理由や目的を問わず、日常生活を離れてこそ得られる “何か” を求めて「旅をする」。人類共通の行動ですよね。旅の行き先を決め、そこへ向かう手段として使われる鉄道ですが、単なる移動手段としてではなく、“乗ること自体が観光目的” となる “観光列車” という列車があるんです。
新型コロナウイルス感染症が拡大する前までに、日本国内では数々の観光列車が登場しました。多くの日本人はもちろん、海外からの旅行者もそれを目当てに地域を訪れる “観光列車ブーム” だったんですよ。
その観光列車が注目されてきた2014年、四国初の本格的な観光列車として運行が始まったのが “伊予灘ものがたり” なんです。JR四国が運行する “伊予灘ものがたり” は、運行当初から今に至るまで、日本トップクラスの人気を誇っています!
今回は、地元・愛媛県を本拠地とする女子ソフトボールのトップリーグ・JDリーグに所属する “伊予銀行VERTZ(以下、ヴェールズ)” の選手の皆さんと一緒に実際に乗車してその秘密を探ってみたいと思います!
チームの大黒柱・庄司 奈々投手と、攻守の要・辻井 美波選手のふたりが初取材に挑戦した “四国を応援プロジェクト!~道後・西予” 、長打力が魅力の本間 紀帆外野手と、俊足・堅守のムードメーカー 吉金 亜希子選手の “四国を応援プロジェクト!~砥部・宇和島”のレポートも併せて読んでみて下さいね。
4つの旅(ものがたり)がある “伊予灘ものがたり”
早速ですが、皆さんが乗車された “伊予灘ものがたり” について教えて下さい。
庄司:私と辻井選手が乗車したのは、松山駅を8時26分に出発して伊予大洲駅に10時28分に到着する “伊予灘ものがたり大洲編” です。ちょうど朝ご飯の時間帯となる大洲編。事前予約で “朝のひとときを味わう旬彩モーニング(¥3,000)” を堪能しました!
松山駅近くにあるレストラン “ヨーヨーキッチン!” さんが、地元の新鮮な野菜を中心とにした彩り豊かでヘルシーなお料理を出してくれたんですよ。
本間:私たちは、松山駅を午後1時31分に出発して八幡浜駅に3時50分に到着する “伊予灘ものがたり八幡浜編” に乗車しました。”伊予灘ものがたり” で出るお食事には、愛媛県が誇る伝統工芸品・砥部焼のカワイイ食器が使われているって聞いていて楽しみにしていました。そのため、午前中は吉金選手と一緒に “砥部焼陶芸館” さんを訪問して、“とべりて” という作陶家の先生方に、砥部焼の絵付けを教えてもらってから乗車したんですよ。因みに、”とべりて” で活動させている先生方の作品が “伊予灘ものがたり” のお食事で使われているんです。
辻井:和歌山県出身の私は、今まで “伊予灘ものがたり” のことを知らなかったんです。ですから、取材が決まってから “伊予灘ものがたり” に乗ったことのある会社の同僚に教えてもらっていたんです。でも、実際に列車がホームに入ってきたら想像していたより凄く豪華でビックリしてしまいました! 車内に入ると、大きなテーブルやソファがあって、内装もホテルのロビーみたいな空間で・・・ 想像を超えたその姿に好奇心をかき立てられて、車内の隅から隅まで取材してしまいました。
吉金:私も庄司選手と同様に愛媛県の出身なんですが、“伊予灘ものがたり” を目にしたのは初めてでした!とにかく見る物全てが豪華で贅沢で・・・ 事前予約で “門田フレンチ~伊予灘ミニコース~(¥5,500)“ を予約していたのですが、お食事を提供している松山市の ”瀬戸内風仏蘭西料理レストラン門田” さんのような高級フレンチなんて食べたことがないので緊張してしまいました。
“伊予灘ものがたり” のコンセプトはレトロモダン
本間さんと吉金さんは、乗車前に “伊予灘ものがたり” について、関係者の方にインタビューされたんですよね?
吉金:はい。JR四国 伊予灘ものがたり企画室長の窪 仁志さんと、アテンダントの山本 美香さんにお話を聞いてきたんです。「レトロモダンをコンセプトに、伊予灘の絶景を窓から見ながら、愛媛県の伝統工芸をふんだんに使った内装やお料理で、愛媛県の魅力をたっぷりと味わって欲しい。」と聞いて、私の故郷・愛媛県にこんなに凄い観光列車があるんだと誇らしく思いました。2014年の運行開始から、既に14万人以上の方が利用しているんですって!
庄司:砥部焼の食器もそうですけど、内装も特産のみかんをデザインしたカワイイ室内灯だったり・・・ 私の大好きな愛媛県の良いところをこんなに素敵に演出してくれて、県外や海外から来られた多くのお客様に喜んでいただけるのは嬉しい限りです。
本間:今回乗車する “伊予灘ものがたり” は2代目の車両だという話も聞きました。色は前の車両でも好評だった伊予灘の夕焼けをイメージした茜色と、愛媛の柑橘類と太陽をイメージした黄金色なんですけど、少しメタリックな塗装に進化させたので、太陽に照らされてキラキラ光るんですって!松山駅のホームに入ってくる “伊予灘ものがたり” を動画で撮影したんですが、太陽に照らされたとても綺麗な車体を動画に収めることができたので、千葉県に住む両親に送って自慢しちゃいました。
辻井:2代目では新たに、3号車 “陽華の章” が作られたんですよね! “時間” “空間” という意味を持つ “はるか” という言葉に、「大切な人と特別な時間を過ごしてほしい。」という想いを込めて名付けられた3号車は、2名以上から8名まで利用できる貸切個室。シックな色使いの内装とシャンデリア照明などの細部までこだわった空間は、豪華さの中にも落ち着いた雰囲気を作り出していて、私も家族と一緒に “陽華の章” で旅してみたいなぁと思いました。
吉金:あれ? 窪さんから話を聞いていないのに、なんでそんなに詳しいんですか?
辻井:実は私たち、吉金選手たちと同じ1号車 茜(あかね)の章で取材したんですけど、特別に3号車も見せていただいたんです!
本間:え~!いいなぁ~ 私たちは食レポがたくさんあったので、3号車まで探検する時間がありませんでした。そうそう、事前予約制のお食事以外にも車内ではスイーツやオリジナルドリンク、お土産まで買うことが出来るんですよ。どれも美味しくて、車内や車窓の風景をバックにSNS映えする写真がたくさん撮れたんですよ。
季節や時間によって表情を変える車窓と共に、おいしい食事を
1日4便運行する伊予灘ものがたりでは、それぞれでおいしいお食事(事前予約制)が楽しめるようですね。
庄司:さっき少し紹介してしまいましたが、私と辻井選手が乗車した “大洲編” では、“朝のひとときを味わう旬彩モーニング”をいただきました!木目が温もりを感じさせる特性のトレーに乗って、列車のロゴが入ったお弁当箱に入ったサラダなどの冷製料理が出されました。蓋を開けると、地元の新鮮な野菜やみかんが入った色鮮やかなお料理に、つい笑顔が溢れてしまいます。
辻井:ポタージュやグリル野菜は、砥部焼のカワイイ器にそれぞれ盛り付けられていて、朝食と言うには豪華すぎるメニューです。実は、前日に宿泊取材した “道後やや” さんの朝食が凄く充実していて、そちらでもお腹いっぱい食べてきたんですけど、旬彩モーニングも凄く美味しくて完食してしまいました。ホテルの紹介は、四国を応援プロジェクト!の記事を読んで下さいね。
本間:吉金選手と一緒に乗車した “八幡浜編” では、“門田フレンチ~伊予灘ミニコース~ (¥5,500)” をいただきました。スープから始まり、冷製料理、温製料理と続く本格的なフレンチをゆっくりと味わいながら車窓を流れる伊予灘の海や島々、通り過ぎる船を見ていると、本当に優雅な時間を過ごしているんだなぁって感じます。
吉金:“とべりて” の先生方が作られた砥部焼の素敵な食器に綺麗に盛り付けたれたお料理。本間選手と一緒にメニューを確認しながら味わっていきます。午前中に砥部焼絵付け体験を優しく教えてくれた “とべりて” の先生方の笑顔を思い出しながら、「あ!このお皿は山田先生の作品ですか?」「このカップは、白石先生ですね?」って、アテンダントの方に確認していくのも楽しい時間でした。食器はアテンダントの皆さんが当日のお客様の雰囲気にピッタリ合った作品をコーディネートして盛り付けてくれるんですよ!本間選手と見比べては、お互いに「っぽいよね!」って(笑)。
充実した車内のメニュー! スイーツ、ドリンク、お土産などなど
“伊予灘ものがたり” の充実した車内メニューも確りと取材されたとか?
本間:はい!先ずはなんと言ってもスイーツを紹介しないと。愛媛県のお土産としても有名な和洋菓子も充実していますが、私のオススメはケーキです。“らぶかんフランボワーズ” と “苺ショコラのチーズケーキ” (各600円)をいただいたんですが、どちらもほんのり甘くて美味しかった~。ハートの形をしたクリアな容器がカワイイ!レアチーズケーキの甘さとフランボアーズソースの酸味の相性がとても良くって、レアチーズケーキの中に隠されたみかんとチョコが味に変化を付けてくれます。窓際に置いて伊予灘の海をバックに撮った写真はお気に入りの一枚です。
辻井:“苺ショコラのチーズケーキ” も程よい甘さが最高でした!苺を支えるクリーム、実は白あんなんですよ!白あんの滑らかな舌触りが、ベイクドチーズケーキ外側のカリカリ食感をより楽しませてくれるんです。
吉金:ドリンクの紹介も忘れてはいけませんよ。私はオリジナルソフトドリンクの “懐かしのくりーむそーだ なみあや×ブルーキュラソウ(800円)” を注文したのですが、グラスに入ったクリアブルーのソーダが、伊予灘の海にとっても良く映えます。これ絶対にSNS映えするメニューですから、直ぐに飲まずに車窓や車内と一緒にたくさん写真を撮りましょう!そうそう、“地酒飲み比べセット(1,200円)” などのアルコールメニューも充実していますから、お好きな方は飲み過ぎないように気をつけて下さいね。
庄司:取材とは言え、とっても楽しい「四国を応援プロジェクト!」なので、チームメイトにお土産を買っていかないと申し訳ないなぁ・・・ でも、みんな愛媛県在住なので、地元の特産品はなぁ・・・と思っていたら、いい物見つけました! “伊予灘ものがたりクッキー(600円)” です。私たちが乗車した1号車 茜(あかね)の章がプリントされたクッキーならば、私たちが “伊予灘ものがたり” に乗車した証明にもなりますし、ちょっと大きめなクッキーならば、甘い物に目がないチームのみんなも喜んでくれるはずです!
本間:私たちが乗った時には売り切れていましたね。やはり人気のお土産は早めにゲットするに限りますね。吉金選手と一緒に、形に残る思い出として “キーホルダー(1,200円)” を自分買いです。シンプルなデザインですがゴールドの煌びやかさがカッコイイです。寮や自動車のカギを付けるのにも良いかなって。実用性のお土産として皆さんにもオススメします。
“伊予灘ものがたり” が高い人気を誇り続ける一番の秘密は?
皆さん隅から隅まで取材していただいたようですね。それでは。最後に「何故、これほど “伊予灘ものがたり” は人気があるのか?」という核心に触れていただきましょう。
本間:2時間半あった列車旅もあっという間に終わってしまいました。全てのおもてなしがとても素晴らしくて、それが人気の秘密なんだとは思いますが・・・ その中でも一番と言えばやっぱり “地域の方々の温かさに触れたこと” ですね。沿線に住んでいる皆さん、アテンダントの皆さん、JR四国の社員の皆さん、様々な方々からいただいた “お手振り” や “笑顔” のおもてなしは、本当に温かくて心に残る思い出となりました。
庄司:窓から見える愛媛県が誇る素晴らしい伊予灘の絶景も、人気の秘密のひとつであることは間違いありませんが、松山駅でJR四国の社員の皆さんが、横断幕を持って “お手振り” の見送りをしてくれた感動に始まり、次々にアナウンスされる「窓の外をご覧下さい。」と案内していただく度に、沿線の皆さんが手を振って歓迎してくれている姿。そんな皆さんの温かさに涙が出そうなくらいの感動を覚えました。「愛媛県の人たちって本当に素敵な人たちなんだなぁ。愛媛県の誇りである伊予灘ものがたりに乗りに来た人たちを心から歓迎しているんだなぁ。」って。
吉金:野球の練習をしていた子どもたちが、練習の手を止めて手を振ってくれてたり、下灘駅に集まってくれた地域の皆さんが、手作りのパネルや旗を貸してくれて記念写真を演出してくれたりして・・・ 五郎駅では、たぬきに扮した小さなお子さんや、地域の皆さんが本当にたくさんホームに出てきて手を振ってくれていて。五郎駅は、皆さんの笑顔で手を振る姿が窓越しに凄く近くて見えるんです。その笑顔を見たら更にジーンと来てしまって・・・ “お手振り” をされる度に涙が出そうになりました。私も、試合を観に来てくれた皆さんにこんなに感動していただけているのかなぁ。こんなに感動していただけるようになりたいなぁって思いながら一生懸命に手を振り返していました。
辻井:私は、前に下灘駅に行ったことがあって、その時はチームメイトと車で行ったんですけど、その時は ”千と千尋の神隠し” を始め、映画やドラマのロケ地になっているSNS映えする素敵な駅だなって思っていたんです。今回は、”伊予灘ものがたり” に乗って下灘駅に行きましたが、その到着を心から歓迎されている地域の方々の笑顔に出会うことが出来て、素敵な観光地は景色だけじゃ無いんだなって思いました。今度は私たちがソフトボールで良い結果を残して、皆さんに喜んでいただきたいなと強く思いました。
庄司:この「四国を応援プロジェクト!」は、いつもヴェールズを応援していただいている観光事業に携わる地域の皆さんを、私たちが応援して恩返しすることが目的だったのですが、逆に私たちが力をもらうような取材になってしまいました。しかし、この企画で愛媛県の多くの素晴らしさを学びましたし、素敵な皆さんがそれを支えていることも知りました。これからも、スポーツと観光というそれぞれの長所を融合させて、地域が元気になるように頑張っていきたいと思います。
2023シーズンを前に、伊予銀行ヴェールズの庄司 奈々選手と辻井 美波選手、本間 紀帆選手と吉金 亜希子選手が、地域を応援する愛媛県の観光地紹介レポートをしてくれました。
それぞれの選手が体験を記した素敵なレポートも読んで下さいね。
伊予銀行ヴェールズが所属する、JDリーグは4月15日(土)から開幕!6月17日(土)、18日(日)には、愛媛県西予市の宇和球場で公式戦も行われます。
地域のため、ファンのために全力で戦うヴェールズの皆さんと、愛媛県の皆さんが更に深い絆で結ばれ、宇和球場が満員になることを願っています。
伊予銀行ヴェールズの応援で愛媛県にお越しの際は、もう一泊してヴェールズの皆さんが体験した素敵な旅(ものがたり)を追体験してみて下さいね。