アメリカンフットボールの日本選抜チームとアメリカ選抜チームが対戦する国際試合、 “Japan U.S. DREAM BOWL 2023” が東京・国立競技場で開催されました。
この試合にかける日本代表は、1月3日に東京ドームで開催された日本社会人Xリーグの上位リーグ “X1Super(スーパー)” の優勝決定戦 “ライスボウル” で活躍した選手を始め、学生リーグからも精鋭を集めた最強軍団で臨みます。
対するアメリカ選抜チームは、全米屈指の名門大学・アイビーリーグの8大学から選抜された51名の選手が来日。試合に向けた調整はもちろん、日本の歴史文化や最先端技術を体験したり、日本の高校生や大学生と国際交流をしたりと多忙なスケジュールをこなしてきました。
来日初日から、アイビーリーグ選抜チームに密着取材してきたJournal-ONEの最終レポート! 白熱必至の試合展開はもちろん、選手やスタッフの皆さんの素晴らしい人柄やお茶目な素顔も紹介していきたいと思います。鎌倉での歴史文化体験や、山梨で日本の最先端技術・超電導リニアの試乗、神奈川県の高校生との国際交流など、今までのレポートも併せて読んでもらえると嬉しいです。
晴天の国立競技場
“Japan U.S. DREAM BOWL ” が行われた1月22日の東京は、国立競技場の天気は晴れ。空気が冷たいながらも風は弱く、絶好のフットボール日和といえそうです。
試合開始3時間前、全日本選抜チームの選手たちが続々と集まって来ます。パナソニックインパルスに所属する、ディフェンシブバック(DB)のジョシュア・コックス(Joshua Cox)選手です。
先日のライスボウルでは、惜しくも日本一を逃したものの、持ち前の強力なラッシュで相手の攻撃の目を摘んでいたジョシュア選手。今日の一戦を前に「全日本選抜に選ばれた誇りを胸に、必ずアイビーリーグ選抜に勝利したい。」と穏やかな表情ながらも熱く意気込みを語ってくれました。
NCAA Division IのFBS (フットボール・ボウル・サブディビジョン)というカレッジフットボール最上位でプレーしていたジョシュア選手。NCAA Division IのFCS(フットボール・チャンピオンシップ・サブディビジョン)に所属するアイビーリーグの大学生選抜には負けたくないといったところでしょうか。
今回の全日本選抜チームは、ジョシュア選手のように国内最高峰のXリーグでプレーする外国籍選手も招集して編成された日本最強のチーム!試合前の記者会見でも、ライスボウルを制して日本一に輝いた富士通フロンティアーズの山本ヘッドコーチ、 趙キャプテンが「絶対勝つ」と闘志を燃やしていていました。戦前から「かなり良い試合になるのではないか?」と注目をされていた試合。好天にも恵まれ、両チーム選手たちが思う存分のパフォーマンスを発揮してくれるだろうと期待で胸が高鳴ります。
フィールドでコンディションを確認していたオフェンスライン(OL)コーチのJon Mclaughlinさん。緊張感高まる試合前にもかかわらず、「2006年に(バグノーリHCと共に)来日した際は、大学の相撲部の練習を見学したのですが、今回は両国国技館で大相撲を観ることができました。日本では、この大会のホストの皆さん、ホテル、レストランなど、行く先々で日本の皆さんの素晴らしいおもてなしを受けました。」と日本で心に残ったことを私たちに話してくれました。
両選手がフィールドに集まり、身体を動かし始めました!
アイビーリーグ選抜は、フランク・リサンチ(Frank Lisante)コーチのもと統率のとれたアップを進めていきます。大きな声で選手たちを盛りたてるその風景は、さながらアメリカ映画のワンシーンのよう。来日してからの練習を毎日取材してきた私たちですが、笑顔も交えてリラックスしている選手たちの様子や、ポジション別メニューをこなす洗練された姿に、本場アメリカの風格とプライドを改めて感じさせられます。
一方の全日本選抜。こちらは引き締まった表情の選手が多く、良い意味での緊張感が漲っています。先ほど話をしてくれたジョシュア選手も、集中力を研ぎ澄ましているようです。
いよいよキックオフ!
午後1時。1万人を超える観衆が見守るなか、親善試合とは名ばかりの真剣勝負がいよいよキックオフです。
第1Q。最初の攻撃権は全日本選抜。クオーターバック(QB)の高木 翼選手(#18富士通フロンティアーズ)を中心としたパスオフェンスをさっそく展開! 立ち上がりはランプレー主体でアイビーリーグ選抜ディフェンス陣の対応力をみるかと思いきや積極的に自分たちの持ち味で攻め立てます。
フットボールはモメンタム(試合の流れ)が結果に大きな影響を与えるといわれるスポーツの一つ。とにかく先取点を奪ってこのモメンタムを引き寄せる狙いでしょうか。そして最後はキックの名手、キッカー(K)の佐伯 眞太郎選手(#17 パナソニックインパルス)がフィールドゴール(FG)を決めて、全日本選抜が先制に成功します。