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東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会でイタリアのホストタウンとして登録された岡山県矢掛町。東京2020大会は終了しましたが、2021年11月13日(土)~14日(日)に開催されたサッカーイベントを通じて、イタリアとの絆はさらに深まりました。

セリエAの選手として10年間におよぶ活躍を経て、現在はACミランアカデミー東京でテクニカルディレクターを務めるマヌエル・ベッレーリ氏の指導のもと、矢掛町の小中学生(U-9、U-12、U-15)が週末、同アカデミーのトレーニングメソッドを体験しました。

会場となった矢掛スポーツセンターは山野通彦・矢掛町長の発案で建設されたもので、町長は次のように述べています。「イタリアをはじめ、国際的なスポーツシーンとの絆が深まることを非常に嬉しく思います。東京2020大会のホストタウン・プロジェクトと同様に、このイベントがスポーツを通じた教育というかたちで、子供たちにとって文化の多様性を学び理解する機会となることを願っています」

一方、「子供たちはこのイベントを待ち焦がれていました。セリエAの選手に教えてもらえることに胸を躍らせ、どんな経験になるか楽しみにしています」と語るのは、矢掛フットボールチームのアシスタントを務める大月麻希さんです。

ベッレーリ氏が注意深く見守るなか、「ミラン・メソッド」を習ったのは、土日合わせて40人ほどの子供たち。ベッレーリ氏はまず、基本の動きを完璧にマスターすること、自分自身の長所・短所を知ること、そしてチームメイトとコミュニケーションをとることの大切さについて説明しました。

グループ練習では、そうした説明やエラーを正すことを通して、これまでとは異なるトレーニング方法を体験し、子供たちは「プロのサッカー選手になる」という夢に向けて新たな刺激を受けたようです。

ベッレーリ氏の指導は技術的なアドバイスにとどまりません。自信を持つことの大切さ、フィールドでスペースを確保するための体の使い方、チャンスを最大限に活かすためにフィールドにいる選手をよく観察すること、といった重要性も教えてくれました。

基本をマスターすることが成功のカギだからこそ、ちょっとしたコツや些細な気配りが差を生むのでしょう。一緒に参加したコーチ陣にとっても、これはまたとない機会。異なるスタイルのトレーニングを間にあたりにして、大いに感心しつつ興味がつきないようでした。

そんなコーチ陣にも質疑応答の機会が設けられ、ベッレーリ氏は、さまざまなトレーニング方法は互いを補い合うものであり、子供たちの潜在能力を伸ばすのに役立つこと、また、子供たちはいろいろな刺激を受けることで、技術と個性を融合しながら自分にとって最適なスタイルを見つけられること、などを強調しました。

スポーツは人生における大切なトレーニングの場です。また、コーチは単にトレーナーであるだけでなく、幼い選手を教育する立場にもあります。そんな思いから、子供たちが失敗したときでも冷静に向き合えるよう、モチベーションに関する質問を投げかけるコーチも見られました。

コーチ歴13年の大月智広さんによれば、選手個人としてもチームの一員としても、注目を集めたり自分の意識を高めたりするために「アグレッシブであること」がいかに大切か、というお話が強く印象に残ったといいます。

この2日間で、最初は恥ずかしいのか口数が少なかった子供たちも、ベッレーリ氏や通訳のリョウ氏、アシスタントコーチのダヴィデ氏に対して次第にオープンになっていきました。ダイレクトで簡潔な説明、わかりやすい例を用いたエラープレーの修正、励まし、そしてたくさんの練習を通じて、子供たちはプロが教えるミラン・メソッドを全身で受け止めました。

子供たちからも、フィールドでもっと活躍するにはどうしたらいいかといった技術的なことも、試合に臨む心構えやモチベーションの持ち方などのメンタルな面も、多くの質問が発せられました。

「体の使い方や、タイミングのつかみ方など、いつもとは違うトレーニングだった」と話してくれたのは、U-12の岡本草大君と柚木悠叶君。U-15の濱田修至君にとっても、体と空間の使い方が最も印象に残ったアドバイスだったそうです。また、U-9の若きキャプテンを含む5人の女子選手も、プロのサッカー選手になる夢に向けて素晴らしい経験になったと実感したようです。

U-9の植田亜輝君は、このイベントに参加できたことに感謝の気持ちを表して、次のように語りました。

「ACミランやセリエAの選手のような大物がこの町にやって来るというのは、普通では考えられません。こんな特別の経験ができたのだから、マヌエルのアドバイスに従って、プロのサッカー選手になるために最大の努力をしたいと思います」

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