レモンガススタジアムでベルマーレの選手たちが乗ったバスをチャントと声援で出迎える湘南サポーターたち -Journal-ONE撮影
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根底にあるのは “心理的な距離の近さ”

地域が持つ力を点から線へ、そして面にしていくその過程で、大きな貢献をしたベルマーレというクラブの存在。同クラブがこうした力を発揮できた理由は、どこにあったのでしょうか?定成さんが指摘するのは、ベルマーレがこの30年の歴史の中で、今日までに培ってきた “地域との距離感の近さ” です。

「地域に市民応援団があって、市民株主を募って成り立ったという経緯もあるので、チームの側には、地域に恩返しをしようという自然なマインドがあるんです。年間2,000回を超える地域貢献活動にもそれが表れていますよね。そういった “地域から呼ばれるとすぐに行っちゃう人懐っこさや身近さ” みたいなものを、きっと地域のみんなの側も感じてきた。この地域で応援する人たちの愛情の根底には、そうした “近さ” があると思っています。」(定成さん)

明治安田生命J1リーグ第25節、湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦の前にレモンガススタジアム平塚で当社インタビューに答える定成幸代様(株式会社湘南ジャーナル)3 -Journal-ONE撮影

この “近さ” については、「時代や環境の中で、チームも変わっていかないといけない部分は多くあると思う」と指摘しつつも、この先も「絶対になくして欲しくない部分の1つ」だと話していました。

選手も感じる “近さ” と絆

ここまで、話をしてくれた方々が口をそろえてして指摘する “ベルマーレというクラブがもつ近さや身近さ”。では、実際に国立の試合でピッチに立つ選手たちは、そんなベルマーレというクラブの特徴をどのように感じているのでしょうか?

「地域の皆さんやサポーターの皆さんと距離が近いところが、僕自身もベルマーレの好きなところです。」(田中選手)

23年9月24日の明治安田生命J1リーグ第28節、川崎フロンターレ戦へ向けた意気込みを語る湘南ベルマーレの田中聡選手- Jounal-ONE編集部撮影

そう話してくれたのは、ベルマーレユース出身で、現在はチームの中盤で攻守を支える田中聡選手。国立での試合が開催されることに関しても「クラブ内外で支えてくれる人がいて実現するもの」と感謝する気持ちが強いそうです。

そのうえで、クラブが挑む動員数記録更新については、

「選手たちのモチベーションもすごく高くなると思います。素晴らしい舞台で、たくさんのサポーターの方の前で戦うことに、気持ちが昂らない選手はいないと思います。そういう環境の中でやれることに感謝して、楽しんでプレーしたいと思います。」(田中選手)

と、今回の挑戦が選手に与える効果を語っていました。

田中選手と同じく、クラブの挑戦がモチベーションに与える効果を話してくれたのは、杉岡大暉選手。

「そんなに大人数の中でプレーできる機会とういうのはめったにないですし、ホームだと15,000人がスタジアムの上限ですけど、その何倍ものキャパシティの中で戦えることになれば嬉しいですし、そんなにたくさんの人が応援してくれているんだ、見てくれているんだと思うと、エネルギーが沸いてくると思います。」(杉岡選手)

23年9月24日の明治安田生命J1リーグ第28節、川崎フロンターレ戦へ向けた意気込みを語る湘南ベルマーレの杉岡大暉選手- Jounal-ONE編集部撮影

試合中はDFリーダーとして、そしてチームの副キャプテンとしても、今シーズンのチームを統率する立場にある杉岡選手。「普段からたくさんの人に支えてもらっていることを感じますし、その恩返しがピッチの上で表現できたらと思います。」と、クラブと周囲との絆への想いを話してくれました。

大一番を前に。選手たちが抱く強い決意

迫る決戦の日に向かう現状について、田中選手は「大きな舞台でできることがすごく楽しみですし、相手が川崎で神奈川ダービーでもあるので、絶対に勝たないといけないという気持ちが強いです。みんな国立に向けて気持ちが入っています。」と士気の上がっているチーム状況に触れたうえで、

23年9月24日の明治安田生命J1リーグ第28節、川崎フロンターレ戦へ向けた意気込みを語る湘南ベルマーレの田中聡選手2- Jounal-ONE編集部撮影

「球際や走ること、最後まで諦めないプレーはベルマーレの良さだと思うので、国立でも必ずそういう部分を出して勝ちたい。期待して見に来てくれる皆さんと勝利のダンスを踊りたいです。」(田中選手)

と、勝利への強い意欲をみせていました。

杉岡選手は「高校サッカー出身者である自分にとっては、国立というのはサッカーの聖地という想いが強い」と自身の学生時代も振り返ったうえで、試合を観に来る子どもたちへの想いを込めたメッセージをくれました。

「たくさんの人の前でサッカーができる喜びを胸に、見に来てくれた子どもたちにサッカーのカッコよさを伝えられるような試合にしたいと思います。この舞台に立ちたいなと思ってもらえるような、熱い試合をしたいと思います。」(杉岡選手)

23年9月24日の明治安田生命J1リーグ第28節、川崎フロンターレ戦へ向けた意気込みを語る湘南ベルマーレの杉岡大暉選手2- Jounal-ONE編集部撮影

湘南ベルマーレの “未来への挑戦”、その刻は迫る

いかがでしたでしょうか?今回は湘南ベルマーレが間もなく迎える30年目の大きな挑戦についてご紹介しました。取材を通して見えてきたのは、この30年間を通じてベルマーレが培ってきた地域との絆の存在です。そこでは選手、クラブ、サポーター、そして地域社会が、お互いに “近い” と表現し合える強い関係性が拡がっていました。

レモンガススタジアムでベルマーレの選手たちが乗ったバスをチャントと声援で出迎える湘南サポーターたち -Journal-ONE撮影

彼らが今年掲げてきた壮大なチャレンジの物語が、もう間もなくその結末を迎えようとしています。果たして、そこにはどんな未来が待っているのでしょうか?9月24日の国立競技場での湘南ベルマーレの挑戦に、是非ご注目ください!

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