昨夜の接戦から余韻は続く
女子ソフトボール “ニトリJDリーグ” の第4節は、全4会場で一斉に試合が行われる土曜日の第1試合。
愛知県名古屋市にあるパロマ瑞穂野球場では、金曜日のナイトゲームを接戦で制した “トヨタレッドテリアーズ” が、連日となる緊迫した接戦を演じた。
5月とは思えない強い日差しの下、トヨタ先発のMegan Faraimo投手(メーガン・ファライモ)に対し、“タカギ北九州 ウォーターウェーブ” はTOP日本代表候補にも選出されているエースの鹿野 愛音投手が先発。スタジアムに詰めかけた1,197人の観客は、初回から手に汗を握る投手戦となった。
序盤の投手戦にタカギが仕掛ける
両先発が無難に立ち上がった序盤、先に好機を掴んだのはタカギ。
前日の東海理化vsトヨタの一戦を視察した来條 美穂監督は試合前、「トヨタは選手層が厚く、誰が出ても試合をしっかりと作ってくる」と警戒しつつも、個性溢れる自軍の選手たちには抜群の信頼感を寄せていた。
3回表、その代表格である ”推しのソ” 細野 摩な選手がレフトへチーム初安打を放つと、ワイルドピッチで無死二塁と先制のチャンスを作ると、9番・乙津 向茄秋選手の犠打で1死三塁。ここで打席にはこちらも “推しのソ”、ミート力に定評のある山根 悠夏選手が打席に入る。
しかし、この場面でギアを一気に上げたのはメーガン投手。粘る山根選手と続く土井 彩香選手を連続三振に切ってとり、簡単には先制点を許さない。
常に進化を続ける王者・トヨタが反撃
ピンチを凌いで、今年から一塁ベースコーチャーに立つトヨタの馬場 幸子監督は、「バッバ(ニクルス)の抜けた攻撃力をチーム全体でどう補うか」とキャンプ、オープン戦で様々な役割を選手に与えてきた。
自らの一塁コーチャーはもちろん、左投手対策で先発起用した8番の高島 歩選手が四球を選び3回裏にすぐさま反撃に転じる。
鹿野投手の好フィールディングもあり2死一塁となるも、今年から2番に入る澤田 望愛選手がレフトに技ありのヒットを放って一、二塁と得点圏に走者を進めて新クリンアップの鎌田 優希選手が打席に入る。
昨シーズン優勝に貢献した鎌田選手の役割は “繋ぎ役”。2番打者としてリーグ最多の犠打を決め、高い得点力を誇る原田 のどか選手、バッバ選手、下山 絵理選手の打点をアシストしてきた。
その鎌田選手の今年の役割は、クリンアップとして走者を ”還す人”。実績ある主将は、「打って還えすだけがクリンアップではない」と言わんばかりに四球を選び、二死満塁で昨日の試合で猛打賞と勢いに乗る4番・下山選手に繋ぐ。
日本代表でも4番を期待される下山選手に対し、厳しい内角攻めで真っ向勝負した鹿野投手だったが、これが死球となりトヨタが1点を先制した。
中盤の攻防も新打線が機能
同点に追いつきたいタカギは中盤の5回表、2死からまたもや ”推しのソ” 細野選手が四球を選んで出塁すると、乙津選手もヒットで続いて上位にチャンスを回すも得点ならず。
するとその裏、トヨタは日本代表の新主将となった1番の石川 恭子選手がヒットを放ってすかざす盗塁。続く澤田選手がしっかり送って1死三塁と追加点のチャンスを作る。
ここで打席に入るは、”繋ぐクリンアップ” のキャプテン・鎌田選手。ここでも大きな当たりを狙わない鎌田選手は、ソフトボール特有の打法 ”スラップ” という走り打ちで投手の頭を越える高いバウンドのゴロを放って石川が生還。新たな役割を自身のプレースタイルで果たした鎌田選手の内野ゴロで追加点をもぎとった。