とは言え、早々にトラックドライバーという仕事を放棄するわけにはいかない。「結局、チームに合流できたのは今年1月末に行われた鹿児島合宿からでした。再びソフトボール選手に、しかも最高峰のリーグ・JDリーグでプレーすると知り、営業所の所長さんも喜んで送り出してくれました。本当に感謝しています」と、背中を押してくれた職場の皆さんに感謝をしつつ、望月選手は鹿児島の地に飛んだ。
根っからのソフトボール好きを改めて
結局、ソフトボール選手として始動した望月選手が、開幕までに残された時間は僅かに3ヶ月余り。焦りや不安、上手くいかずに苦しむこともあっただろう。
「う~ん・・・そういった感情はありませんでしたね(笑)」と、笑顔で応える望月選手をまたもや不思議そうな顔で見つめる私たちの感情を察し、「全体練習だけでなく、朝と夕方に設けられていた自主練習も全て参加しました。やはりソフトボールが好きなのですかね。好きだからこそ大変だとは思えないのです。加藤監督にも “私のソフトボールは本気の遊び” と言っているくらいですから」と、特別賞を獲得する活躍を見せた最大の理由が “根っからのソフトボール好き” にあることを教えてくれた。
“根っからのソフトボール好き” は、シーズン途中にも才能を開花させる。後半戦開幕となった札幌ラウンドでの大活躍は、ブレイク期間中にも研究し続けたことが起爆剤になったと話す望月選手。
「ギャラクシースターズの打線は、1番に中川(彩音選手)、3番にステーシー(・ポーター選手)、4番にエリカ(・ピアンカステリ選手)と強打者が続きます。後半戦は、より二番打者の私で勝負するケースが増えると思ったので、打撃の精度を高めなければとブレイク期間中に自分の打撃力を上げる研究をした成果が出ましたね」と、“神懸かった札幌” を振り返ってくれた。
「身近にいる強打者・中川とエリカの打撃を研究して、パーツパーツを自分の打撃に取り入れたところ、とても良い効果が生まれたのです」と、超銀河系打線のエッセンス抽出に成功したことを教えてくれた望月選手。「(MLB、ロサンゼルス・ドジャーズの)大谷 翔平選手の懐の深くボールを呼び込む打法も参考にさせて貰いました」と、日本が誇る強打者のテクニックさえ吸収しようと熱心に練習したことにも触れていた。
諦めようとした時には・・・
トップリーグで活躍する夢を叶えた望月選手と思いきや、「一年を走りきった今、当たり前では無い環境でソフトボールをやらせていただいたことに感謝しか無いのですが、まだまだ自分は出来ると思っています」と、夢道中を話しはじめた望月選手。
「私の夢でもあり、チームみんなの夢は、ダイヤモンドシリーズで勝つことです。今年、”自分たちは最高のチーム” だと思ってその夢に臨みましたが、(ダイヤモンドシリーズ出場に)届きませんでした。来シーズンは、最高の更に上のチームを新たに作っていかなければなりません」と、力強い眼で私たちに決意を語ってくれた。
トップリーグという夢の舞台への復帰を果たした望月選手。何かを諦めようと考えている後輩や子どもたちにアドバイスを送るなら?と尋ねると、「ソフトボールはもちろん、何かを諦めなければならない場面に遭遇する。何かを諦めてしまったという経験は誰にでもあるかと思います。人生には誰にでも波がありますから、そういった場面で自分の気持ちも一緒に下がっていては仕方がありません。皆さんの周りには、必ず支えてくれる仲間や環境があるはずです。そういった恵まれた環境が、きっと助けてくれるでしょうから、常に前向きに考えて欲しいと思います」と、アドバイスをしてくれた。
トップリーグに復帰して直ぐ、素晴らしい結果を出して見せた望月選手だが、これには “気持ちの持ち方” が必要だとその秘訣も教えてくれた。