JDリーグ第1節(4月12日)〇日立8∸0NEC●
超~Who dares wins~
世界最高峰の女子ソフトボールリーグ、JD.LEAGUE(以下、JDリーグ)の2025シーズンが4月12日に開幕した。昨シーズン、激戦の東地区を制し日本一決定シリーズのダイヤモンドシリーズ(以下、DS)で準Vに輝いた”日立サンディーバ”のシーズンスローガンは、「超~Who dares wins~」だ。

開幕戦に臨んだ日立サンディーバの選手たち‐Journal-ONE撮影
日本語で、「敢えて挑んだ者が勝つ」「挑む者に勝利あり」を意味するイギリス陸軍のSAS (特殊空挺部隊) のスローガンでもあるこのフレーズを開幕戦から実践して見せた日立サンディーバの強い思いは、3月末に行ったサンディーバ・スペシャルインタビューからも感じるものがあった。
試合直前のワクワク感
スペシャルインタビューの際、「やるべきことはやってきた」と話していた日立サンディーバの村山修次監督は、「ワクワク感半分と緊張感半分ですかね」と開幕試合を1時間後に控えた中、今の心境を話してくれた。

Who dares winsをスローガンに三冠を目指す村山監督(日立)-Journal-ONE撮影
「お約束通り、一味違ったサンディーバをお見せしますよ」とベンチへ向かっていった村山監督、胡子路代コーチ。それに続き、選手たちもスタンバイを開始したが、その最後の準備に違和感を覚えた。
堅実な守備と走塁が自慢の杉浦穂華選手に黙々とノックを打つ胡子コーチの姿は”いつも通り”といったところだが、そのノックに加わり投手前のバント処理を淡々とこなすキャプテン・坂本実桜投手。昨シーズンの勝ち頭、エースが投球練習をしていない事態に「大事な開幕戦は誰が投げるのか?」とスターティングラインナップの発表に耳を傾ける。

JDリーグ2025スローガン”再輝動”注目16選手の一人 坂本実桜(日立)
“敢えて挑む”開幕メンバーに驚く
「日立サンディーバのピッチャーは、奥野心」との場内アナウンスに、神奈川県から駆け付けた日立応援団もザワつく。奥野投手は今季、淑徳大学から入団したルーキーだ。
昨シーズン、前半戦の快進撃を支えた“二刀流”の田内愛絵里投手、DS決勝で力投を見せた長谷川鈴夏投手、剛速球が冴えるDontaysha Gobourne(ドンテイシャ・ゴーボーン)投手と豊富な投手陣を要する日立サンディーバの開幕戦を託したのは大卒ルーキー右腕だった。

副主将、5番打者と主力として大きな役割を背負う笠原朱里(日立)∸Journal-ONE撮影
さらにスターティングラインナップでも、昨シーズン首位打者の藤森捺未選手、ベテランのクラッチヒッター森山遥菜選手の名前が入っていないのだ。※日立サンディーバの開幕スタメン:1(左)保谷蓮、2(中)唐牛彩名、3(二)杉本梨緒、4(BP)山内早織、5(三)笠原朱里、6(右)平田唯花、7(一)堀口佳乃、8(捕)女鹿田千紘、9(遊)北原花菜絵
敢えて挑んだ者が勝つ
JDリーグ優勝はもちろん、夏の皇后杯 全日本総合女子選手権大会、秋の国民スポーツ大会(神奈川県代表)の「三冠」を狙う日立サンディーバの大事な初戦だけに、大事に行きたいと考えるのが常道。しかし、「奥野の起用は、私にとってもチームにとっても、そして(奥野)本人にとっても大きなチャレンジだった」と試合後に村山監督が振り返った通り、その期待に奥野投手は満点回答で応えて見せた。

開幕戦先発した新人・奥野心(日立)は初登板を完封勝利で飾った‐Journal-ONE撮影
散発3安打、JDリーグ初登板を開幕で、しかも完封勝利で飾った奥野投手は試合後、「開幕戦登板は水曜日に聞きました。もちろん緊張しました」と笑顔でインタビューに応じたが、リードした女鹿田捕手は、「新人とは思えないほど度胸があるので、緊張なんかしていませんでしたよ」と突っ込みを入れる。「NEC打線は強力なので、とにかくコーナーにしっかり投げた」と完封バッテリーが振り返った通り、奪三振わずか2とバックを信頼しで打たせて取る投球に徹した。
