勢い付くブライトペガサスは、続く3番・川村 莉沙選手がドロップを、4番・剱持 祐衣選手がライズをそれぞれセンター中心にはじき返し、キャスリン投手を打ち崩しに掛かりますが、ショート・大國選手の素晴らしい守備などもあり、逆転を許しません。
振り出しに戻った中盤以降のフーバー投手は、低めにボールを集め始めてギャラクシースターズ打線にヒットすら許さないエンジン全開の投球を披露し、流れをブライトペガサスに持ってきます。
対するギャラクシースターズも、ボールを見極め始められてきたキャスリン投手に代えてカーヤ・パーナビー(Kaia PARNABY)投手にスイッチ。前の打席で鋭いツーベースを放った川畑選手から始まる攻撃を3者凡退で切って取り、同点弾を打たれた小島選手に対しても、緩急とコーナーワークで全く的を絞らせない投球を披露し三振を奪う力投! エースの貫録を見せたカーヤ投手のリズム良い投球に、3塁側SGH応援スタンドからも大きな拍手が沸き起こりました。
最終回に劇的な展開で決着 –終盤
いよいよ最終回、長打力のある両チームの攻撃陣に対して一球の失投も許されないディフェンスとなる緊張感ある試合展開に、寒風吹くスタンドで観戦しているファンは寒さを吹き飛ばす熱い声援で選手たちを後押しします。
試合開始前からライトからレフトに向かい強い風が吹いていた等々力球場ですが、その風はここへ来てより強くなり、更に風向きもホームからセンター方向に変わりました。
ブライトペガサスは、先頭の川村選手が粘って四球で久しぶりに塁を埋めると、続く4番・剱持選手には送りバントの指示を出した中森 菜摘監督。このバントをサードのキャプテン・高橋 まひろ選手が素早く捕って二塁へ送球するも、川村選手の抜群のスタートでセーフ!無死1、2塁という絶好のチャンスとなります。
続く白石選手も送りバントの構えですが、1点も献上したくないギャラクシースターズは攻めの守りを崩さず猛烈なチャージをかけます。これを見かねてバスターに切り替えた打球は、再びサード・高橋選手を襲う激しい打球!
「最初のフィダースチョイスは、“やってしまったな・・・” と(笑)。それでも下を向くこと無く、続けざまに素晴らしいプレーを見せてくれた高橋選手に、日本人選手たちの成長を感じました。」と、ギャラクシースターズ・加藤 愛監督が振り返ったとおり、ミスに臆することなくこの打球をしっかりとキャッチした高橋選手はセカンドに矢のような送球!セカンドの山本 星選手からファーストのポーター選手に渡った送球で今度はダブルプレーを完成!2死3塁と絶体絶命のピンチを土俵際から押し返します。
続く川畑選手との勝負を避け、2死1、3塁として打席には今村選手が入ります。「プレーオフとはいえ特別なことをせず、今までやってきたことをしっかりと出していこうと試合に臨んでいました。」と話す今村選手。「みんなで繋いでくれたチャンス、自分で返すのではなくとにかく繋ごうと打席に入りました。」と平常心で打席に向かいます。1-2と追い込まれてからファールで粘った5球目の高めの速球。「あのコースは自分でも自然にバットが出るんです!」と、得意のコースを叩きつけた打球はセンターを襲う高い飛球! センター・中川選手が追う! 落下点に届いた先にはフェンスが。この打球がフェンスを越えてスリーランホームランとなり、4-1とブライトペガサスが一気3点を奪って勝ち越しました。
最終回、3点を詰めたいギャラクシースターズは、先頭の山科 真里奈選手が死球で出塁しますが、内野ゴロ2つで2死3塁。加藤監督が送り出した打席には代打の切り札・藤原 麻由選手でしたが、セカンドゴロと万事休す。ブライトペガサスが明日のセカンドステージ最後の椅子を勝ち取りました。
走りきった今シーズン-SGH
「試合は負けてしまいましたが、内容的には納得のゲームでした。」と、いつもの素敵な笑顔で話し始めた加藤監督。
キャスリン選手の先発抜擢については、「対戦相手がデンソーさんに決まった瞬間に、何となくは頭で決めていました。実際に本人に伝えたのは1週間前です。速球に加え、ライズ、チェンジアップ、ドロップと多彩な球種を操るキャスリン投手は、相手も的を絞り辛いかと思いました。」と、思惑通りに序盤をしっかりと抑えたキャスリン投手の好投を称えます。
カーヤ投手への継投のタイミングについては、「キャスリン投手が合わされたタイミングで交代は予定どおりでしたが、流れが傾きかけた場面の登板で良く抑えてくれました。」と、今シーズンも大車輪の活躍でチームをプレーオフに導いたエースを労う加藤監督。
昨年に続き、プレーオフ1stラウンドで敗退となってしまいました。昨年最後のミーティングで、“それぞれが足りないものを探して欲しい” と選手たちに伝えていた加藤監督は、今シーズンを振り返り、「今年のプレーオフは、本当に良い状態で入って自信もありました。これで駄目ならと思っていたので、選手たちも全力でやり切ったシーズンだったとみんなで総括しました。」と走りきった充実した今シーズンを振り返ってくれました。