野球に続きソフトも熱いポストシーズン‼
NPB(日本プロ野球)は、59年ぶりの関西対決、38年ぶりの阪神タイガース優勝で盛り上がりを見せて2023シーズンが終了しましたが、女子ソフトボールはこれからが熱い!
世界最高峰の国内トップリーグ “JD”リーグ” は、負けたら終わりのノックアウトラウンドが開幕。初戦となった11月11日(土)の神奈川県川崎市の等々力野球場は、ひんやりと秋深い風が吹き、朝から小雨も混じる曇り空。そんな天気にも負けず、スタンドには多くの観客が詰めかけ両チームに熱い声援を送ります。
西地区3位の “SGホールディングス ギャラクシースターズ” と、東地区4位・ワイルドカードでの進出となった “デンソー ブライトペガサス” のゲーム。京都府京都市を本拠地とするギャラクシースターズではありますが、関東にも多くの事業所を持つ “佐川急便” でお馴染みの職場の皆さんが大集結。青色のチームユニフォームで統一されたスタンドの応援団は凡そ300人の熱気で溢れました‼ 対する愛知県刈谷市を本拠地とするブライトペガサスも、地元・愛知県を中心に首都圏からも多くのファンが駆け付けています。
銀河系の新星×リーグ屈指の大投手の投げ合い –序盤
ギャラクシースターズの先発は、後半戦から加入した新戦力のキャスリン・サンダーコック(Kathryn SANDERCOCK)投手。全米大学チームトップ3に君臨するFlorida State(フロリダ州立大)のエースとして日米対抗ソフトボール2022で来日したキャスリン投手は、快速球と鋭く落ちるドロップが持ち味。4試合に登板して3勝で負け無し! 防御率0.75の若き新星に大事な一戦を託します。
一方、ワイルドカードからプレーオフに進んだブライトペガサスは、昨シーズンの西地区最多勝でベストナインにも輝いた “絶対的エース” のカーリー・フーバー(Carley HOOVER)投手を先発に立て必勝を期します。
1点を争う接戦が予想される中で先手を取ったのはギャラクシースターズでした。
初回、日本代表でも不動の1番打者を務める中川 彩音選手が初球を思い切り叩くと、打球はショートの右を抜ける強烈なゴロとなります。この打球を回り込んで何とか処理したセンターの動きを見ると、躊躇なくセカンドベースまで走り抜ける好走塁! 無死二塁と先制点のチャンスを作ります。
すぐに追いつきたいブライトペガサスは2回2死無走者から、こちらも日本代表でキャプテンを務める6番・川畑 瞳選手が左中間へのツーベースヒットを放ち得点圏に走者を進めますが得点には至りませんでした。
キャスリン投手は、アメリカで一緒にプレーしたこともある東京2020イタリア代表のErika PIANCASTELL(エリカ・ピアンカステリ)捕手との相性もぴったり。ライズ系で追い込んでからドロップ、ドロップから追い込んで速球と、相手の裏をかくエリカ捕手のインサイドワークも冴えわたり、ブライトペガサス打線付けいる隙を与えません。
フーバー投手も、2回以降は自慢の剛速球を中心にテンポ良く投げ込み無失点に抑え、チームにリズムを作ります。ポーター選手、エリカ選手と一発のある打者との対戦では、小島 あみ選手とのコミュニケーションも良く、内角速球と外の落ちる球で攻め込んで自分のバッティングをさせません。
デンソー打撃陣と米豪好投手の攻防 –中盤
両外国人投手が持ち味を存分に発揮し始めた試合は中盤戦に突入しました。
4回表のブライトペガサスは打順良く、2番の小島 あみ選手から始まります。「どの球種でも食らいついて、とにかく後ろに繋ごうと思って打席に入りました。」と振り返った小島選手。フーバー選手の好投に報いるべく、0-3から何度もファールを打ちながらキャスリン投手の球筋を見極め、タイミングを合わせていきます。
勢い付くブライトペガサスは、続く3番・川村 莉沙選手がドロップを、4番・剱持 祐衣選手がライズをそれぞれセンター中心にはじき返し、キャスリン投手を打ち崩しに掛かりますが、ショート・大國選手の素晴らしい守備などもあり、逆転を許しません。
振り出しに戻った中盤以降のフーバー投手は、低めにボールを集め始めてギャラクシースターズ打線にヒットすら許さないエンジン全開の投球を披露し、流れをブライトペガサスに持ってきます。
対するギャラクシースターズも、ボールを見極め始められてきたキャスリン投手に代えてカーヤ・パーナビー(Kaia PARNABY)投手にスイッチ。前の打席で鋭いツーベースを放った川畑選手から始まる攻撃を3者凡退で切って取り、同点弾を打たれた小島選手に対しても、緩急とコーナーワークで全く的を絞らせない投球を披露し三振を奪う力投! エースの貫録を見せたカーヤ投手のリズム良い投球に、3塁側SGH応援スタンドからも大きな拍手が沸き起こりました。
最終回に劇的な展開で決着 –終盤
いよいよ最終回、長打力のある両チームの攻撃陣に対して一球の失投も許されないディフェンスとなる緊張感ある試合展開に、寒風吹くスタンドで観戦しているファンは寒さを吹き飛ばす熱い声援で選手たちを後押しします。
試合開始前からライトからレフトに向かい強い風が吹いていた等々力球場ですが、その風はここへ来てより強くなり、更に風向きもホームからセンター方向に変わりました。
ブライトペガサスは、先頭の川村選手が粘って四球で久しぶりに塁を埋めると、続く4番・剱持選手には送りバントの指示を出した中森 菜摘監督。このバントをサードのキャプテン・高橋 まひろ選手が素早く捕って二塁へ送球するも、川村選手の抜群のスタートでセーフ!無死1、2塁という絶好のチャンスとなります。
続く白石選手も送りバントの構えですが、1点も献上したくないギャラクシースターズは攻めの守りを崩さず猛烈なチャージをかけます。これを見かねてバスターに切り替えた打球は、再びサード・高橋選手を襲う激しい打球!
「最初のフィダースチョイスは、“やってしまったな・・・” と(笑)。それでも下を向くこと無く、続けざまに素晴らしいプレーを見せてくれた高橋選手に、日本人選手たちの成長を感じました。」と、ギャラクシースターズ・加藤 愛監督が振り返ったとおり、ミスに臆することなくこの打球をしっかりとキャッチした高橋選手はセカンドに矢のような送球!セカンドの山本 星選手からファーストのポーター選手に渡った送球で今度はダブルプレーを完成!2死3塁と絶体絶命のピンチを土俵際から押し返します。
続く川畑選手との勝負を避け、2死1、3塁として打席には今村選手が入ります。「プレーオフとはいえ特別なことをせず、今までやってきたことをしっかりと出していこうと試合に臨んでいました。」と話す今村選手。「みんなで繋いでくれたチャンス、自分で返すのではなくとにかく繋ごうと打席に入りました。」と平常心で打席に向かいます。
走りきった今シーズン-SGH
「試合は負けてしまいましたが、内容的には納得のゲームでした。」と、いつもの素敵な笑顔で話し始めた加藤監督。
キャスリン選手の先発抜擢については、「対戦相手がデンソーさんに決まった瞬間に、何となくは頭で決めていました。実際に本人に伝えたのは1週間前です。速球に加え、ライズ、チェンジアップ、ドロップと多彩な球種を操るキャスリン投手は、相手も的を絞り辛いかと思いました。」と、思惑通りに序盤をしっかりと抑えたキャスリン投手の好投を称えます。
カーヤ投手への継投のタイミングについては、「キャスリン投手が合わされたタイミングで交代は予定どおりでしたが、流れが傾きかけた場面の登板で良く抑えてくれました。」と、今シーズンも大車輪の活躍でチームをプレーオフに導いたエースを労う加藤監督。
昨年に続き、プレーオフ1stラウンドで敗退となってしまいました。昨年最後のミーティングで、“それぞれが足りないものを探して欲しい” と選手たちに伝えていた加藤監督は、今シーズンを振り返り、「今年のプレーオフは、本当に良い状態で入って自信もありました。これで駄目ならと思っていたので、選手たちも全力でやり切ったシーズンだったとみんなで総括しました。」と走りきった充実した今シーズンを振り返ってくれました。
大歓声で後押ししてくれた大応援団についても、「前半の終わりくらいから、応援団の皆さんが全国の支社に声を掛けていただけるようになり、応援していただく人も増えていきました。今回も300人近い佐川急便からの応援席を見て、選手たちも本当に燃えました。応援に恥じないプレーをしようと、私たちももっと盛り上がる試合をしていきたいです。」と、終始晴れやかな笑顔で報道陣への質問に答えてくれました。
翌11月12日(日)のプレーオフ2ndステージに進んだブライトペガサスは、第2試合で西地区2位の “豊田自動織機シャイニングベガ” と対戦!
第1試合の “日立サンディーバ”(東地区2位)と ”ホンダ リベルタ”(東地区3位)の勝者と共に、翌週の11月18日(土)に埼玉県の朝霞中央公園野球場で、両地区首位の “ビックカメラ高崎ビークイーン” “トヨタ レッドテリアーズ” とのダイヤモンドシリーズ・セミファイナルに駒を進めます。
激戦必至のJDリーグ ポストシーズンを制するのはどのチームか?
週末はスタジアムに足を運び、選手たちを応援してみてはいかがでしょうか。
プレーオフ2ndラウンド 日立 vs ホンダのレポートも是非!
プレーオフ2ndラウンド 豊田自動織機 vs デンソーのレポートも是非!!