五輪イヤーの代表選考はどうなる?
2024年はオリンピックイヤー。日本陸上界では一部で内定者を出しているものの、トラック&フィールド種目の代表争いは、国内での屋外シーズンが開幕する4月から本格化し、6月27日(木)~30日(日)に新潟で行われる、日本代表選手選考競技会の”日本陸上競技選手権大会”が決戦の場となる。
ただし、この日本選手権を待たずに、“パリ行き切符”を手にする可能性のある選手が実は6人いる。ここでは、この6選手にスポットを当て、この春、代表内定のアナウンスが流れるかもしれない国内大会をご紹介しよう。
パリオリンピックに出場するには
陸上競技のパリ五輪実施種目は、リレーを含めた男女各23種目と男女混合2種目の計48種目。それぞれの種目に世界陸連(ワールドアスレティックス:以下、WA)が”ターゲットナンバー”という出場枠を設けている。
個人種目で五輪出場資格を得るためには、決められた期間内に「参加標準記録を突破する」か、「ワールドランキングでターゲットナンバー内に入る(1カ国の上限3名)」ことが求められる。
出場資格を得た選手が、さらに日本代表の座を得るためには、日本陸連が「トラック&フィールド種目」「マラソン」「競歩」の3つに分けて設定している日本代表選考要項の条件を満たさなければならない。
早期に代表内定が出る可能性がある有力選手
今回、紹介するのは選考競技会である日本選手権の前に、内定を得られる可能性がある選手たち。
すでに、昨年のブダペスト世界選手権で金メダルを獲得した女子やり投の北口榛花が、同大会で日本陸連の設定条件も満たして、陸上競技でのパリ五輪代表内定第1号となっているが、ブダペスト世界選手権で8位以内に入賞し、日本人最上位を占めた次の6選手も、今後、出場する大会で参加標準記録を突破すれば、五輪代表に即時内定するところまで来ている。
【参加標準記録を突破すると、五輪代表に内定する選手】
※ES=参加標準記録、PB=自己記録
・男子100m:サニブラウン アブデルハキーム
(世界選手権6位、ES:10秒00、PB:9秒97)
・男子110mハードル:泉谷駿介
(世界選手権5位、ES:13秒27、PB:13秒04)
・男子3000m障害:三浦龍司
(世界選手権6位、ES:8分15秒00、PB:8分09秒91)
・男子走高跳:赤松諒一
(世界選手権8位、ES:2m33、PB:2m30)
・女子5000m:田中希実
(世界選手権8位、ES:14分52秒00、PB:14分29秒18)
・女子10000m:廣中璃梨佳
(世界選手権7位、ES:30分40秒00、PB:30分39秒71)
春は日本グランプリシリーズの大会が目白押し
このうち、アメリカを拠点とするサニブラウンは、例年の状況を見る限り、日本ではなく、海外の競技会でコンディションを上げていくことになりそう。もちろん、ほかの5選手についても、ダイヤモンドリーグを始めとする国際大会への出場を優先する可能性はあるが、国内で内定の瞬間を目にすることができるかもしれない。
日本の春シーズンは、”日本グランプリシリーズ”(GPシリーズ:年間を通して指定大会で獲得したポイントを競い、年間チャンピオンを決めるトラック&フィールド大会の総称。2024年は全国で16大会が予定)が、4月中旬からスタート。
ゴールデンウイークを中心に各地で加盟大会が続いたのちに、海外からもトップ選手が参戦する”セイコーゴールデングランプリ”(セイコーGGP)を5月中旬に開催するのが、近年の定番スケジュール。
加えて、今年は他種目と別開催で行う日本選手権10000mが5月3日、日本GPシリーズの1戦である静岡国際のあとに、同じ会場で実施される。
この春に行われる主な陸上競技大会
日本選手権までに予定されているトラック&フィールド種目の国内主要大会は以下の通り。