【3・3・1・1ライン】#21池 透暢選手(3.0)、#7池崎 大輔選手(3.0)、#1若山 英史選手(1.0)、#9 今井 友明選手(1.0) ※カッコ内がClass
小学生たちの大歓声を背に、4人の選手がコートに散っていきます。これだけ大きな声援を受けると、ベンチからの指示やコート内での声かけも聞こえなくなりますので、選手同士の俯瞰力、集中力、日頃から一緒にプレーすることで得た阿吽(あうん)の呼吸がカギを握ります。
ハイポインターの池選手、池崎選手の鋭い動きが光ります。「ゲーム開始から点を取って有利に進めたいケビンHCの意図があっての先発ラインだった。」と池選手が試合後の会見で言っていた通り、先ずは着実に得点を重ねて6-4と主導権を握ったところで、ラインが変わりました。
【3・3・1.5・0.5ライン】#21 池選手(3.0)、#13島川 慎一選手(3.0)、#22乗松 聖矢選手(1.5)、#2 長谷川 勇基選手(0.5)
対するニュージーランドも、日本と同様に一番信頼しているラインから入ってきました。この一戦で勝利するためのカギは、ニュージーランドのメインとなるラインに入る、#6 ヘイデン[Hayden Barton-Cootes]選手(3.0)と#1 キャメロン[Cameron Leslie]選手(2.5)をいかに止めることができるかとなります。
高さのある池選手とヘイデン選手、アジリティ(俊敏性)のある島崎選手とキャメロン選手。同じ特徴を持ったハイポインターのマッチアップにも注目です。
池崎選手に代わって島川選手が入りましたが、こういったハイポインターの組替えができることが、日本にとっては強みです。展開によってハイポインターを入れ替えることで、相手国も対応を変えなければなりませんからね。
序盤から日本代表が見せるコート中央での早めのプレッシャー、ディフェンスが効いていますね。自陣のキーエリア(8mあるトライラインの前に設置された床の色が違うエリア)までしっかり戻って相手の攻撃に備える。これが日本の目指すラグビーです。敵陣でターンオーバー(相手のボールを奪って攻撃に転じること)が出来れば最高ですが、相手が攻撃してきても、キーエリアに入るまでずっとプレッシャーを掛け続ける。これにより相手のフィジカルとメンタルを削っていき、後半で優位に試合を進める。この戦術がしっかりと出来ていますね。最高のディフェンスです!
自陣から敵陣に向かってオフェンスしていく際、ハイポインターとローポインターが協調しながら敵陣にボールを運んでいきます。しかし、日本はニュージーランドのコンビネーションを分断させるプレッシャーを掛けます。ローポインターが1人になったところをハイポインターの島川選手が襲いかかり、ターンオーバーに成功しました!
【3.5・3・1・0.5ライン】#32橋本勝也選手(3.5)、#13島川選手(3.0)、#23小川仁士選手(1.0)、#2 長谷川選手(0.5)
このラインは、東京2020大会以降で急成長したラインです。3・3ではなく3.5・3のラインは攻撃バリエーションも豊富ですので、日本代表が世界で勝つためにはとても重要なラインとなります。ニュージーランドに通用することはもちろんですが、オーストラリア相手にも戦える。そしてパリ2024大会でも金メダルを狙う。そのためには、このラインの活躍が大きなカギを握っています。
様々なラインを試しましたが、全てがミス無く効果的に機能した日本代表。13-9という有利な展開で第1ピリオドを幸先良く終了しました。
AOC参加国のメンバーをチェック!
ここで各国の代表選手の数を見てみましょう。日本代表12人に対し、ニュージーランド代表は8人。少ない印象がありますが、ニュージーランド代表はいつもだいたいこの位の人数で編成されます。
注目の#6ヘイデン選手は背が高くて幅もある選手なので、本当に当たりが強くて重たい! 以前、ヘイデンは日本にあったクラブチーム “TOKYO SUNS“ に在籍していたのですが、その際にマッチアップしたことがあります。こちらが当たってもビクともしないし、当てられたときの衝撃も凄い。様々な外国人選手とコンタクトしてきましたが、ヘイデン選手が一番重かったですね。インバウンド(ボールを投げ入れる役目は)を担う、#14コーディー[Cody Everson]選手(1.0)も注目選手。彼は以前、世界のベストプレーヤーに選ばれたこともある名選手。ヒッティング(バレーボールのアンダーサーブのようにボールを打ってパスする)がとても上手な選手です。
驚いたのは韓国代表です。7人という人数は少ないですし、いつも出場してくる主力を温存して若手を選出してきているようです。もしかしたら、今回のAOCで無理に出場権を獲りに行くというよりは、次世代の育成や今後を見据えたチーム編成をしたのかなぁと思います。