効果的な補強と地道な育成でチームが急成長 –東地区2位(14勝4敗)
2022シーズン東地区8位、2023シーズン同5位と、着実に成長を遂げる戸田中央メディクス埼玉。2024シーズンは前半戦を終え、東地区二連覇中の王者・ビックカメラ高崎ビークイーンと並ぶ2位と好位置に付けている。
昨シーズン、「実績十分なベテランが、若い選手たちのお手本となってくれている」と、福田 五志監督が信頼を寄せていたのは、”推しのソ”の二人、主将の糟谷 舞乃選手、鈴木 鮎美選手。監督の考えをいち早く理解し、その意図を自らのプレーで示すことはもちろん、ミーティングや円陣、何気ない声かけで若い選手たちに共有してチームの成長を促す姿が印象的だった。
JDリーグの前身である日本リーグ時代、黎明期のトヨタレッドテリアーズを13シーズンにわたって率い、完全無欠のチームにまで育て上げた名将・福田監督。名将が描く理想のチームへと歩みを進めるべく今シーズン、日本代表・坂本 結愛選手、山口 みどり選手を日立サンディーバから補強し、初のプレーオフ進出も射程圏内に付けている。
「若い選手が多いですから、まだまだ戦いながら成長していかなければ」と手綱を引き締める福田監督だが、“推しのソ” 増田 侑希投手がチーム最多イニングを投げ、新加入のGeorgina Corrick(ジョージナ・コリック)選手と共に防御率1点台。名実ともにチームの大黒柱に成長するなど、地道な育成で勝ち星を重ねるチームに手応えを感じていると見る。
上位対決は一進一退の攻防
悲願のプレーオフ、ダイヤモンドシリーズへの進出に負けられないのが、上位チームとの対戦。前半戦の戸田中央メディクス埼玉は、東地区首位の日立サンディーバ(1勝1敗)、同率2位のビックカメラ高崎ビークイーン(2敗)、後方から追い上げるホンダリベルタ(1勝1敗)を相手に、終盤まで試合の行方が分からないスリリングなゲームを展開した。
首位攻防戦となった第6節(5/24)のビックカメラ高崎ビークイーンでは、序盤に3点を先制されるも、5回に百戦錬磨の鈴木選手、山口選手が適時打を放ち1点差に詰め寄る。最終回、絶対的守護神・上野 由岐子投手から、2年目の代打・佐藤 杏美選手が9球粘って四球を選ぶと、続くSahvanna Jaquish(サバンナ・ジェーキッシュ)選手も四球で続いて一打逆転のチャンスを作るなど、戦国・東地区を象徴する見応えある試合でファンを沸かせた。
世界のソフトボールにも精通している福田監督は、「若くて勢いのある選手よりも、日本のソフトボールに馴染める選手に声をかけている」と、理想のチームを目指した外国人選手をスカウトしている。重い直球で相手をねじ伏せるジョー投手は、日本のストライクゾーンに適応した制球力で試合を作り、サバンナ選手も5本塁打という外国人ならではのパワーだけでなく、際どいボール球を見極めて四球を選び、中軸に繋ぐプレーも見せて福田監督の期待に応えている。
現状に満足しないエースを強力打線が後押し
前半戦を終え、既に昨シーズン並のイニングを投げて防御率1.72と抜群の成績を挙げている “推しのソ” 増田選手。日本代表を相手に先発した “能登半島地震復興支援チャリティーマッチ” の試合後に前半戦の手応えを聞くと、「大事なところで点を与えてしまい、負けが3つも付いてしまった」と反省を口にした。
坂本捕手のリードで、内外角を攻め分ける投球が光った前半戦だが、その結果に満足していないエース・増田投手。後半戦、勝負所でギアをもう一段上げる投球術を見せてくれれば、西地区上位3チームとの連戦となる後半戦の開幕で戸田中央メディックス埼玉ファンを喜ばせてくれるに違いない。
どこからでも点を奪える打線は、三冠王を視野に絶好調の5番・坂本選手の前にどれだけ走者を出せるか。サバンナ選手、鈴木選手、山口選手という出塁率の高い上位打線に、繋げる4番・糟谷選手が控える戸田中央メディックス埼玉の強力打線は、相手投手のモメンタムを奪うに申し分ない布陣。