するとその裏、先頭の井上 瑞希選手がヒットで出塁し2死2塁としたところで、打席に入るのはルーキーの2番・齋藤 明日加選手です。開幕から2番に座り、快足を活かしたヘッドスライディングが印象的なガッツプレーが信条の選手。しかし、長いリーグ戦初経験の齋藤選手にも疲れの色が見られ、決してベストなコンディションとは言えない状態。そんな中、地元の大歓声を背にした齋藤選手が1、2塁間をしぶとく破って欲しかった追加点を黒木投手にプレゼントします。
4回に1点を返されたヴェールズですが、ピンチの場面で石村監督が内外野全ての選手をマウンドに集めて鼓舞するなど、地元勝利に執念を見せて必死のディフェンス。黒木投手が後続を打ち取り、5回から後を継いだ遠藤投手がミナモ打線を無失点に抑えて地元の期待に応えました。
地元に勝利をプレゼント・黒木 美紀投手、本間 紀帆選手
「朝の練習時にコンディションが良くないことが分かりました。こんなことはシーズン通じても滅多に無いんですが。」と、試合後に話してくれた黒木投手。
「石村監督に直ぐに相談し、庄司投手と遠藤投手に準備をしておいて欲しいとお願いしたほどです。」と、チームに迷惑が掛からぬよう自己分析をしっかりできるのも一流選手の素養です。
長いシーズンを戦う中で、常に好調の状態を維持するのは本当に難しいプロフェッショナルな世界。ここまで3ヶ月、16試合を戦ってきたヴェールズの選手たちにも “疲労” “怪我” といった暗雲が立ちこめます。「どのチームも条件は同じ。残り1試合、チーム一丸となって連勝目指して頑張ります!」と笑顔で話してくれました。
先制ホームランを放ち、Most Wow! Player(ヒロインインタビュー)に輝いた本間選手は、「ホームランは狙っていませんでした。」と今シーズン第3号弾を打った場面を振り返ります。
今シーズン、相手のホームランをもぎ取るフェンス激突キャッチを見せるなど、好守で好調を維持し続けている本間選手。「私一人でソフトボールをする訳ではないので、あのホームランでチームに活気が出た。みんなの起爆剤となる一本が出たことが嬉しいです。」と、チームリーダーとして何とか盛り上げたいという強い思いを感じます。
「明日は好投手・フーバーが投げてくる厳しい展開になると思いますが、地元の声援を背に最終戦も勝てるように頑張ります!」と笑顔で話してくれました。
総力戦で最後まで
連勝を狙う次の相手は、デンソー ブライトペガサス(愛知県安城市)。昨シーズンリーグ3位でプレーオフ準決勝に進出した強豪です。今年は東京2020大会金メダリストの川畑 瞳選手を擁する自慢の打線と、東地区・最多勝のCarley HOOVER(カーリー・フーバー)投手を擁する強力な投手陣を持つチーム。
「黒木、遠藤のコンディション不良で投手陣が厳しい状況で、打撃陣も調子を落としている選手が多くなってきています。打順の組み替えを含め、最終戦は総力戦になると思います。」と、前日に石村監督が話していたとおり、ヴェールズはピースを組み合わせた “最適解” で連勝を狙います。
左打者を並べるブライトペガサスに対峙したのは、2年目の左腕・須永 小春投手です。昨シーズン初勝利を挙げ、2年目の躍動に期待の掛かる須永投手でしたが、初回に日本代表でも活躍する3番・川村 莉沙選手、4番・釼持 祐衣選手にアベックホームランを打たれ、3点を先制される苦しい展開となります。
追いつきたい打線も、「男子ソフトボール選手を相手に、速くて重たいボールを打ち込んできた。」と石村監督が教えてくれた “フーバー対策” で反撃を開始します。この試合、1番に入った好調の本間選手、勝負を避けられるシーンが続く(この試合も4四球)3番・辻井選手が四球を選んでチャンスを作りますが、フーバー投手の重い球を真芯で捉えることができず得点を奪えません。
何とか無失点で食い下がりたいヴェールズでしたが、火の付いたブライトペガサス打線を抑えきれません。2回途中からマウンドを引き継いだ庄司投手、小泉 夢乃投手、遠藤 杏樺投手にも襲いかかり、18安打6本塁打の13得点を挙げる猛攻を見せました。
しかし、どんなに点差が付いてもヴェールズの選手たちは諦めません!4回以降、途中出場した岡崎 里彩選手や、坪内 楓選手がヒットを放つなど、控え選手がチームを盛り上げて反撃していきます。
リーグ戦後半から徐々に調子を上げてきていた8番・井上 瑞希選手に初ホームランが飛び出し、今シーズン打線の核として期待されながらも結果を残せず苦労してきた居内 佑加選手にもタイムリーヒットが出るなど、8得点を挙げて最後まで諦めない試合を地元応援団に見せていました。
原点に戻って再起を誓う・須永 小春投手
「先発は昨日の時点で言われていました。地元開催の最終戦に先発するチャンスをいただき、何とか期待に応えたいと思ってマウンドに上がったのですが・・・」と、悔しい表情で話し始めた須永投手。