チームの成長は個人個人のもうひと伸びで
「ちょっとしたズレが大きなミスに繋がってしまった」と、良い流れで入った後半早々にトライを許した場面を悔やんだのはCTBの梶村祐介キャプテンだ。
「我慢比べで負けた分の点差だね。こういった試合を勝ちきるためにチームとして成長しなければ。特にメンタル的なプレッシャーは選手一人一人が克服しなければならない。単純に”経験”とは言いたくないが、チームの伸びしろに期待する」と、沢木敬介監督は惜敗に前を向いた。
「極力敵陣でプレーするというゲームの目標は達成した。キックで陣地を進めることもできた。しかし、スコアの取られ方が良くなかった。1フェーズ、2フェーズで簡単に取られてしまったのは良くない。個人個人の問題なので、練習でというよりはこの敗戦を選手たちがどう活かしていくか」と、最後のワンピースへの期待を残して会見場を後にした。
開幕を淡々と振り返るビッグプレーヤーたち
世界の大舞台を経験してきたビッグプレーヤーたちには、開幕戦のプレッシャーなど微塵も無い。
「今日の試合はタフだったね。キツい試合だった」と、内容を振り返るのはBL東京のリッチー・モウンガ選手だ。「(前半最後の)松永のトライが特に大きかった。後半に入り、ロングキックでディフェンス陣が上がっているのを見て、流れを変えようと一回アタックした」と、逆転の流れを作った後半のターニングポイントを教えてくれた。
開幕戦での緊張は?と聞かれたモウンガ選手は、「(開幕戦という)プレッシャーは全く無いよ」とこれまで経験した大舞台から比べれば、どこ吹く風と言わんばかりに答えてくれた。
「久しぶりに80分プレーした。公式戦に戻って来れて嬉しい」と、やや疲れた表情で試合の感想を話したのは、横浜Eのファフ・デ・クラーク選手。「最初の20分は良かったですが、もう少しキックの精度を上げていかないと」と、これから続くリーグ戦へ修正すべきポイントを話してくれた。
ラグビーW杯2023優勝のSHにも開幕戦への緊張感を尋ねた記者団に対し、「ピッグゲームを多く経験している選手にとって、プレッシャーを感じる場面はなかった」とデ・クラーク選手。むしろ、後半点差が開いた場面でも変わらぬハードワークを続けるメンタリティについて、「私たちトッププレーヤーにとって、ネバーギブアップで試合をすることは当然のこと」と笑顔で教えてくれた。
世界中から超一流の選手が集まるNTTジャパンラグビー リーグワン。その姿や素晴らしいプレーを間近に観られるところが、リーグワンの大きな魅力の一つでもある。しかし、こういった一流選手たちのゲームに臨むメンタリティや試合以外での振る舞いを観ることで、将来の日本代表を目指す若いラガーマンはもちろん、様々なスポーツで頑張っている若い選手たちにも学ぶべきポイントが幾つもある。
ラグビーを見たことが無い、ルールが分からないといった初心者の皆さんでも、こういった一流選手たちのプレーを観れば、きっとラグビーの面白さが分かるだろう。まだリーグワン2024-2025シーズンは始まったばかり。是非、お近くで行われる試合予定をチェックし、今シーズンはラグビー観戦をしてみては如何だろうか。