グッドデザイン賞受賞の地域コミュニティ
2024年度グッドデザイン賞を受賞した、“OPEN HOUSE ARENA OTA(オープンハウスアリーナ太田)”。群馬県の南東部に位置する太田市に、2023年4月に完成した新施設だ。
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OPEN HOUSE ARENA OTAの外観-JournalーONE撮影
人口22万人という街の規模に合わせ、約5,000人収容としたコンパクトな空間には、日本最大級の可動式センタービジョン、世界最高峰のサウンドシステムなどの観戦環境が装備されている。日本の男子プロバスケットボールリーグB.LEAGUE(Bリーグ)の群馬クレインサンダーズがホームアリーナとして使用し、2022-23シーズンの平均観客動員数はリーグ3番目となる平均入場者数5,276人を記録した。
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新アリーナで躍動する群馬クレインサンダーズ-JournalーONE撮影
アリーナ総工費約82.5億円は、群馬クレインサンダーズのオーナーである株式会社オープンハウスグループの企業版ふるさと納税約40億円と、ネーミングライツスポンサー料3年間分3,000万円を活用する新手の手法で竣工されたオープンハウスアリーナ太田。太田市の財政負担を軽減させて実現した、シビックプライドを育む「夢のアリーナ」の誕生だ。
バスケを核にまちづくり
プロスポーツとコミュニティ拠点が一つとなったプロジェクトであるオープンハウスアリーナ太田。グッドデザイン賞を受賞した理由は、アリーナのデザインや観戦設備といったハード面だけではないところが面白い。
屋外には、3×3ができるバスケットコートが設けられ、子どもたちが楽しそうにバスケットに興じている。日本最高峰リーグで活躍する群馬クレインサンダーズの選手たちに自分たちの将来を重ね合わせ、笑顔と笑い声にあふれた幸せな空間を作り出す。子どもたちが集まり楽しそうに過ごす姿を見ると、太田市の明るい未来を想像するに難くない。
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3×3コートでは子どもたちが笑顔でバスケに興じる-JournalーONE撮影
こうして新しい街のシンボルとなったオープンハウスアリーナ太田は、地域住民が集うだけでなく、全国からバスケットボールファンが集まることで、新しいコミュニティを育む場所にもなっている。試合開催日は周辺の運動公園一帯でマルシェや音楽イベントなどがおこなわれ、周辺地域を含めた地場産品を使った食事やスイーツが販売されている。試合観戦のついでに立ち寄って欲しい観光スポットの案内もあり、“わが街、太田”のPRも忘れない。
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ご当地食材を使ったグルメや観光地を紹介するブースがズラリ-JournalーONE撮影
市外から訪れたファンが笑顔になる数々の”おもてなし”は、「太田市にはこんな素晴らしい場所がある」と太田市のイメージを全国に広げていく。地域住民もまた、「太田市で素敵な時間を過ごしてもらいたい」と新たな街のシンボルに誇りを持ち、その存在を大切にしていくという交流拠点としての成長が見込まれるだろう。
独特の演出で試合を盛り上げる
オープンハウスアリーナ太田のこけら落としとなった2023年4月15日、16日の宇都宮ブレックス戦には、収容人数5,000人の施設に両日合計10,739名のファンが集まった。その盛り上がりに応えるべくホームの群馬クレインサンダーズは、開幕戦で前半30-43と13点のビハインドを背負いながらも見事逆転し、オープンハウスアリーナ太田におけるオープニングゲーム勝利者となった。
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新アリーナで躍動する群馬クレインサンダーズ-JournalーONE撮影
ファンと選手たちが一体となり織りなす感動と興奮のドラマは、オープンハウスアリーナ太田独特の演出でさらに印象深いものに仕上がる。可動式センタービジョンや臨場感溢れる音響設備が、試合前から会場の雰囲気をブーストさせる役割を果たしており、選手たちの声や息づかいまでが共有できるベースライン、サイドラインからわずか2mの近距離に設けられた観客席は、プレーの熱量を全身で感じることができる。
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