レモンガススタジアムでベルマーレの選手たちが乗ったバスをチャントと声援で出迎える湘南サポーターたち -Journal-ONE撮影
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取材・文:
Journal ONE(編集部)
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湘南ベルマーレ 30年目の挑戦

1993年の開幕以来、日本のプロサッカーリーグとして多くの熱狂と名勝負を生み出してきた“Jリーグ”。開幕から数えて30年目にあたる今年は、リーグや各クラブによるメモリアルイヤーならではの特別企画や催しが多く展開されています。

中でも特に目を引く企画を展開しているのが、神奈川県南西部の湘南地域9市11町をホームタウンとする “湘南ベルマーレ(以下、“ベルマーレ)”。

サッカー好きの読者の方の中には、岩本輝雄氏や中田英寿氏などのレジェンドたちはもちろん、現役世代として海外でも活躍中の遠藤航選手や町野修斗選手など、数多くの名プレイヤーが所属、輩出されてきた名門クラブとして、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

明治安田生命J1リーグ レモンガススタジアム平塚で行われた第22戦の試合前、応援に来た子どもたちと湘南ベルマーレのマスコットキングベル2世との一コマ。 -Journal-ONE撮影

この2023年は、Jリーグと同様にベルマーレにとってもメモリアルイヤー。1993年に「ベルマーレ平塚」としてリーグへ加盟して以降、今年がその30年目にあたります。そのため、今シーズンの同クラブは “あたらしいうみへ” というコンセプトを掲げ、シーズンを通して様々な特別企画を展開しています。

湘南ベルマーレ30周年コンセプトロゴ

聖地・国立で、クラブ記録を更新する

実はいま、このベルマーレが展開する周年事業の中で、最も大規模で重要な挑戦の日が間近に迫っていることを、皆さんはご存じでしょうか?

彼らが掲げる挑戦内容は、次の2つ。

1つは、来る9月24日のJリーグ第28節のホームゲーム(対 川崎フロンターレ戦)を、国内サッカーの聖地・国立競技場で開催すること。そしてもう1つは、その国立での試合で、かつて1994年に記録したベルマーレのクラブ最多観客動員数記録 “48,640人” を、約30年ぶりに更新することです。

リーグ戦では通常、試合やその前後に関する運営業務は、ホーム側として相手チームを迎える側のクラブが主導しなくてはなりません。今回の試合では、ベルマーレがその役割を担うことになります。

言わずもがな、国立競技場というスタジアムは設備も規模も、日本最高峰のスタジアムの1つ。ベルマーレが本拠地としているレモンガススタジアム平塚と比べ、その収容人数は3倍以上にもなる巨大な施設です。通常のホーム戦とは場所も規模も大きく異なるこの環境では、いつもと同じ1つの試合でも、その運営にかかる時間や労力、求められるスキルは普段の比ではありません。

湘南ベルマーレ9月24日国立ホームゲーム開催のキービジュアル

しかしながら、ベルマーレが目指しているのは、単に国立で試合運営することだけに止まりません。上述の通り、この約30年間、ずっと果たせなかったクラブ最多動員記録の更新もその場で実現しようとしています。当然、普段の何倍もの集客を実現するためには、事前の告知や販売手法から、試合当日の企画・演出に至るまで、国内屈指の会場を埋められるだけの戦略や企画も求められます。

このように、今回の “国立開催と最多動員記録の更新” は、普段のリーグ戦とは規模も困難さも全く別物の、まさにクラブをあげた壮大なチャレンジなのです。

 

では30周年という節目に、湘南ベルマーレはなぜこの目標に挑もうとしているのでしょうか?その背景に迫るべく、Journal-ONE編集部は今回、この壮大な挑戦を間近に控えた湘南ベルマーレを取材しました。

「ベルマーレやるじゃないか!」と言ってもらえる日にしたい

来る挑戦の日に向けた想いをこう語ってくれたのは、株式会社湘南ベルマーレの日下部諒さん。今回の国立開催プロジェクトの主要メンバーの一人です。

今回の30周年事業について説明する日下部諒氏(株式会社湘南ベルマーレ) -Journal-ONE撮影

今回、30周年事業としての国立開催、さらにクラブの最多動員記録の更新に挑むことを決めた理由について、こう説明してくれました。

 

「今回の30周年は、この先がベルマーレにとって、そして応援してくれる人にとって楽しみになるような節目にしたいんです。日本最高峰のスタジアムである国立競技場でホームゲームを開催し、現在のクラブが持つ48,640人という記録を一人でも超える記録を残せたとしたら、きっとクラブの未来に繋がる1日にできると考えていました。」(日下部さん)

 

一般的には、過去や歴史がメインテーマになりがちな周年事業。ですが今回、ベルマーレは30年というこれまでの歴史を大切にしつつ、同時にクラブの未来に対する期待や想いも込めた企画にしようとしています。「過去の記録を乗り越えた姿を見せることで、クラブのこれからに期待してもらうきっかけをつくること」を目指す国立での挑戦は、まさにこうした姿勢から生まれた取り組みの1つというわけなのです。

地域の未来を担う子どもたちに国立での観戦体験を

“歴史だけでなく、クラブの未来への想いも込めたい”というベルマーレの姿勢は、記録更新へ向けた具体的な施策にも反映されています。

その1つが “こどもゆめチケット” という企画。これはベルマーレが、ホームタウン地域に在住の高校生以下の子どもたちのうち、最大10,000人を今回の国立の試合へ無料招待するというもの。

この施策について日下部さんは、「招待による来場者層の拡がりを期待する部分もありますが」としながらも、「クラブの未来って考えたときに、真っ先に浮かぶのは当然ホームタウンの子どもたち。彼らが夢を抱くような1日にしていきたいという想いから生まれた企画」と、単なる集客手段ではなく、地域やクラブの未来への大切な想いが強く込められた企画だとしています。

レモンガススタジアムで来場した子どもたちをもてなす日下部諒氏(株式会社湘南ベルマーレ) -Journal-ONE撮影

地域と培ってきた信頼関係

このこどもゆめチケットを成立させていくプロセスで、日下部さんが特に実感したというのが “クラブとホームタウンとの繋がりの強さ” だそうです。

今回の企画実施にあたって、ホームタウン全域の子どもたちにこのチケットの存在を知ってもらわなくてはなりません。一方、同地域には小・中学生だけでも15万人近い人数の子どもがいるとされ、その一人ひとりに確実に情報を届けるのはまさに至難の業といえます。そこで日下部さんたちは、クラブと地域の信頼関係をいかし、ホームタウン地域内のすべての小・中学校に告知チラシの配布をお願いしたそうです。

「地域の子どもたちに、しっかりと情報を届ける必要がありました。いちクラブである我々の告知物を学校で配るというのは、決して簡単にできることではないんです。でも今回、行政の方や各学校さんの理解や協力を頂くことができました。本当に皆さん快く受け入れてくれて、配布を断られた学校、地域は1つもなかったんです。」(日下部さん)

さらに、そうした協力を得られた理由については「クラブ側もコロナ禍になる前の2019年まで、小学生の招待企画などを長らく取り組んできたので。クラブと地域の前任者たちがそうやって関係を作ってくれていたことが大きい」と、地域とクラブが互いに信頼関係を作ってきた経緯を振り返っていました。

LTO活動参加者へ感謝を伝える日下部諒氏(株式会社湘南ベルマーレ) -Journal-ONE撮影

地域連携で得た確かな手応え、そして当日へ。

この学校との連携の甲斐もあり、結果的にこのこどもゆめチケットは大反響の企画となりました。日下部さんによると、8月上旬の応募締め切り時に、定員の10,000人を越える人数の子どもやその家族から応募が集まったそうです。「今回の数字には、地域の皆さんの多くの期待を感じることができました。」という日下部さん。

「あの国立に、湘南地域の子どもが10,000人来てくれる、、、今は、それを想像するだけでも本当に嬉しいです。数字で見ればただの10,000ですけど、その1つ1つに子どもたちの顔とか、家族との時間とかがあると想像するだけで、本当にワクワクしています。」(日下部さん)

23年9月24日の国立ホーム開催時の記念グッズユニフォームをもつ日下部諒氏(株式会社湘南ベルマーレ)。

そう言いながら、目を細める姿が印象的でした。

最後に、プロジェクト担当者として「試合も記録更新も、結果は当日になってみないと分からない」と気を引き締めながらも、「当日の(国立がサポーターで埋まる)景色を通じて、ベルマーレの魅力を見せていきたい。これからのクラブに期待を持っていただけるような1日にしていきます。」と力強く語ってくれました。

ピッチ外にも拡がるクラブと社会との絆

実は、今回の こどもゆめチケット での連携に限らず、ベルマーレはホームタウン地域と強い結びつきを持っているクラブとして知られています。

“ホームタウン活動” という、Jリーグのクラブが地域貢献を目的に行う活動では、ベルマーレは2019年には当時のJリーグ全56クラブ中での最多の2,535回という活動回数を記録しています。それは現在も変わらず、以降も毎年約2,000回を超える活動をしています。

例えば、その代表的な1つが “LEADS TO THE OCEANプロジェクト(通称:LTO)“。これはNPO法人海さくら等が、全国各地のスポーツチームと一緒に推進している “サポーター参加型の清掃活動” です。現在は全国各地の10団体以上のスポーツチームで実施していますが、この活動自体が立ち上がった2,015年に、第一号として真っ先に参画したのがベルマーレ。今ではサポーターの間でもしっかりと定着していて、毎ホーム試合ごとに大勢が参加する活動として認知されています。

明治安田生命J1リーグ第25節の試合後、スタジアム清掃活動に参加する湘南サポーター。 -Journal-ONE撮影

実際に編集部が取材に訪れた日も、平日の試合後で21時を過ぎた時間にもかかわらず、老若男女を問わず様々な世代のサポーターが清掃活動に参加していました。その数は100人以上にも及び、ゴミ拾い用のトングを貸し出すテントの前には、同活動に参加しようとするサポーターが列をなしていました。

明治安田生命J1リーグ第25節の試合後、スタジアム清掃に参加するために清掃用具配布テントの前に列をなす湘南サポーターたち  -Journal-ONE撮影

スポーツの枠を越えて、スタジアムの外でも培われているベルマーレとサポーターや地域との絆。それを象徴するこのシーンからは、9月の国立での挑戦がそんな強い絆の上に成り立っていく期待感を感じさせられます。

明治安田生命J1リーグ第25節の試合後、清掃活動終了時に集合する参加者たち -Journal-ONE撮影

“支える幸せ” が実感できるクラブ

一方、サポーターの方々からは、ベルマーレというクラブとその絆はどう見えているのでしょうか?

この疑問に答えてくれたのは、ベルマーレサポーターの一人である野口さん。「ベルマーレは、大きなクラブでも、裕福なクラブでもないんです。でもその分、“みんなで支えている”っていう実感がすごい。」と、胸を張ります。

明治安田生命J1リーグ第25節、湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦の前にインタビューに答える湘南サポの野口さん -Journal-ONE撮影

聞けば、最初は一人のサポーターとして試合応援に参加するだけだったのが、「自分がチームからたくさん元気をもらっていたんで、自然と “自分にも何かさせて欲しい” って気持ちがどんどん強くなっちゃって」という理由から、チームのボランティア組織に加入。今ではホーム戦の日には毎回、お住いの地域から片道1.5時間以上かけて平塚市のスタジアムへ駆けつけ、ボランティアスタッフとして活躍されています。

明治安田生命J1リーグ第25節湘南対浦和戦の試合後、清掃用具の配布スタッフとして活動する湘南サポの野口さん -Journal-ONE撮影

「他のサポーター仲間とかボランティアメンバーとか、ベルマーレがなかったら出会えなかった人がたくさんいる。みんな世代も全然違うけど、ベルマーレは自然と快く受け入れてもらえる環境なんです。そんな場所で、この大好きなクラブを自分も含めたみんなの力で支えている実感を得られる、これが本当に幸せなんです。」(野口さん)

と、ベルマーレサポーターであることの喜びを語ってくれました。

「子どもたちにとってベルマーレは特別な存在」

 地域の子どもたちとベルマーレの関係を教えてくれたのは、普段は小学校の教諭をしている平松さん。取材に応えてくれたこの日は、県内の教員が参加する “社会体験研修” というプログラムの一環で、ベルマーレのスタッフ業務に参加していました。ご自身に関しては「実は海外クラブのファンなんですけど、、、」としながらも、

「子供たちも最近は海外サッカーが好きな子が増えてますが、それでもこの地域の子たちにとって、ベルマーレって特別な存在なんです。体育の授業にベルマーレのコーチが来てくれる交流授業などもあるので、 “身近” という実感もあるんだと思います。なので、普段は海外チームを応援している子でも、コロナ禍の時にベルマーレのマスクが配られた時とか、それ以外にもチラシやグッズが学校で配られる時とかになると、目をキラキラさせながら受け取っているんですよ。 “うわー、ベルマーレだー!” って。」(平松さん)

明治安田生命J1リーグ第25節、湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦の前にレモンガススタジアム平塚で活動するボランティアスタッフ1 -Journal-ONE撮影

そのうえで、クラブが挑んでいる国立開催と動員記録更新についても、一人のサッカーファンとして、そして子どもに接する職業に就く立場として「自分も国立でサッカーを観たことがあるんですが、あの環境で生で見ること、体験することは、子どもたちにも凄い意味があることだと思います。普段テレビでしかサッカーを観る機会のない子が、国立で生観戦を体験する機会になるかもしれないので、そこで心を打たれるような経験をしてくれたら嬉しいですね。」と、その想いを語ってくれました。

国立を舞台としたベルマーレの挑戦が、地元地域の子どもたちにとってもよい経験を生み出していく… こどもゆめチケットを通じたベルマーレのアプローチは、普段から地域の中で子どもたちと接している先生にも、その価値がしっかりと届いているようです。

地域課題を通じて見えるクラブの価値とは?

 サポーターや地域の人々から愛されているベルマーレ。では個人という枠を超えて、社会という単位ではどのような関係性を築いているのでしょうか?

 地域社会にとってのベルマーレは「旗振り役をするリーダーとしてはもちろん、時にはクッション材にもなれる存在」と表現するのは、湘南エリアで50年の歴史をもつ地域メディア湘南ジャーナルを運営する株式会社湘南ジャーナル社の定成幸代代表。

明治安田生命J1リーグ第25節、湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦の前にレモンガススタジアム平塚で当社インタビューに答える定成幸代様(株式会社湘南ジャーナル)1 -Journal-ONE撮影

定成さんと同社は2023年5月、湘南ベルマーレおよび平塚市内にある特別支援学校4校と共に、社会連携組織 “一般社団法人INCLUSIVE HUB SHONAN” を立ち上げました。現在もこの組織を通じて、県内地域の障害福祉に関する課題解決など、共生社会の実現に向けた多くの活動を展開しています。

地域を繋ぐ存在となった湘南ベルマーレ

定成さんが教えてくれたのは、同組織の起ち上げ経緯の中で直面した “地域内の連携” という課題と、そこでベルマーレが果たした役割について。

福祉という課題に地域全体で取り組んでいくためには、域内に点在する関連団体やその活動、情報などを相互に連携させ、より大きく、より継続的な力にできる動き方が不可欠だと感じていた定成さん。

しかし、行政上の管轄区分や各団体間での活動エリアや考え方の違いなどにより、「企業や団体同士がやりましょう、手を繋ぎましょうっていうのは、非常に難しい状況だった。」と、当時の状況を振り返っています。

明治安田生命J1リーグ第25節、湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦の前にレモンガススタジアム平塚で当社インタビューに答える定成幸代様(株式会社湘南ジャーナル)2 -Journal-ONE撮影

そんな状況を打破できた理由の1つが、湘南ベルマーレの存在だったそうです。

一緒に活動をしていたベルマーレが「地域で旗振りができるリーダーでもあり、同時に皆を受け入れるクッションにもなれる」と考えたという定成さん。

「この地域の企業や団体の多くは、何かしらの形でベルマーレに関わっているんですよね。なので、活動や考え方には細かい違いがあったとしても、ベルマーレがあることで地域のみんなを繋ぐことができるし、みんながぶつからなくなるんです。教育現場を含む行政もそれは同じで、普段なら特定の企業や団体と深く “くっつく” ことは非常に懸念されるんですけど、それがベルマーレならって。みんなが近づきやすくなったんです。」(定成さん)

根底にあるのは “心理的な距離の近さ”

地域が持つ力を点から線へ、そして面にしていくその過程で、大きな貢献をしたベルマーレというクラブの存在。同クラブがこうした力を発揮できた理由は、どこにあったのでしょうか?定成さんが指摘するのは、ベルマーレがこの30年の歴史の中で、今日までに培ってきた “地域との距離感の近さ” です。

「地域に市民応援団があって、市民株主を募って成り立ったという経緯もあるので、チームの側には、地域に恩返しをしようという自然なマインドがあるんです。年間2,000回を超える地域貢献活動にもそれが表れていますよね。そういった “地域から呼ばれるとすぐに行っちゃう人懐っこさや身近さ” みたいなものを、きっと地域のみんなの側も感じてきた。この地域で応援する人たちの愛情の根底には、そうした “近さ” があると思っています。」(定成さん)

明治安田生命J1リーグ第25節、湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦の前にレモンガススタジアム平塚で当社インタビューに答える定成幸代様(株式会社湘南ジャーナル)3 -Journal-ONE撮影

この “近さ” については、「時代や環境の中で、チームも変わっていかないといけない部分は多くあると思う」と指摘しつつも、この先も「絶対になくして欲しくない部分の1つ」だと話していました。

選手も感じる “近さ” と絆

ここまで、話をしてくれた方々が口をそろえてして指摘する “ベルマーレというクラブがもつ近さや身近さ”。では、実際に国立の試合でピッチに立つ選手たちは、そんなベルマーレというクラブの特徴をどのように感じているのでしょうか?

「地域の皆さんやサポーターの皆さんと距離が近いところが、僕自身もベルマーレの好きなところです。」(田中選手)

23年9月24日の明治安田生命J1リーグ第28節、川崎フロンターレ戦へ向けた意気込みを語る湘南ベルマーレの田中聡選手- Jounal-ONE編集部撮影

そう話してくれたのは、ベルマーレユース出身で、現在はチームの中盤で攻守を支える田中聡選手。国立での試合が開催されることに関しても「クラブ内外で支えてくれる人がいて実現するもの」と感謝する気持ちが強いそうです。

そのうえで、クラブが挑む動員数記録更新については、

「選手たちのモチベーションもすごく高くなると思います。素晴らしい舞台で、たくさんのサポーターの方の前で戦うことに、気持ちが昂らない選手はいないと思います。そういう環境の中でやれることに感謝して、楽しんでプレーしたいと思います。」(田中選手)

と、今回の挑戦が選手に与える効果を語っていました。

田中選手と同じく、クラブの挑戦がモチベーションに与える効果を話してくれたのは、杉岡大暉選手。

「そんなに大人数の中でプレーできる機会とういうのはめったにないですし、ホームだと15,000人がスタジアムの上限ですけど、その何倍ものキャパシティの中で戦えることになれば嬉しいですし、そんなにたくさんの人が応援してくれているんだ、見てくれているんだと思うと、エネルギーが沸いてくると思います。」(杉岡選手)

23年9月24日の明治安田生命J1リーグ第28節、川崎フロンターレ戦へ向けた意気込みを語る湘南ベルマーレの杉岡大暉選手- Jounal-ONE編集部撮影

試合中はDFリーダーとして、そしてチームの副キャプテンとしても、今シーズンのチームを統率する立場にある杉岡選手。「普段からたくさんの人に支えてもらっていることを感じますし、その恩返しがピッチの上で表現できたらと思います。」と、クラブと周囲との絆への想いを話してくれました。

大一番を前に。選手たちが抱く強い決意

迫る決戦の日に向かう現状について、田中選手は「大きな舞台でできることがすごく楽しみですし、相手が川崎で神奈川ダービーでもあるので、絶対に勝たないといけないという気持ちが強いです。みんな国立に向けて気持ちが入っています。」と士気の上がっているチーム状況に触れたうえで、

23年9月24日の明治安田生命J1リーグ第28節、川崎フロンターレ戦へ向けた意気込みを語る湘南ベルマーレの田中聡選手2- Jounal-ONE編集部撮影

「球際や走ること、最後まで諦めないプレーはベルマーレの良さだと思うので、国立でも必ずそういう部分を出して勝ちたい。期待して見に来てくれる皆さんと勝利のダンスを踊りたいです。」(田中選手)

と、勝利への強い意欲をみせていました。

杉岡選手は「高校サッカー出身者である自分にとっては、国立というのはサッカーの聖地という想いが強い」と自身の学生時代も振り返ったうえで、試合を観に来る子どもたちへの想いを込めたメッセージをくれました。

「たくさんの人の前でサッカーができる喜びを胸に、見に来てくれた子どもたちにサッカーのカッコよさを伝えられるような試合にしたいと思います。この舞台に立ちたいなと思ってもらえるような、熱い試合をしたいと思います。」(杉岡選手)

23年9月24日の明治安田生命J1リーグ第28節、川崎フロンターレ戦へ向けた意気込みを語る湘南ベルマーレの杉岡大暉選手2- Jounal-ONE編集部撮影

湘南ベルマーレの “未来への挑戦”、その刻は迫る

いかがでしたでしょうか?今回は湘南ベルマーレが間もなく迎える30年目の大きな挑戦についてご紹介しました。取材を通して見えてきたのは、この30年間を通じてベルマーレが培ってきた地域との絆の存在です。そこでは選手、クラブ、サポーター、そして地域社会が、お互いに “近い” と表現し合える強い関係性が拡がっていました。

レモンガススタジアムでベルマーレの選手たちが乗ったバスをチャントと声援で出迎える湘南サポーターたち -Journal-ONE撮影

彼らが今年掲げてきた壮大なチャレンジの物語が、もう間もなくその結末を迎えようとしています。果たして、そこにはどんな未来が待っているのでしょうか?9月24日の国立競技場での湘南ベルマーレの挑戦に、是非ご注目ください!

 

(取材協力:株式会社湘南ベルマーレ様)

アクセス
国立競技場
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