日本一決定戦に臨むラストゲーム
女子ソフトボールの世界最高峰リーグ “JD”リーグ” のポストシーズンも大詰め。愛知県名古屋市で初会開催となった日本一を決める “ダイヤモンドシリーズ“。
明け方まで断続的に降った雨の影響が心配されたが、最高気温20℃の曇り空とソフトボール観戦には絶好のコンディション。11月16日(土)の準決勝は、第一試合の西地区王者・“トヨタレッドテリアーズ” と、ワイルドカード(東地区4位)から下克上を狙う “ホンダリベルタ” の試合は、最後まで手に汗握る接戦となった。
地元・愛知の大応援団を背にしたトヨタに対し、ホンダも中部地区のオフィスから多くの応援に駆けつけ、栃木の応援団と素晴らしいコラボレーションの応援を見せてくれた。
続く第二試合は、東地区同士の対決。神奈川県横浜市を本拠地とする “日立サンディーバ” と群馬県高崎市を本拠地とする “ビックカメラ高崎ビークイーン” も、地元から離れた愛知県で世紀の決戦に臨む。しかしホンダ同様、今年の日本一を決める大事な一戦には多くの応援団が駆けつけ、リーグ戦の地元開催と見間違うかのような熱気がスタジアムを包んでいた。
因縁の対決となった準決勝
東地区今年度優勝の日立 vs 同昨年度優勝のビックカメラ高崎、今シーズンのリーグ戦から激闘を演じてきたゴールデンカード。ここまでの直接対決は1勝1敗1分と全くの五分、ダイヤモンドシリーズ決勝の椅子をかけての戦いだけでなく、ライバルチーム同士の決着がつく一戦でもある。
この一戦を前に、Journal-ONE編集部は東地区初制覇を果たした “日立サンディーバ” の練習拠点を独占取材。スタッフ、選手たちから話しを聞きながら、日立躍進の理由を紐解いた。それに加え、シーズンで取材した内容やデータなどからこの試合の展望を記事にしているので、このレポートの前に是非とも読んでいただきたい。
ダイヤモンドシリーズ準決勝の展望記事、編集部が最も注目するポイントして挙げたのが、日立・村山 修二監督が提出するオーダー表。投手陣、野手陣ともに今シーズン好調のタレントを多く抱える村山・サンディーバが、一発勝負の決戦でどういった選手起用を見せてくれるのか?
その期待通り、パロマ瑞穂野球場のバックスクリーンで紹介されたメンバー発表には、村山監督が考えに考え抜いたオーダーが並ぶ。DHとして2番に、防御率1.71で7勝を挙げた二刀流・田内 愛絵里投手を起用した。世界のエース・上野 由岐子投手の先発が確実視されていただけに、パワーに勝るDejah Mulipola(デジャ・ムリポラ)選手を起用するかに思えたが、「対戦データや直近の調子を見て、田内の起用を決めました」と村山監督が起用の意図を教えてくれた。
その田内投手先発も予想されていたが、先発マウンドにはエースで主将の坂本 実桜投手が登った。ビックカメラ高崎が誇る “日本代表打線” では、藤田 倭選手、内藤 実穂選手、”推しのソ” 炭谷 遙香選手など右の長距離打者が驚異。東地区2位の防御率(1.53)を誇る、右腕・坂本投手のシーズン通した安定した投球に村山監督が大一番を託した。
一方のビックカメラ高崎は、プレーオフ終了後の会見で岩淵 有美監督が示唆したとおり、世界のエース・上野投手にマウンドを託す。「濱村が怪我で投げられなくなった後半、勝股とともに投手陣を支えてくれた」と岩淵監督が絶対的な信頼を寄せる上野投手が、3戦連続のダイヤモンドシリーズ決勝に向けてプレーオフ2ndステージに続いて先発のマウンドに登った。
徹底したフルスイングで機先を制したのは
先ずは初回、ビックカメラ高崎の攻撃は東地区本塁打王の藤田選手から始まった。一発長打は避けたい日立バッテリーは、徹底した内角攻めをするも藤田選手に死球を与えてしまう。
続く、2番・キャプテンの藤本 麗選手は送りバントをしない攻撃的な構え。スラッグから強い打球も打てる藤本選手に対し、臆さず猛チャージをかけたサード・笠原 朱里選手がゴロをさばくと、素早く二塁へ送球する好プレーで得点圏への進塁を許さない。
「前日練習ができなかったので、マウンドの状態を探りながら投げた立ち上がりだった」と、話していた坂本投手は、この攻撃的な守備で流れを掴むと、続く日本代表・工藤 環奈選手、内藤 実穂選手を邪飛に打ち取り上々の立ち上がりを見せた。