ようやく、政界や行政も理解を示してくれている。段取りを立てて積み重ねた成果です。
NSPCの役割ですが、先ず第一は政治・経済界・スポーツ界の横の連携を強めることです。
スポーツ界は閉鎖的なんですね。競技団体は自分たちだけが競技をしていれば良いと言う縦社会になっていました。
スポーツには大きな力がある。だからこそ政治や経済と連携しなければならない。それを実現するためにこの組織を作ったのです。
更に、スポーツ界の中も閉鎖的です。日本スポーツ協会(JSPO)、日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラスポーツ協会(JPSA)の人事交流と言った横連携もありません。
たとえば、旅行業界では旅行に関係する団体が集まり、旅行業界としての政策要望を持って来ますね。でもスポーツ界は全くない。スポーツを政策と考えていない。競技をする団体だからスポーツ政策は関係ないと思っているんですね。
スポーツの横軸・プラットホームを作ろう。スポーツ界の経団連、全体のスポーツ政策を取りまとめて自分たちの考えを政界や財界に示していくことが一番の役割です。
日本スポーツ会議所の方がもっとわかりやすいですけどね(笑)
今までは、スポーツを政策だと思っていなかった。「体育」の脇に「楽しみ・遊びのスポーツ」があったが、本来は逆ですよね。
「楽しいスポーツ」を用いて「体育」をするのが本質。それを「スポーツ基本法」で大転換させたんです。プロ野球と相撲も、自分たちをプロスポーツだと思っていない。興行だと。
そういった意味では、Jリーグがプロスポーツの意識を変えましたね。最近ではバスケットもそうですね。
そして、未来へ
例えば、経済産業省とスポーツ庁が共同で推進する「スタジアム・アリーナ改革」。
まちづくりや地域活性化の核となるスタジアム・アリーナのモデル施設として、2025年までに20拠点を選定する予定です。
また、「スポーツウェルネス」と言って、肉体的に健康で、精神面でも前向きな長寿社会をスポーツを通じて作っていこうという考えもあります。
このように、ハードからソフトまで色々と出来るのがスポーツですが、1964年の東京オッリンピックを契機に創設されたスポーツ少年団のような、目に見えるのものは難しいとは思います。
ユニバーサルデザイン、健常者・障がい者・高齢者が一つの施設で活動できると言うハードの整備もありますが、心の中のバリアフリーをしていこうというソフト面の取り組みなどは大切です。
地域の一体感を作ったり、地域をみんなで支えあうというのがレガシーです。ハードがないので分かり難いかもしれません。ですから、スポーツを用いた地域作りという言葉にすると、わかりやすいレガシーの表現になります。
2020年までの10年間は東京2020を目指して、選手強化を優先させてやって来ました。
今後の選手強化は、山下会長も自信を持っているとおり、目標は達成できたので後は任せていく。
今、足りないのは「地域スポーツ」の課題解決です。例えば、部活動は少子化や教員不足などで低迷していて活動も出来なくなっている地域もあります。これから10年は、部活動を含めた「地域スポーツ」をどう活性化するかがテーマです。
スポーツ庁でも、自民党のスポーツ立国調査会でも、超党派のスポーツ議員連盟でも一番のテーマは「地域スポーツ」の活性化です。
ですから、NSPCでプロジェクトチームを作り、取り纏めたものを提言として国や政府、政党に出していこうと言うきっかけ作りをしていきます。
10~20人の有識者に集まっていただき、「地域スポーツ」について話し合う運営委員会があります。本当は100人位集っていただいて、最優秀の提言に賞金を出すなどやりたいところですが、予算もないので。(笑)
「スポーツ基本法」をベースに、大学、スポーツ施設、財団、スポーツの様々な関係者と連携したプラットホームを作っていきます。
そのような視点が、日本人からは中々見えてこないですね。
日本は教育制度がしっかりしています。
日本最初の近代的学校制度を定めた教育法令である「学制」が、明治5年に発せられてから150年が経ちますが、その明治5年から僅か2年の明治7年には、私の地元(山形県南村山郡、今の上山市)にも学校が出来たくらいです。