アスリートが地元掛川を紹介! 「掛川城をバックに戦国武将の気分を味わう」遠州掛川鎧屋

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日本で高まるストリート陸上人気

競技場を飛び出して街中で開催される”ストリート陸上”は、ヨーロッパで人気があり、国際的な競技会も開催されている。その魅力は、なんといっても「間近で競技を見られる」こと。

スタジアムでは実感できなかったアスリートたちの躍動感、息づかい、迫力、美しさを知ることができる。日本でも、まだ数多くとは言えないが、イベントして各地で実施されている。気軽に足を運び、ぜひ、陸上の醍醐味を知る機会になってくれたらいいなと思う。

ここでは、ターミナル駅から徒歩3分で行ける広場で、年に1回開催されている街中走高跳”ジャンプフェスティバル”のケースを紹介しよう。トップアスリートと地域活性化のスペシャリストがタッグを組んだことで、魅力的なイベントに育っている。

”ストリート陸上” ジャンプフェスティバルで盛り上がる神戸市の会場-児玉育美撮影

鉄人28号モニュメントの下で

兵庫県神戸市。JRと地下鉄の計3路線が乗り入れている”新長田駅”から、南に広がる商店街へ向かう途中に位置する若松公園に、高さ15.3m、直立させると“身長18m”となる巨大な”鉄人28号”のモニュメントがあることを、ご存じだろうか?

神戸市出身のマンガ家、横山光輝さんの作品『鉄人28号』に出てくるこのキャラクターは、1956年にマンガで発表されたのちに、アニメ化もされて大人気を博した「ロボットもの」の草分け的存在。

1995年に起きた阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた新長田地区の復興と、さらなる地域活性化のシンボルとして製作され、2009年の完成以来、横山さんゆかりの地である新長田を見守り続けている。

阪神・淡路大震災復興のシンボル”鉄人28号モニュメント”-児玉育美撮影

“鉄人広場”と名づけられた足元に広がる一帯では、年間を通して、さまざまなイベントが開催され、人々が憩い、集う場所となっているが、その1つとして、定着しつつあるのが、”ジャンプフェスティバル”。通常は陸上競技場内で行う走高跳を、街中で開催して、その迫力と醍醐味を多くの人に楽しんでもらおうとする試みだ。

「きっかけとなったのは、2014年2月に出場したチェコの小さな街で開催された競技会です。体育館にオールウェザー(全天候型走路)のマットを敷いて、そこで走高跳の公認競技会が行われていたんです。

そこでは、手を伸ばしたら観客に手が届くようなピットで跳んでいくわけです。自分には『走高跳は陸上競技場でやるもの』という固定概念があったので驚きました。

でも、観客の反応がすごく近く感じられたこと、逆に自分が観客の立場で観戦していたときに、(ジャンプするときの)音とか、息づかいとか、そういうのが全部聞こえてきたことがとても新鮮で、“すごくいいな”と感動しました。

当時は、『日本でも、こういうのを誰かやってくれないかな』という他力本願な気持ちだったのですが(笑)、競技生活の終盤に向かおうとする時期になると、『これを日本で実現させられないかな』と思うようになったんです」

こう話すのは、仕掛人としてイベントを主催する一 般社団法人”Jump Festival“代表理事の衛藤昂選手。男子走高跳で2m30の自己記録を持ち、2016年リオ、2021年東京五輪のほか、数多くの世界大会に出場してきた日本が誇るトップジャンパーの1人だ。

Jump Festival代表理事の衛藤選手は東京五輪後の引退から競技復帰し、2m30の自己タイ記録を跳んだ-児玉育美撮影

走高跳が持つ迫力や美しさ、勝負の妙、自身の内面と戦う静謐な瞬間がもたらす緊張感などを、もっと多くの人に知ってもらいたい。スタジアムでは遠く離れた位置からしか観戦できない走高跳を目の前で見てもらって、みんなとワクワクする気持ちを共有したい…。

そんな衛藤選手の思いに賛同する仲間たちが集まって準備を進めていくなか、2021年8月に法人を設立し、同年11月に、鉄人広場でのジャンプフェスティバルが実現した。以来、バージョンアップを図りながら回を重ね、今年11月3日には4回目の開催を成功させている。

駅近、人通りの多い商店街そば、適度なスペース、安全の確保、場所を象徴するアイコン…イベントを行うのに最高の条件が揃う鉄人広場での開催は、もう1つ、Jump Festivalに大きな支柱をもたらすことになった。

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