皇后杯を手に巻き返しを図る
女子ソフトボール “ニトリJDリーグ” の第10節。JDリーグの全16チームが全日本総合女子選手権大会に出場するため、リーグ戦を2週間飛ばして再開された今節は交流戦最終節。
今年で76回目を数える全日本総合女子選手権大会だが、今回から皇后盃を下賜いただくこととなった記念すべき大会。
トヨタレッドテリアーズが初戦で大学チームに敗れるなど、番狂わせが起こった波乱の大会を制したのは、戸田中央メディクス埼玉。1976 年の創部以来、悲願の初優勝となった。
JDリーグ前半戦、効果的な補強と若手選手の成長で、東地区の優勝戦線に躍り出ていた戸田中央だが、後半戦開幕となった札幌ラウンドでは西地区2位のSGホールディングスギャラクシースターズ、3位のシオノギレインボーストークス兵庫と強豪相手にあと一歩及ばずに痛い星を落としていた。
全日本総合初Vを契機に、JDリーグ東地区の台風の目となっている戸田中央がどれだけチーム状態を上げてきているかに注目が集まる第10節であった。
“猫の目打線”は全員総力で戦う証
前半戦は上位陣のスターティングラインアップを固定し、経験豊富な “推しのソ” 鈴木 鮎美選手、糟谷 舞乃選手、今シーズンからチームに加わった日本代表の坂本 結愛選手、山口 みどり選手の「試合の流れを変えることのできるプレーヤーたち」を中心に勝利を重ねてきた戸田中央。
後半の開幕戦となったSGホールディングスとの “仮想ダイヤモンドシリーズ” に1点差で惜敗すると、ここから毎試合オーダーの変わる “猫の目打線” に変貌を遂げた。
「ここから落とせない試合が続きますが、固定されたレギュラーだげで勝ち抜くことは難しい。調子の良い選手を上位に、あるいはスタメンに起用することで選手全員の力を出し尽くして戦わなければならないのです」と、名将・福田 五志監督がその意図を教えてくれた。
前日のトヨタ戦では、先発のMegan Faraimo(メーガン・ファライモ)投手から2点を奪い、終盤までリードした試合運びを見ると、その効果は早速現れている。
若手が成長しチームの質が上昇中
「まだまだ細かいプレーには対応できていませんよ」と話すのは、日本精工ブレイブベアリーズの森澤 隆行監督だ。昨シーズン、ケガに泣いた投手陣を最後まで打線と守備で援護できずに大差で敗れる試合が続いた。
今シーズンは、左右の即戦力投手を獲得して投手陣の整備を行ったことに加え、岡崎 仁美選手、矢藤 輝羅菜選手がルーキーながらレギュラーポジションを獲得。これに刺激されたのか、昨シーズンに出場機会を得た若い選手たちのレベルは毎試合上昇。昨年のキーストーン、重石 華子選手、沢 柚妃選手への徹底マークが外れたことで、チームの勢いは格段に良くなっている。
「投手は打たれることを恐れず、ストライクゾーンで勝負してくれています。打たせて取るタイプの投手陣だけに、内外野の守備がどれだけ投手を助けてあげられるか。前半戦の試合経験を経て、若い選手たちの地力が付いてようやく強いチームにも食らいついていけるようになりました」と、日々成長する選手たちに目を細める。
中でも今シーズン、エースとしての自覚と力が付いてきた “推しのソ“ 後藤 明日香投手を先発に立て、東地区の上位チームから勝ち星を奪おうと燃えていた。
勝負勘が膠着した展開を動かす
日本精工・後藤投手、戸田中央・Georgina Corrick(ジョージナ・コリック)投手の投げ合いで始まった序盤。2回を終え、安打を放ったのは日本精工の沢選手のみと試合は膠着状態に入る。