陸上競技の2024年トラックシーズンがいよいよスタート!国外から世界水準の好記録情報が届くとともに、国内でも日本グランプリシリーズが開幕し、オリンピックイヤーならではの盛り上がりを見せている。
日本の陸上競技の大会は、ゴールデンウイークを中心として、その前後に主要大会が怒濤のごとく続いていく日程となるのが、古くからの常。
近年では世界陸連(ワールドアスレティックス/WA)が主催する世界最高峰のシリーズ競技会「ダイヤモンドリーグ(DL)」で活躍する選手も増えていることから、チェックが必要な大会は、日本だけでなく世界にも広がっている状況だ。
このタイミングでトップ選手のこれまでの動向をいったん整理し、いよいよ始まるゴールデンウイークに予定されている注目大会に備えていこう。
男子110mハードルの泉谷駿介が代表内定
新年度を迎えて、陸上競技ではパリオリンピックの代表に内定する選手が増えてきた。2023年度を終えた段階では、昨年のブダペスト世界選手権金メダル獲得で内定していた女子やり投・北口 榛花のほかは、マラソン男女各3名および、20km競歩男女各1名のロード種目8名だった。
だが、4月20日に廈門(中国)で開催されたダイヤモンドリーグ第1戦で、ブダペスト世界選手権男子110mハードル5位の泉谷 駿介が条件を満たして、男子のトラック&フィールド種目内定第1号になった。泉谷はこのレースが初戦だったが、強豪アメリカ勢と優勝争いを繰り広げ、13秒17の好タイムをマークしている。
4月21日には、パリオリンピックで初めて実施される男女混合競歩リレーの出場枠獲得を懸けて、「チーム競歩」がアンタルヤ(トルコ)で開催された世界競歩チーム選手権に挑み、各国に与えられる最大の2枠を、がっちりとつかみとった。
この結果を踏まえて、4月26日には、すでに内定していた2名を含めて競歩3種目の代表内定者8名(のべ9名)が発表され、4月26日時点で、内定者は16名となっている。
◆パリ五輪内定者(16名/のべ17名)
・男子110mハードル:泉谷 駿介
・女子やり投:北口 榛花
・男子20km競歩:池田 向希、濱西 諒、古賀 友太
・女子20km競歩:藤井 菜々子、岡田 久美子
・男女混合競歩リレー:川野 将虎、髙橋 和生、岡田 久美子、柳井 綾音
・男子マラソン:小山 直城、赤﨑 暁、大迫 傑
・女子マラソン:鈴木 優花、一山 麻緒、前田 穂南
パリ五輪経向けて、GW注目の陸上大会
これからはトラック&フィールド種目での代表争いが本格化していくことになる。陸上競技ではオリンピック出場を果たすためには、WAが定めた参加標準記録を突破するか、1カ国上限3名でのワールドランキングでターゲットナンバー(出場枠)内に入るかのどちらかが条件となる。
参加標準記録は、年々どんどん設定が高くなっていて、その水準を思いきりざっくり説明するなら、「オリンピック本番でマークできたら、決勝に行けちゃうかも。フィールド種目だったら、メダルに近づけちゃうかも」というくらいのレベルの高さなのだ。
ゴールデンウイーク前後で行われる大会で「内定」のアナウンスが流れる可能性があるのは、昨年の世界選手権で8位内の成績を収めた選手が、参加標準記録を突破した場合と、5月3日に行われる日本選手権10000mで、優勝者が参加標準記録を突破した場合のみに限られてしまう。
そのため、もし内定の瞬間を目の前で見ることができたら、それは、「レアキャラ、ゲット」という感じ。まずは、「参加標準記録突破者がどれだけ出るか。すでにクリアしている選手が、さらに調子を上げているか」を楽しみにしたいところだ。
では、4月末から5月上旬にかけて国内外で行われる大会のうち、エントリーが判明しているものについて、そのみどころを挙げていくことにしよう。
4月27日(土)ダイヤモンドリーグ第2戦(中国・蘇州)
女子やり投の北口が、この大会でシーズンイン。男子110mハードルでは、泉谷が第1戦に続いてエントリー。調子をさらに上げているようだと、自身が持つ日本記録(13秒04)更新や、日本人初の12秒台突入の可能性もある。
男子100mでは、日本人最初の9秒台スプリンター・桐生祥秀も第1戦に続いて、男子走高跳には2022年オレゴン世界選手権入賞の真野友博が、それぞれエントリー。また女子400mには久保山 晴菜が日本人女子短距離では初めてDLに出場する。
※結果
・男子100m:8位 桐生 祥秀(10秒37)
・男子110mハードル:2位 泉谷 駿介(13秒23)