伊予銀行ヴェールズ 本間選手、吉金選手 -Journal-ONE撮影
本間選手・吉金選手
取材・文:
本間 紀帆・ 吉金 亜希子[伊予銀行ヴェールズ](日本)
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オリンピック・東京2020で金メダルを獲得した女子ソフトボール。そんな世界トップレベルの選手たちや、海外の代表選手たちが熱い戦いを繰り広げる国内トップリーグ(以下、JDリーグ)があることを知っていますか?
そのJDリーグで戦うチームのひとつ、愛媛県松山市に本拠地を置く “伊予銀行ヴェールズ(以下、ヴェールズ)” が、地域活性化の新しい取り組みを行いました。タッグを組んだのは、観光を中心に四国の地域活性化に取り組む四国旅客鉄道(以下、JR四国)です。

スポーツと観光の両面で、四国を応援するプロジェクトとして、ヴェールズの選手が魅力溢れる愛媛県の観光地をWebメディア・Journal-ONEで紹介することになりました。
今回は、強肩強打の本間 紀帆選手と、俊敏で元気なプレーが信条の吉金 亜希子選手が女子旅レポートに初挑戦します。

愛媛が誇る伝統工芸品、砥部焼の新風に触れる

本間:皆さんこんにちは。伊予銀行ヴェールズの外野手、本間 紀帆です。私たちが本拠地とする愛媛県に日本が誇る伝統工芸品があることを知っていますか?
松山市のお隣、伊予郡砥部町で作られている砥部焼は、手描きの絵付けにこだわった温かみのあるデザインが人気で、愛媛県内の旅館や料理屋さんでも良く目にすることがあります。
でも、実際にどういった方々がどういった思いで作られているのかまでは知りません。

吉金:皆さんこんにちは。愛媛県松山市出身の、伊予銀行ヴェールズ・内野手の吉金 亜希子です。地元に住んでいる私も砥部焼は知っているのですが、県外の方にその素晴らしさを説明できるような知識までは持っていません。今回は、砥部焼絵付け体験をしながら、砥部焼の素晴らしさを語れるようになりたいと思います。

本間:今回ご紹介するのは、砥部焼陶芸館さんです。入って直ぐに広がる砥部焼の数に圧倒されます!23の窯元から持ち寄られた砥部焼を購入することが出来るんですね。私たちが訪れた朝の9時から続々とお客さんが集まってきます。ここに来れば、好きなデザインの窯元さんを探したり、欲しかった大きさの器をじっくりと探すことが出来ますね。

吉金:私たちが体験する絵付けコーナーは2階ですね。この体験コーナーでは、絵付けの他、手びねりやロクロを使った作陶もあります。今回の陶芸教室では窯元さんが直接指導してくれるので、何も分からない私でも安心して体験できるとのことなんですが・・・ 私、絵が下手なんですよ・・・大丈夫かなぁ。

本間:私たちをご指導頂く陶芸家の先生たちが出迎えてくれます。全員女性です! こちらは、女性作家グループ “とべりて” の先生の皆さん。メンバー7名中、6名の先生がいらっしゃっています。とっても嬉しいですが、緊張しますね。。。女性作家グループ “とべりて”のみなさんと談笑しながら砥部焼の絵付け体験 -Journal-ONE撮影

吉金:「砥部焼は昔から人気が高く、景気が悪くなる前は本当に多くの方にお買い求め頂いていました。でも、景気が悪くなるにつれどんどん売れなくなってしまい、何とかしなければならないと立ち上がったのが “とべりて” なんです。」とリーダーの山田 ひろみ先生(きよし窯)が女性作家でこの集団を立ち上げた経緯を話してくれました。
皆さんが素敵な笑顔で迎えてくれたので、緊張も解けて上手く作れそうな気がしてきました!

本間:先ずは絵付けする器を選びます。え?器の種類ってこんなにあるんですか? 湯飲み茶碗や底の深い鉢、平皿も大きさがまちまちでどれを選んで良いやら。「折角作るのですから、日常でよく使う器を選ばれると良いですよ。小さ過ぎると絵を細かく描かないといけないので気をつけて。」と大西三千枝先生(大西陶芸)が優しくアドバイスをしてくれました。寮でよく使う食器と言えば・・・と思い返して、どんぶりをチョイス。ご飯や麺類を入れるのにちょうど良い大きさです。

砥部焼の絵付けに挑戦する本間選手、吉金選手 -Journal-ONE撮影

吉金:絵付けの基本を白石 久美先生(大西陶芸)に鉛筆を使った手描きのコツを教えて頂きながら、恐る恐る器に絵を描き始めようとしますが、デザインと言われてもパッと思い浮かびません・・・ 悩んでいると、「吉金さんの好きな物は何?動物はどんな動物が好き?」と郷田裕佳子先生(atelier LUXE)がアイデア出しのヒントをくれます。

砥部焼の絵付けをする吉金選手 -Journal-ONE撮影

本間:「日常使う器になるから、自分の好きな物を好きなように描くと良いですよ。」と中川久留美先生(陶房くるみ)に勇気付けられて、思いっきり描く決意が固まりました!

砥部焼の絵付けをする本間選手 -Journal-ONE撮影

吉金:デザインの参考にと、先生方が見本としてご自身の作品を見せてくれました。わぁ~、どの作品もとってもカワイイですね。「私たちはそれぞれ、得意な絵柄が違うんです。お花とか動物とか、色をふんだんに使うとかね。自由に自分が描きたいものを作品にしているんですよ。」と松田知美先生(すこし屋松田窯)が “とべりて” の魅力を教えてくれました。その豊かなデザインが新たな砥部焼ファンを呼んでいるんですね。

砥部焼の絵付けをする吉金選手_2 -Journal-ONE撮影

砥部焼の絵付けをする本間選手_2 -Journal-ONE撮影

本間:絵付けの休憩タイムでは、先生方の作ったグラスと小皿を使ったコーヒーブレイク!
作家先生の皆さんと一緒に。日ごろの練習の話や、寮での生活の話、選手たちのお部屋の話など、女子トークで盛り上がりました。

吉金:それと、これから乗車するJR四国の観光列車 “伊予灘ものがたり” では、先生方の作品にお料理が盛り付けられて出てくると聞きました。先生方それぞれの素敵な作風が、どういった盛り付けで出てくるのか楽しみです!私、すっかり先生のファンになっちゃいました。

本間:ようやく絵付けの完成した器を持って、先生方の作品コーナーをバックに記念撮影させて頂きました。「みんなで応援に行きたいです!」と先生方との再会を約束して松山駅に向かいました。伊予銀行ヴェールズ 本間選手、吉金選手と砥部焼の女性作家グループ “とべりて”のみなさん -Journal-ONE撮影

吉金:素敵な観光地を見たり、伝統工芸品を買ったりするのも旅行の楽しみですが、こういった制作体験を通じて、歴史や文化について学び、盛り上げようと頑張っている地域の皆さんと直接交流することが旅行をより楽しくするんじゃ無いかと思いましたね。

愛媛がギュッ! 観光列車 “伊予灘ものがたり”

本間:今回の取材で一番楽しみにしていた、JR四国の観光列車 “伊予灘ものがたり” に乗るために、JR松山駅にやって来ました! 今回、乗車前に特別にJR四国 伊予灘ものがたり企画室長の窪 仁志さんと、アテンダントの山本 美香さんにお話を聞くことが出来ました。JR四国 伊予灘ものがたり企画室長の窪 仁志さんと、アテンダントの山本 美香さんにお話しを伺う様子 -Journal-ONE撮影

吉金:愛媛県の魅力をギュッと詰め込んだ観光列車なんですね!お食事も季節感があって、地元食材を使用した料理を味わえるなんて本当に楽しみです。アテンダントの山本さん、制服がめっちゃ素敵でした。伊予灘ものがたり アテンダントの山本 美香さん -Journal-ONE撮影

本間:あ!いよいよ、伊予灘ものがたりがホームに入ってきますよ。伊予灘ものがたりの列車を撮影しようと、多くの方がホームでカメラを構えています。私も鉄道ファンに並んで動画を撮らないと。初めて見る観光列車の姿を両親に送って自慢しなくっちゃ。ホームに入ってくる伊予灘ものがたり -Journal-ONE撮影

吉金:いよいよ乗車です。ドアの前に敷かれたカーペットが高級ホテルに入るみたいな気持ちになります。うわぁ~凄い素敵な車内です!座席がソファですよ。テーブルもあるし。あと、照明とか天井とか本当にホテルみたいです。窓も大きくて、外の景色がとても良く見えそうですね。窪さんに説明して頂いてイメージが膨らんでいましたが、想像以上の豪華さです。観光列車って凄いですね。伊予灘ものがたりの乗車に笑顔の本間選手、吉金選手 -Journal-ONE撮影

本間:お食事のメニューを見たり、内装に魅入っていたらあっという間に発車時刻です。ホームでJR四国の皆さんがお見送りをしてくれています! とっても素敵なおもてなしにビックリすると共に、何か心が温かくなります。お見送りしてくださるJR四国の皆さん -Journal-ONE撮影

吉金:手を振って見送って頂いている姿をみていたら、感激で涙が出そうになりました。車窓から手を振る本間選手、吉金選手 -Journal-ONE撮影

本間:私たちが乗車したのは、“伊予灘ものがたり八幡浜編” です。伊予灘ものがたりは土日祝日に1日2往復運行しているのですが、それぞれで旅のテーマが違うとのこと。
私たちが乗車した八幡浜編は、松山駅を午後1時31分に出発して八幡浜駅に3時50分に到着する列車です。ランチとおやつが楽しめる時間帯なので、とっても楽しみにしていました。 伊予灘ものがたりのランチを前に嬉しそうな本間選手、吉金選手 -Journal-ONE撮影

吉金:お食事のメニューは、4つのコースで全て違うんです。しかも、旬の食材でメニューを構成するため、時期によって内容も変わってくるそうなので、春夏秋冬全ての季節に乗って食べ比べをされるリピーターの方もいらっしゃるのだとか。今日のメニューは。松山市にある瀬戸内風仏蘭西料理レストラン門田さんが提供する “門田フレンチ伊予灘ミニコース(5,500円)” です。私、フランス料理を食べたことがないので、楽しみですが緊張します。“伊予灘ものがたり八幡浜編”ではおやつも楽しめる -Journal-ONE撮影

本間:お食事は事前予約制なのですが、車内ではドリンクやスイーツ、お土産に最適なオリジナルグッズも買うことが出来るんです。オリジナルカクテル(各種800円)や懐かしのくりーむそーだ(各種800円)は、伊予灘の海をバックに写真を撮ればSNS映え必至のオススメメニューです!一気にご紹介したいところなんですが、誌面が食レポでいっぱいになってしまうんです。伊予灘ものがたりのオリジナルグッズ -Journal-ONE撮影

吉金:同じヴェールズの庄司選手と辻井選手も、”伊予灘ものがたり大洲編” のレポートをしていますので、続きは一緒に伊予灘ものがたりスペシャルコンテンツで紹介することにしましょう!庄司選手&辻井選手のレポートと合わせた特別編集版で公開しますのでお楽しみに。

景色と人の温かさに感動!下灘駅

本間:そろそろ、伊予灘ものがたりの一推し観光スポットである下灘駅に到着します。車窓から見る瀬戸内の素晴らしい絶景を、途中下車して味わえることも観光列車ならではの楽しみですね。わぁ~下灘駅にたくさん人が居ます!皆さん、手を振ってお出迎えしてくれています。伊予灘ものがたり一推し観光スポットの下灘駅 -Journal-ONE撮影

吉金:松山駅から始まって、沿線の皆さんの “お手振り” には、本当に感動します。海と空が同じくらい真っ青ですね。伊予灘ものがたりの車両が更に彩りを重ねてくれて・・・ これは写真を撮るしかありませんね! 沿線の皆さんが、手作りの旗やパネルを貸してくれます。何て優しい人たちなんでしょう。下灘駅に降りて、来て良かったという気持ちが一層高まります。沿線の皆さんの “お手振り”に応える本間選手、吉金選手 -Journal-ONE撮影

本間:私は千葉県の君津市という海に近い街の出身なのですが、こんなに綺麗な海は見たことがありません。そして、瀬戸内にはこんなにたくさんの島々があるんですね。こんな景色、ここだけでしか見ることが出来ないのでしょうね。伊予銀行ヴェールズ 本間選手、吉金選手 -Journal-ONE撮影

吉金:「伊予銀行のソフトボール選手は昨日も来たね。」って、地元の人が話してくれました。庄司さんと辻井さんも下灘駅で、皆さんとふれ合ったのでしょうか。皆さん笑顔で「よく来たね。」「今度はチームのみんなでおいで。」って、とても歓迎してくれました。お別れするときも、いつまでもいつまでも手を振ってくれて、伊予灘ものがたりは本当に温かい気持ちになる素敵な観光列車ですね。

本間;列車が伊予大洲駅を過ぎると、左の小高い山の上にお城が見えます。凄く見晴らしが良さそうです。大洲城をよく見ると、白い幟を振ってお見送りしている方がいます!大洲城からも白い幟を振ってお見送り -Journal-ONE撮影

吉金:いよいよ観光列車の旅も終わりに近づいてきました。終点の八幡浜駅に到着です。松山駅を出発してから2時間半弱の列車旅でしたが、あっという間の出来事でした。美味しい食事に沿線の皆さんとのふれ合い、車窓から眺める美しい景色と休む暇が無いほど愛媛を満喫できました。“伊予灘ものがたり八幡浜編”終点の八幡浜駅に到着 -Journal-ONE撮影
列車を降りるとアテンダントの皆さんは、折り返しの “伊予灘ものがたり道後編” に乗るお客様を迎える準備で大忙しです。どうしても感謝の気持ちを伝えたくて、アテンダントの山本さんにお礼を言う機会を頂きました。そして、今回の取材を快く承知してくださった、JR四国 常務取締役の藤本 聡さんにもお礼を言うことが出来ました。またヴェールズのチームメイトや家族、友だちと何度でも乗りに来たいと思います。

■記者プロフィール
本間 紀帆
伊予銀行ヴェールズ所属のソフトボール選手。1995年生まれ、千葉県君津市出身(千葉商高)。ソフトボールを始めたのは高校生からで、それまでは少年野球やバレーボール部に所属していた。今年でリーグ在籍10年目のシーズンを迎える。ガッツあふれるプレーと、チャンスに強い長打力のある打撃が魅力の外野手。趣味はカラオケ、好物はなまこ酢。
吉金 亜希子
伊予銀行ヴェールズ所属のソフトボール選手。2002年生まれ、愛媛県松山市出身(済美高)。中学時代は愛媛県選抜の主将を務め、高校時代にはU16・U17に選出された。元気いっぱい、俊足・堅守の内野手でチームのムードメーカーも努める。在籍4年目の今シーズンもハスキーな声でチームを盛り上げる。趣味はアニメ鑑賞、好物はたこ焼き。
アクセス
①砥部焼陶芸館 ②伊予灘ものがたり八幡浜編
  • ①JR松山駅- 伊予鉄道環状線(約10分) - 松山市駅 - バス(約40分) -通谷口
  • ②JR松山駅 13:31 - JR八幡浜駅 15:50

 

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