レモンガススタジアムでベルマーレの選手たちが乗ったバスをチャントと声援で出迎える湘南サポーターたち -Journal-ONE撮影
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明治安田生命J1リーグ第25節、湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦の前にインタビューに答える湘南サポの野口さん -Journal-ONE撮影

聞けば、最初は一人のサポーターとして試合応援に参加するだけだったのが、「自分がチームからたくさん元気をもらっていたんで、自然と “自分にも何かさせて欲しい” って気持ちがどんどん強くなっちゃって」という理由から、チームのボランティア組織に加入。今ではホーム戦の日には毎回、お住いの地域から片道1.5時間以上かけて平塚市のスタジアムへ駆けつけ、ボランティアスタッフとして活躍されています。

明治安田生命J1リーグ第25節湘南対浦和戦の試合後、清掃用具の配布スタッフとして活動する湘南サポの野口さん -Journal-ONE撮影

「他のサポーター仲間とかボランティアメンバーとか、ベルマーレがなかったら出会えなかった人がたくさんいる。みんな世代も全然違うけど、ベルマーレは自然と快く受け入れてもらえる環境なんです。そんな場所で、この大好きなクラブを自分も含めたみんなの力で支えている実感を得られる、これが本当に幸せなんです。」(野口さん)

と、ベルマーレサポーターであることの喜びを語ってくれました。

「子どもたちにとってベルマーレは特別な存在」

 地域の子どもたちとベルマーレの関係を教えてくれたのは、普段は小学校の教諭をしている平松さん。取材に応えてくれたこの日は、県内の教員が参加する “社会体験研修” というプログラムの一環で、ベルマーレのスタッフ業務に参加していました。ご自身に関しては「実は海外クラブのファンなんですけど、、、」としながらも、

「子供たちも最近は海外サッカーが好きな子が増えてますが、それでもこの地域の子たちにとって、ベルマーレって特別な存在なんです。体育の授業にベルマーレのコーチが来てくれる交流授業などもあるので、 “身近” という実感もあるんだと思います。なので、普段は海外チームを応援している子でも、コロナ禍の時にベルマーレのマスクが配られた時とか、それ以外にもチラシやグッズが学校で配られる時とかになると、目をキラキラさせながら受け取っているんですよ。 “うわー、ベルマーレだー!” って。」(平松さん)

明治安田生命J1リーグ第25節、湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦の前にレモンガススタジアム平塚で活動するボランティアスタッフ1 -Journal-ONE撮影

そのうえで、クラブが挑んでいる国立開催と動員記録更新についても、一人のサッカーファンとして、そして子どもに接する職業に就く立場として「自分も国立でサッカーを観たことがあるんですが、あの環境で生で見ること、体験することは、子どもたちにも凄い意味があることだと思います。普段テレビでしかサッカーを観る機会のない子が、国立で生観戦を体験する機会になるかもしれないので、そこで心を打たれるような経験をしてくれたら嬉しいですね。」と、その想いを語ってくれました。

国立を舞台としたベルマーレの挑戦が、地元地域の子どもたちにとってもよい経験を生み出していく… こどもゆめチケットを通じたベルマーレのアプローチは、普段から地域の中で子どもたちと接している先生にも、その価値がしっかりと届いているようです。

地域課題を通じて見えるクラブの価値とは?

 サポーターや地域の人々から愛されているベルマーレ。では個人という枠を超えて、社会という単位ではどのような関係性を築いているのでしょうか?

 地域社会にとってのベルマーレは「旗振り役をするリーダーとしてはもちろん、時にはクッション材にもなれる存在」と表現するのは、湘南エリアで50年の歴史をもつ地域メディア湘南ジャーナルを運営する株式会社湘南ジャーナル社の定成幸代代表。

明治安田生命J1リーグ第25節、湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦の前にレモンガススタジアム平塚で当社インタビューに答える定成幸代様(株式会社湘南ジャーナル)1 -Journal-ONE撮影

定成さんと同社は2023年5月、湘南ベルマーレおよび平塚市内にある特別支援学校4校と共に、社会連携組織 “一般社団法人INCLUSIVE HUB SHONAN” を立ち上げました。現在もこの組織を通じて、県内地域の障害福祉に関する課題解決など、共生社会の実現に向けた多くの活動を展開しています。

地域を繋ぐ存在となった湘南ベルマーレ

定成さんが教えてくれたのは、同組織の起ち上げ経緯の中で直面した “地域内の連携” という課題と、そこでベルマーレが果たした役割について。

福祉という課題に地域全体で取り組んでいくためには、域内に点在する関連団体やその活動、情報などを相互に連携させ、より大きく、より継続的な力にできる動き方が不可欠だと感じていた定成さん。

しかし、行政上の管轄区分や各団体間での活動エリアや考え方の違いなどにより、「企業や団体同士がやりましょう、手を繋ぎましょうっていうのは、非常に難しい状況だった。」と、当時の状況を振り返っています。

明治安田生命J1リーグ第25節、湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦の前にレモンガススタジアム平塚で当社インタビューに答える定成幸代様(株式会社湘南ジャーナル)2 -Journal-ONE撮影

そんな状況を打破できた理由の1つが、湘南ベルマーレの存在だったそうです。

一緒に活動をしていたベルマーレが「地域で旗振りができるリーダーでもあり、同時に皆を受け入れるクッションにもなれる」と考えたという定成さん。

「この地域の企業や団体の多くは、何かしらの形でベルマーレに関わっているんですよね。なので、活動や考え方には細かい違いがあったとしても、ベルマーレがあることで地域のみんなを繋ぐことができるし、みんながぶつからなくなるんです。教育現場を含む行政もそれは同じで、普段なら特定の企業や団体と深く “くっつく” ことは非常に懸念されるんですけど、それがベルマーレならって。みんなが近づきやすくなったんです。」(定成さん)

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