プレーオフ進出の悲願
リーグ戦も残すところあと6試合。日本一を決めるノックアウトラウンド “ダイヤモンドシリーズ” 進出を目指す、西地区1位・トヨタレッドテリアーズと、2位・SGホールディングスギャラクシースターズが直接対決。
この試合に勝てば、西地区3年連続の優勝が決まるトヨタに対し、直接対決で負けるわけにはいかないSGホールディングス。この試合にかけるSGHは、プレーオフ2ndステージ進出への執念にも並々ならぬ思いがある。
日本女子ソフトボールのトップリーグ・JDリーグが華々しくスタートした2022シーズン。西地区3位ながらもプレーオフ1stステージからの挑戦となったSGホールディングスは、東地区4位(ワイルドカード)のホンダリヴェルタと対戦して惜敗。プレーオフ2ndステージに進出できなかった。
続く昨年の2023シーズン、再び西地区3位となったSGホールディングスであったが、またもや勝率及ばず。ワイルドカードで勝ち残った東地区4位のデンソーブライトペガサスにプレーオフ1stステージで敗れ、あと一歩と迫っていたダイヤモンドシリーズへ進むことは叶わなかった。
「3度目の正直は、2位以上をキープしてプレーオフ2ndステージに進む!」と、ギアをひとつ入れ替えて2024シーズンを戦い続けているSGホールディングス。王者・トヨタを相手に素晴らしい熱戦を繰り広げた裏にあるストーリーを紐解くと観戦はさらに興味深くなる。
ダイヤモンドシリーズの前哨戦
一方のトヨタも、ダイヤモンドシリーズ二連覇に向け、上位チームと当たるこの時期の戦いは重要だ。
前節、地元・豊田市でビックカメラ高崎ビークイーンとの交流戦最終戦に臨んだトヨタ。昨年のダイヤモンドシリーズ決勝の再現ということもあり、多くのソフトボールファンがスタジアムに訪れる中、投手戦を制して見事に勝利を飾った。
この日のSGホールディングスとトヨタの対戦も、順当に行けば秋のダイヤモンドシリーズ準決勝で再現される可能性が高いゴールデンカード。
二連覇に向け、プレーオフ間近のこの試合を確実に勝っておきたいトヨタと、プレーオフ2ndステージから一気にダイヤモンドシリーズ準決勝での勝利を目指したいSGホールディングス。両チームのファン、応援団も力が入らざるを得ないこの一戦は、SGホールディングス・Kathryn Sandercock(キャスリン・サンダーコック)投手、トヨタ・Megan Faraimo(メーガン・ファライモ)と昨シーズン後半から加入したアメリカ人投手が互いに譲らない熱投を見せた。
2死からの攻防が明暗を分けた序盤
「大事なところで一本出せるか出せないかで勝敗が決まる」と、JDリーグ16チームのどの監督もチーム浮上のカギと捉えているのが、最後の最後で適時打を打てる勝負強い打線だ。
SGホールディングスは初回、1死からイタリア代表の主砲・ Erika Piancastelli(エリカ・ピアンカステリ)選手が右中間二塁打を放ち、メーガン投手の立ち上がりを攻める。
2死後、今度はオーストラリアの至宝・Stacey Porter(ステーシー・ポーター)選手が、メーガン投手の重い球に負けじとパワーで三遊間を破る。この安打で1死一、三塁と先制のチャンスを広げた。
2死となり打席に入ったのは、「今日は攻めた打順にした」と試合後に話した加藤 愛監督が期待する5番・森田 あさひ選手。 “大事なところ” で抜擢された森田選手にベンチからも大きな声援が送られた。
奇しくもこの日、誕生日を迎えた森田選手。監督の期待とチームの願いに応え、見事に左前適時打を放ち1点を先制すると、塁上で雄叫びを上げてチームメイトとハイタッチ。自らの誕生日を祝う一打に、チームのモメンタムは一気に上がっていった。