に、東地区の防御率1.19で1位を誇るGeorgina Corrick(ジョージナ・コリック)投手を立てて必勝を期する。
リーグ屈指のパワー系投手を攻略するのは至難の業。太陽誘電打線がジョー投手をどう攻略するのかに注目が集まる中、初回から太陽誘電がショー投手を攻略して試合を優位に進める展開となった。
1回表、1死で2番・須田 真琴選手が四球で出塁すると、続く3番・”推しのソ” の橋本 芽衣選手がいきなり左中間を破るタイムリーヒットを放った。一塁ランナーの須田選手は一気にホームまで帰ってきて太陽誘電が幸先よく先制した。
太陽誘電の先発投手は、ルーキーの上原 理瑛選手。ルーキーイヤーで早くも1勝を挙げている上原投手は、太陽誘電の未来を背負う期待の大型ピッチャーだ。その上原投手は、3回まで強力・戸田中央打線を1安打と完璧に抑え込む。1球失投も許されない強力打線を相手に、キャッチャーのミット目掛けて丁寧に投げ込んでいく姿に、スタンドからは大きな歓声が送られた。
試合は最少得点のリードを守ったまま、太陽誘電がリードしていく。すると、3回表に流れを変えるべく戸田中央の福田 五志監督はピッチャーの交代を告げた。ジョー投手に代わりマウンドに登ったのは、後半戦にチームに加入した柴 燚楠(チャイ・イーナン)投手だ。
イーナン投手の立ち上がり、1死から1番・ “推しのソ” の小松 優月選手が死球で出塁すると、続く2番・須田選手も四球でチャンスを広げる。
その後、2死二、三塁まで走者を進め、追加点のチャンスをさらに広げた太陽誘電だったが、イーナン−坂本のバッテリーが変化球をうまく使い、後続を打ち取ってこのピンチを無失点で切り抜けた。
4回裏の戸田中央の攻撃は、2死から5番・ “推しのソ“ の糟谷 舞乃選手がセンター前ヒットで出塁すると、続く6番・武富 沙耶選手もセンターへの2ベースヒットを放ち2死二、三塁と一気にチャンスを広げる。
ここで打席に入ったのは、7番・遠藤 澪選手。遠藤選手の打席まで3安打となかなか自慢の打線が発揮できていないが、一打逆転の好機にベンチもスタンドも大きな声援で遠藤選手を後押しする。
この声援に応えたい遠藤選手は、2-1のバッティングカウントから思い切りよく振り切る。打球はライトフェンスの奥へ吸い込まれる3ランホームランとなり、この回3本の集中打で戸田中央が逆転に成功した。ガッツポーズでベースを1周した遠藤選手は、ベンチを飛び出して本塁付近まで出てきたチームメイトの輪の中へ笑顔で入っていき喜びを爆発させた。
逆転を許した太陽誘電は5回表、1死から9番・田村 虹月選手に代わって代打・西山 しずく選手を打席に送る。
インコースに来た球を思いっきり振りきった西山選手の打球は、上手くライト前に落ちてヒット。この打球を捕ろうと前に詰めたライトのグローブに当たり、打球が逸れる間にすかさず二塁へ進塁した。怪我の影響で後半戦から徐々に出場機会を増やしてきた西山選手のヒットから太陽誘電は反撃を始める。
1死二塁で1番・小松 優月選手はセカンドゴロに倒れて2死。その間に、二塁ランナーの西山選手に代わった代走・川村 茉子選手が三塁に進む。続く2番・須田選手の死球で2死一、三塁と同点のランナーが出たところで、3番・橋本選手がショートゴロを放ち万事休すかと思われた。
この打球を処理したショート・三輪 玲奈選手は、セカンドフォースアウトを選択して2塁へ送球。しかし、一塁走者の二塁到達が一瞬早くフィルダースチョイスとなり三塁走者が本塁生還。太陽誘電が1点を返し、ルーキーの4番・高 美優選手のバットに同点を託す。
その期待に応えた高選手は、痛烈な打球をセカンド横に放つ。この打球は “推しのソ” の名手・鈴木 鮎美選手のグラブを弾き、ボールが点々とする間に二塁走者が生還。太陽誘電が試合を振り出しに戻した。