Journal-ONE | パリ五輪応援企画 柔道 実業団の名門・コマツ颯志道場潜入レポート
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コマツ柔道部は家族でありたい

コマツ女子柔道部を率いて、4月で27年になる松岡 義之総監督。今では日本屈指の強豪チームに育て上げたその道のりに常にあったのは “家族のようなチーム作り” でした。

「縁があってコマツに来てくれた選手たちには、自分の持っている才能を伸ばして強くなってもらうことは勿論ですが、競技柔道を終えてからもコマツで柔道が出来て良かったなと思ってもらえるよう、家族のように接し続けてきました」と、話しを始める松岡総監督。

「時代の流れ、そのときに所属する選手たちの特性によっても変わってきましたよね。これで良いのか? 良かったのか? と日々反省しながら総監督をやっています」と、27年にわたるその指導は、少しずつ変化させながら積み上げてきたものだと続けます。

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コマツ柔道部 27年目を迎える松岡義之総監督-Journal-ONE撮影

監督を引き受けた切っ掛けは

「私自身が国際大会に出場した経験、全日本のコーチをした経験を活かし、あの舞台に立たせてあげたいなと言う思いでコマツの監督を引き受けました」と、部員たちに世界の舞台を体験させる手助けをしたいと監督を引き受けた松岡総監督。

「練習など接する時間は限られていますが、選手ひとりひとりで成長が期待できるタイミングは違います。その一瞬を見逃さずに、選手の糧になるようなタイミングでアドバイスをするように心がけています」と、Journal-ONE編集部が練習の取材で気になった、適格なポイントでアドバイスしているその意図を教えてくれました。

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必要なタイミングでアドバイスする松岡総監督-Journal-ONE撮影

選手たちの年齢の幅は広く、選手個人のキャリアや技量も様々ですから、タイミングすら見付けることは難しいのではないでしょうか?

すると松岡総監督は、「選手はそれぞれ一皮むけるために超えなければならない壁は持っているのです。その壁は少しの気づきがあれば突破できる。それに気付いてもらえるように、言葉を選んだり、接し方を工夫したりして伝えるのです。ですが、言葉で伝えることは本当に難しいですし、選手のその時の心理もありますからね。私は口べたですから(笑)」と、笑顔でチームを率いる難しさについても教えてくれました。

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自らを”口べた”と言う松岡総監督-Journal-ONE撮影

ロス五輪金メダリストの経験を

1984年の “ロサンゼルスオリンピック”。昨今のオリンピック中継の礎となる様々な映像技術やエンターテイメント性を生んだ世界中がテレビに釘付けになった大舞台で、松岡総監督は65Kg級で見事! 金メダルを獲得しました。

「実は私、オリンピックは目指していなかったのです。高校はインターハイに出ていませんし、大学でもベスト8止まりでしたから。ですから、そんな世界は自分とは無縁のものだと思っていました」と、笑いながら当時を振り返る松岡総監督。

「それが、直前の世界選手権(1983年の “モスクワ世界選手権”)で準優勝して、『いけるかな?』と思ったのです。オリンピックに出場できるならば、後の人生どうなっても良いと覚悟して取り組んだのです」と、選手たちに話している “成長するための壁” がそこにあったと話します。

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自らのロス五輪金メダル獲得までを振り返る松岡総監督-Journal-ONE撮影

「何かの切っ掛けで成長することがあると私は身を以て体験しました。ですから、『自分はここまでか・・・』と諦めてしまうのでは無く、あちこちに転がってるチャンスを見付けるためにアンテナを貼って欲しいのです」と、指導法の根底にあったのは五輪金メダルを獲得する道のりで得たものだったのです。

「もちろん、そのときの気持ちや体調によってチャンスを拾えるか拾えないかといったこともあります。それでも、考え方の変化があれば大きく成長することもあるのです。柔道の実力は一朝一夕に伸びる訳ではありませんが、こういう機会でメンタルが変わると一気に強くなることがあるのです」と、壁を越えるにはメンタル面が大きな役割を果たすと教えてくれました。

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メンタルが変わると一気に成長すると松岡総監督-Journal-ONE撮影

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