綺麗に引かれた白線の先には、掛川の名産・掛川茶の畑が広がり、その手前では公式戦を控えたJDリーガーたちが黙々とアップをしている。
その会場設営を始め、試合をジャッジする主審の手配も掛川ソフトボール協会が担当。試合当日には、地元・常葉大学ソフトボール部員もグラウンド整備などを手伝い、子どもたちをサポートする手厚い体制で子どもたちを出迎えた。
この動きに、地元・掛川の企業も協力に駆けつける。静岡県掛川市に本店を構える日本茶専門店 きみくら株式会社 も、「地元・掛川の子どもたちにとって、良い思い出となれば」と協賛に名乗りを上げる。バックネットに掲げられたポップな横断幕で子どもたちを応援するとともに、JR掛川駅直結の人気カフェ matcha KIMIKURA 掛川駅フラッグシップストア の臨時ブースを出店。参加した選手と関係者の皆さんには、お土産としてオリジナルスイーツ“抹茶どらやき”をプレゼントして子どもたちの笑顔を誘った。
思い出作りに一役買おうと、掛川が誇る人気観光スポット 掛川花鳥園 からは、ケープペンギンの “ゆず” も応援に駆けつける。「うわぁ、カワイイ!」「こんな近くでペンギンが見られるなんて!」と、子どもたちを喜ばせただけで無く、全国各地から観戦に訪れたソフトボールファンからも「ペンギンかわいいね」「試合の帰りに寄ってみようか?」と大好評。しっかりと、地元・掛川のPRもこなしていた。
県内4チームが参加したドリームフィールド
掛川ドリームフィールドに参加したのは、県内の4チーム総勢130名を超える選手、関係者たち。掛川桜木女子ソフトボール部(掛川市)、静岡 EAST MAX(三島市)、掛川桔梗女子ソフト(掛川市)、静岡ビスケッツ女子ソフトボールクラブ(藤枝市)は、何れも熱心な指導者と父兄で運営、活動しているクラブチームだ。現役JDリーガーや、東京2020金メダリストを輩出している点を見れば、日本女子ソフトボール界の高いレベルを支える大切な活動といえる。
「今日試合を行う、NECの大塲(亜莉菜)投手、ビックの廣瀬(夏季)選手もこのチームのOGです」と話してくれたのは、静岡県東部にある三島市で活動する静岡EAST MAXの外岡 薫監督。全国大会出場15回を誇る東部地区の雄も、少子化による部員減には苦労しているという。「伊豆市など遠方から来ている選手たちもいます。トップ選手たちの試合を観るだけでなく、自分たちも試合ができる企画は有難い」と、限られた活動時間を有効に使える掛川ドリームフィールドの開催を喜んだ。
昨年、全日本小学生女子ソフトボール大会で三位入賞に輝いた掛川桜木女子ソフトボール部も、低学年から高学年までの幅広い選手たちがグラウンドに散っていく。監督歴30年近くの久嶋 蓚二監督も、「子どもの人数が減っていく中、トップリーグが目をかけてくれるのは子どもにとって励みになります」と目を細める。
東京2020金メダリストの山崎 早紀選手(現・デンソーブライトペガサスコーチ)が所属していた、掛川桔梗女子ソフトも伝統のストライプ柄に袖を通す選手たちの年齢層は幅広い。「今日、初めてユニフォームを着るんです」と話すお父さんに着替えを手伝ってもらうのは、まだ入部二ヶ月余りの小学二年生の娘さん。この日、“人生初”となる試合出場を果たした未来のJDリーガーは、笑顔いっぱいにソフトボールを楽しんでいた。