そして、北海道を除く全国9つのブロックで、ブロックごとに新人大会が行われており、その上位チームの29校、さらに実行委員推薦枠、開催県の埼玉代表の32校が春の選抜大会に出場する。
春の選抜大会は2009年大会(2011年は東日本大震災、2020年大会はコロナ禍の影響で中止)以降、昨年王者の桐蔭学園(神奈川)が4回、東福岡(福岡)が6回優勝と他を圧倒しており、さらに東海大大阪仰星(大阪)、大阪桐蔭(大阪)、報徳学園(兵庫)がそれぞれ1回ずつ優勝している。
波乱が続いた今年の選抜大会
ただ、今年の選抜大会では優勝候補と予想されていた東福岡が、関東ブロック5位の”目黒学院”(東京)に敗れる波乱があり、目黒学院はその勢いのまま、2回戦で伝統校の”天理”(奈良)も下し、花園では5回の優勝を誇る名門が選抜大会で初のベスト8に進出した。また、関東新人大会で初の3位になった”東海大相模”(神奈川)も大阪の強豪の1つ”常翔学園”を破って初のベスト8に入った。
ベスト8に入ったチームは、2回戦で東海大大阪仰星を下した前年度王者で関東新人大会準優勝の桐蔭学園、その桐蔭学園を新人大会で破った関東王者の”國學院栃木”(栃木)、大阪と近畿大会と制した優勝候補の筆頭”大阪桐蔭”、近畿大会準優勝の”御所実業”(奈良)、中国王者の”石見智翠館”(島根)、東海王者の”中部大春日丘”(愛知)だ。
今大会は2回戦で九州勢が姿を消したが、各ブロックの王者や上位進出チームがベスト8進出した。なお、過去に選抜で優勝したことのあるチームは、桐蔭学園と大阪桐蔭のみで、他の6校が優勝すると初優勝となる。
選抜大会ベスト8は冬の花園ではシード校に
また近年、選抜大会でベスト8に入り、都道府県予選を勝ち抜いて冬の花園に出場すると、シード校に選ばれるようになった。花園は前述の通り51校が出場するが、Aシード3校、Bシード10校は2回戦からの出場となり、しかもAシードとなると2回戦、そして元日の3回戦がノーシード校との対戦(Bシード校は順当に行くと3回戦で他のBシードとの対戦となる)となる。
つまり、Aシードに選ばれると、大会前から1月3日に行われる準々決勝進出への可能性が大きく、優勝までの5連戦のうち、2試合は比較的、疲労の少ない試合を行うことができるため、有利な状態で大会を迎えることができるというわけだ。
現に選抜大会で上位チームが、花園で優勝する傾向がある。過去5大会を見ても2018年度、春に優勝した桐蔭学園は花園で準優勝、2019年度、2023年度は桐蔭学園が春と冬を制しており、2021年度は春の選抜3位の東海大大阪仰星が、冬の花園で優勝。2022年度は選抜準優勝の東福岡が花園を制した。また過去5年の花園を見ても優勝候補筆頭であるAシード校が頂点に立っている。
冬の花園、そして将来につながる選抜大会
また、個々の選手にとっても、春の選抜大会は高校日本代表を選出するセレクターが試合を見ており、大会後に活躍した選手を中心に、100名あまりの高校日本代表候補が選出される。
そして、数回の合宿、花園などの活躍なども考慮されて、26人という狭き門である高校日本代表に選出され、毎年海外へ遠征して強豪国と対戦している。もちろん、選抜大会は東西の強豪大学の監督や、採用担当者も多数来場している。
いずれにせよ、1月の新人大会から年末の花園に向けた準備、試合が始まっており、春の選抜大会は冬の花園を占う大会ともなっているというわけだ。そして、個々の選手にとっても選抜大会での舞台での活躍が、将来に大きくつながっていく。
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