粘り強く戦い前半戦で価値ある3勝 – 西地区8位(3勝15敗)
3勝26敗に終わった昨シーズン。この勝ち星に並ぶ3勝を前半戦で挙げた東海理化チェリーブロッサムズ。勝利した試合はもちろんだが、敗れた試合においても粘り強い戦いが印象に残る前半戦だった。
愛媛県松山市で開幕を迎えた東海理化チェリーブロッサムズは、強打のシオノギレインボーストークス兵庫を相手に中盤まで互角の戦いを見せた。昨シーズン、序盤に大量得点を許す苦しい試合展開が多く見られただけに、「粘り続ければ何かが起きる」とファンに期待を持たせる船出となった。
しかし、続く伊予銀行ヴェールズとの2戦目から再び、昨シーズン同様の戦いを強いられた東海理化チェリーブロッサムズ。先発に藤本 捺希投手を抜擢した第6節の豊田自動織機シャイニングベガ戦での今季初勝利を境に、新たな勝ちパターンが見えてきた。
二枚看板に新たなカードが加わる
東海理化チェリーブロッサムズの投手陣を支えるのは、“推しのソ”の二枚看板・永谷 真衣投手と田畑 七海投手。この二人が交互に先発を務め、接戦で終盤にもつれ込む展開が勝ちパターンだ。
この二枚看板の投手起用に、新たなカード・藤本投手が加わった第6節。強打の豊田自動織機シャイニングベガに、初回から連打を許す苦しい展開となった藤本投手だったが、2失点でピンチを凌ぐと直後の2回に打線が繋がり逆転に成功。
「取られても取り返してくれる」と開き直った藤本投手は、その後も毎回のように得点圏に走者を背負うも粘りの投球で得点を許さず、6回2失点で初勝利を手にした。
交流戦でジャイアントキリングに成功
豊田自動織機シャイニングベガ戦での勝利から、ゲームの作り方を掴んできた東海理化チェリーブロッサムズは、前半戦最も印象に残る“ジャイアントキリング”に成功する。相手は、日本代表選手が多く所属する東地区の雄・ビックカメラ高崎ビークイーンだ。
この試合も初回に先制を許し、なおも2死満塁と大量失点のピンチを迎えたものの、先発・田畑投手が1失点で凌ぐ。その後も得点圏まで走者を進めるビックカメラ高崎ビークイーン打線を、集中力高くディフェンスを続けた結果が、終盤に待つ劇的なドラマの呼び水となった。
東海理化チェリーブロッサムズは、ようやく5回に2死満塁のチャンスを作ると、貝沼 晴香選手が値千金の同点適時打を放つ。少ない好機を着実にモノにして一気に流れを引き寄せる“得意の展開”に持ち込んだ。
その後リリーフした藤本投手が、ビックカメラ高崎ビークイーン打線を無失点に抑えると、6回にも無死満塁と願ってもないチャンスを作り出した東海理化チェリーブロッサムズ。
このピンチにマウンドに上がった“世界のエース” 上野 由岐子投手に2死満塁まで抑え込まれたものの、今シーズンから正捕手のマスクを被る元川 環選手の放った強烈なショート前のゴロが中前に抜けて走者一掃。執念で3点を挙げた東海理化チェリーブロッサムズが、スター軍団・ビックカメラ高崎ビークイーンを相手に“ジャイアントキリング”をやってのけた。
最高成績を目指す後半戦のポイントは
昨シーズンよりも上昇している打撃力だが、チーム打率.205(西地区7位)、本塁打数4(同8位)、得点数27(同8位)と、大量得点を臨むに厳しいチーム状況は今シーズンも変わらない。勝敗が決した展開で許した大量失点が数字に影響しているとはいえ、チーム防御率も4.32(同8位)。数字だけ見れば後半戦も厳しい戦いを強いられることは必至だ。
しかし、勝ちきった3試合の展開を見ると、再三のピンチをオールディフェンスで最少失点に切り抜け続けることで、ビハインドの展開でも相手にプレッシャーを与える勝ちパターンが見えてくる。