“横浜文化体育館”が”横浜BUNTAI”としてリニューアルオープン
1962年の開館以来、多目的ホールとして長きにわたって親しまれてきた”横浜文化体育館”が、施設の老朽化を受けて閉館したのが2020年。それから4年の歳月が経った2024年4月、新たに建て替えられた”横浜BUNTAI“が完成し、6日と7日には横浜出身の2人組ミュージシャン”ゆず”によるこけら落とし公演が開催された。
コンサートの他にも、入学式や成人式など、あらゆるイベントに利用されてきた旧施設が“体育館”と銘打っているだけあって、その名前を半ば継承する形となった新施設も、主たる利用目的はスポーツ興行だ。
河村勇輝率いる横浜ビー・コルセアーズがホームゲームを開催
ゆずのコンサートに続くイベントは、4月10日のBリーグ”横浜ビー・コルセアーズ“(以下、横浜BC)のホームゲーム。横浜BCといえば、昨シーズン初めてチャンピオンシップ(プレーオフ)に進出し、セミファイナルまで勝ち進んで一躍注目を浴びたクラブだ。
圧巻の活躍でレギュラーシーズンのMVPに輝いた河村勇輝が、その後は日本代表の一員として昨夏のワールドカップに出場。今年開催されるパリオリンピックの出場権獲得に大きく貢献したことは、バスケットファンならずとも多くの人が知るところだろう。
横浜BCがこの横浜BUNTAIでホームゲームを開催することに関しては、その裏にこんな事情がある。Jリーグと同様にクラブライセンス制度を採用しているBリーグは、そのライセンス要件にホームアリーナの確保が含まれており、最高位であるB1リーグの場合、全ホームゲームの8割を5000人収容可能なアリーナで開催する必要がある。
横浜BCは都筑区にある”横浜国際プール“をホームアリーナとしているが、4月から9月までは文字通りプールとして使用されるため、シーズン終盤を迎えた4月以降は、横浜BCのホームゲームを開催することができず、県内の他会場を使わざるを得なかった。
旧施設の横浜文化体育館もそのうちの1つ。Bリーグ以前に存在したbjリーグに新規参入した2011-12シーズン、その開幕戦を戦ったのが横浜文化体育館であり、2016年9月に行われたBリーグでの最初の試合も横浜文化体育館だった。横浜BCにとっては、節目で使われる重要な体育館だったのである。
チケット完売の新アリーナで新しい演出
生まれ変わった横浜BUNTAIで初めて開催された横浜BCのホームゲームは、水曜の午後7時試合開始だったにもかかわらず、4,830人という入場者数を記録して行われた。これは、横浜BCの注目度の高さに加え、JR関内駅から徒歩6分という立地の良さも大きな要素となっているだろう。
選手入場時や試合開始直前のスターティング5発表時には、場内の照明を落とす暗転演出も実施。Bリーグ全体を見渡すと暗転演出は一般的なものとなっているが、天井の一部から屋外の光が入る横浜国際プールではできない演出であり、横浜BCは今回のBUNTAI初開催にあたり、演出面に特に力を入れるべく議論を重ねてきたということだ。
横長のビジョンを生かすために、新しい映像やCGなどを用意。スターティング5発表での炎を使った演出には観客席からも驚きの声が上がり、既存のブースター(ファン)にとっては、新しいアリーナへの期待感を抱かせるものだったに違いない。
しかし、残念ながら試合は横浜BCにとって苦しいものとなった。信州ブレイブウォリアーズを迎えた一戦は、第1クォーターこそ、14-15と1点ビハインドで終えたものの、第2クォーターに入ると相手の積極的なオフェンスに対して受け身になってしまい、その後は信州のペースで推移。
第4クォーターには最大25点差をつけられた時間帯もあり、最終スコアは66-84。1試合平均20得点を超え、得点王争いを繰り広げている河村もこの日は13得点にとどまった。B2降格の危機に瀕している信州の気迫に圧され、チームとして攻守ともに見せ場を作れないまま終わってしまった印象だ。
両ヘッドコーチも思い入れがある場所
その信州を率いる勝久マイケルヘッドコーチは、かつて横浜BCでアシスタントコーチとヘッドコーチを歴任し、クラブの歴史を知る1人。久山智志アシスタントコーチとウェイン・マーシャルも横浜BCで勝久HCと共闘した経緯がある。