日本での最後の勇姿
2022年10月23日。豊橋市民球場で行われた女子ソフトボール・JD.LEAGUE(JDリーグ)のリーグ戦最終節。
今シーズン限りで日本での引退を表明したTOYOTA RedTerriers(トヨタ レッドテリアーズ)のMonica Abbott(モニカ・アボット)選手が、地元・愛知県のファンに最後のピッチングを披露!
第1試合のSHIONOGI RainbowStokes(シオノギ レインボーストークス兵庫)戦に先発したアボット選手。5回1/3を12奪三振無失点に抑えて今季8勝目。日本リーグからの勝利数を138勝に伸ばしました。
その試合の直後には、アボット選手の引退セレモニーが開催され、観客は勿論、全てのチームの選手、関係者にも感動を与える素晴らしいものとなりました。
アボット選手の活躍と、セレモニーを特集したレポートもありますので、こちらも見て下さいね!
そんな感動覚めやらぬなか、10年あまりトヨタでチームメイトとしてプレーし、またお互いの国を代表する選手としてしのぎを削ってきた、東京2020ソフトボール金メダリストの山崎早紀さん(トヨタ自動車)が、Journal-ONE記者としてアボット選手を独占インタビュー!
アボット選手と山崎さんだからこそ分かり合える思い出を語り合う、笑い声の絶えない素敵なインタビューとなりました。
サプライズなセレモニーに感動
【山崎さん】
(試合終了後に行われた)セレモニーが終わって間もないけれど、セレモニーの感想を聞かせて下さい。
【アボット選手】
う~ん。すべてが素晴らしい時間でしたけれど、セレモニーの最後に全てのチーム(当日試合のあった、シオノギ、伊予銀行、東海理化)の選手や監督たちが集まってくれて、一緒に写真を撮ったことがとっても嬉しかったですね。
あと、トヨタのチームメイトや関係者のかたがたが今日のためにTシャツ(アボット選手への感謝を表した関係者限定の白いTシャツ)を作っていてくれて・・・
私のスピーチの間にこっそり着替えてくれていたのにもビックリしました!
【山崎さん】
みんな後ろでコッソリ着替えていたのに、モニカがスピーチの途中で振り向いちゃってね!
スピーチの間にびっくりした顔してたから、笑っちゃいました。
【アボット選手】
そうそう!(笑)みんなが着替えているのが目に入っちゃって!
【山崎さん】
モニカは当然、Tシャツのことは知らなかったんだよね?
【アボット選手】
知らなかった。でも、本当に素敵なTシャツを作ってくれて、それをみんなが着てくれて本当に嬉しかった。
14年間の思い出を振り返って
【山崎さん】
14年間の日本での活動を振返って、一番印象に残っているのはどんなことでしょうか?
【アボット選手】
毎年毎年、特別な思い出がたくさんあるので、なかなかこれと決めるのは難しいけれど・・・
やはり、入団3年目の優勝(2011年11月6日 第44回日本女子ソフトボール1部リーグ でトヨタが2年連続6度目優勝を飾った試合)が一番印象に残っています。
サキは2年目だったよね? あの試合は今でも強く覚えていますね。
(この後、しばらくふたりで当時の試合展開を詳細に語り合って)
やはりあの試合はとてもよく覚えていますし、何よりあの勝利でトヨタのチームが大きく変わった気がします。
あと来日した当時のグラウンド(トヨタスポーツセンター)の整備が大変だった!
外野も土で、凄く長い時間をかけてグラウンド整備してたことも思い出されます!
毎回、45分くらいは整備してたんじゃない?(笑)
サキは、私との思い出は何かある?
【山崎さん】
私は、まさにその決勝を控えた直前の調整練習のことを思い出します。シート打撃で初めてモニカと対戦させてもらった時のことです。
モニカの球を打った!と思ったら、その打球がピッチャー返しとなってモニカの脚にあたっちゃって・・・膝だったかな? 決勝目前に怪我させちゃったと思って真っ青になりました。
【アボット選手】
そうそう! 決勝に向けての練習だから、お互い真剣勝負のシート打撃でしたね。
強烈な打球を膝に受けて、サキが凄く調子よかったのが分かったし、当てられたから「勝つな!」って思った。(笑)
【山崎さん】
でも私は、決勝が数日後に控えているのに当てちゃったから、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいで・・・ずっと謝ってた。
【アボット選手】
大丈夫! 大丈夫! グットボールだったよ!(笑)
母国代表同士の複雑な関係
【山崎さん】
それから、お互いが代表に選ばれるようになって、国を代表するライバルであるのにトヨタのチームメイトという複雑な気持ちで過ごすことが多くなりましたね。
【アボット選手】
そうですね、時々ふたりの関係が難しいものになりましたね。
フィールドに入ったら絶対に勝ちたい。でも、友だちだから・・・と、複雑な気持ちでしたね。特にオリンピックのようなとても高いレベルで戦わなければならない時は尚更でしたね。
私も複雑な気持ちでした。でも、友だちだからね~って(笑)