相当な準備をして会議を迎える直前の各国代表団の皆さん。いよいよ始まる開会式を前に、とても緊張した様子が覗えます。昨日、京都文化視察で密着取材をしたアメリカのカリフォルニア・ステート・ユニバーシティ, サンバーナーディーノ校(California State University, San Bernardino)から参加した7人の学生も緊張の面持ち。
国連総会のセッションにインド、ジャマイカの代表として参加するAngeli Richards(アンジェリー・リチャーズ)は、「会議を前にとても緊張しています。昨晩も最終確認をするまで準備は万全にしているのですが、やはり始まるまでは落ち着きません。」と昨日、抹茶ソフトクリームを食べながら話してくれた様子とは違い、笑顔から緊張感が伝わります。
そういった会場の雰囲気になることを予め予想していたのか、代表団の緊張を和らげる演出で開会式が始まりました。居合道パフォーマンスです!
闇から現れたのは、着物姿のパフォーマーたち。日本の伝統的な楽器で奏でられるポップな音楽に合わせ、居合いの殺陣や鮮やかな振り袖を着た創作ダンスが場内を盛り上げます。パフォーマンス終了後には大きな拍手と歓声、指笛が鳴り響き、代表団の皆さんもそれぞれ隣を見合って興奮した様子が見受けられます。緊張が解けたようで、本当に良かった。。。
ビデオメッセージで登壇した、国連のアントニオ・グテーレス事務総長。深刻化する貧困と拡大する不平等、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの不公平な分配、不十分な気候コミットメント、継続する紛争や分断、誤情報などの様々な課題克服のために日々奔走されているグテーレス事務総長は、「若者たちの積極性・主体性が国連の希望。」と、代表団の皆さんを称えました。
また、世界的に注目されているウクライナから出席されたウクライナカトリック大のプロツィク教授は、ウクライナの現状、どれほどの犠牲があったかについて話すと共に、「この大会が未来をつくる若者を中心に “平和” について改めて考える機会になることは極めて重要だ」とスピーチ。
プロツィク教授のスピーチ後には、全ての代表団がスタンディングオベーションでメッセージに応える様子は、胸が熱くなるシーンとなりました。
主催者を代表した神戸市外国語大学の田中悟学長も、「神戸の地で本大会を開催できることを大変光栄に感じている。2年の延期を経て、コロナ禍後米国外で初の対面での開催であることを感慨深く思う。」と、開催までの苦難を乗り越えた神戸市外国語大学の学生たちと今日集まった全ての国の代表団の皆さんに敬意を表したスピーチ。会場の心をひとつにする素晴らしいメッセージとなりました。
閉会後、核兵器の不拡散に関する条約再検討会議にジャマイカ代表として参加するAlexander Edsel(アレキサンダー・エドセル)は、「セレモニーはとても感動的で、心に残るものだった。これから始まるセッションに向けては、今まで多くの時間を掛けて準備してきたものをしっかりと表現できるように頑張ります。」と、凜とした顔つきで話してくれました。
セッションで堂々と渡り合う代表団の皆さん
今回のNMUNでは、国連総会、安全保障理事会、経済社会理事会、核兵器の不拡散に関する条約再検討会議の4つの議場に分かれて、それぞれ事前に設定されたふたつの議題のうちのひとつについて議論がなされます。
午後からの開催となった初日は、皆さん緊張した面持ちでパソコンや資料を抱えて各議場に分かれていきました。議長、議長補佐の進行で会議は進み、どの議場も最初はスライドによる説明や各国の代表団が意見を述べる時間となり、静かに時間が過ぎていきました。
そして、休憩時間を挟むと会場の熱気が一気に高まります!他国と自由に交渉・議論をするインフォーマルセッションが始まったようです。
各国の大使は似た意見を持つ国や協調できる国を探し、グループを作ります。そのグループで、議題に対する決議案の文書を作っていくのですが、先ずは組むべくグループを探していく段階のようです。各国代表団が入れ替わり、会場はもちろん会議室を出たロビーまで人が溢れ、テーブルを囲んだり椅子を円形にしたり、地べたに車座に座って議論するグループもいます!
目を輝かせた高校生たちが見学
本大会では、NMUNに興味のある高校生たちが大会を見学できるツアーも設定されています。全国からやってきた高校生と引率の先生が、10数名のグループに分かれて議場を見学して回ります。
その中で、真剣な眼差しで会議の様子を見守る高校生ふたりにお話を伺うことが出来ました。地元・神戸市立六甲アイランド高等学校 国際人文系2年次生の船引 咲良(さくら)さんと、人文社会系1年次生の山中 佳音(かのん)さんです。
六甲アイランド高校は、今年で開校25年を迎える全日制普通科単位制高校。生徒の皆さんが進路に必要な科目を履修できる単位制という教育システムがとても魅力的です。1年次には基本的に全員同じ教科・科目を学習しますが、2年次より希望進路にあわせ、コースを選択していくとのこと。
国際人文系・人文社会系は、日本と外国の言語や文化に対する関心を深めて、国際社会の中で日本の文化を発信できる人間の育成を目指したコースなんです。
ESSに所属し、オスマン帝国時代のトルコの歴史に魅了され英語で書かれたほとんどの資料を読み込むために英語の勉強に力を入れているという船引さんは、「英語しか聞こえない会場の雰囲気に驚きました。」と、衝撃を受けた感想を話してくれました。「神戸市外国語大学の皆さんが、その環境の中で堂々と英語で議論を繰り広げる姿に、とても感動しました。」と先輩たちへの憧れも口にします。
子どもの頃から英語の勉強をしてきて、お母様が好きな中南米の遺跡を案内しながら一緒に巡るのが夢という山中さんも、「普段、高校の授業で会話している英語力では全く歯が立たない。もっと勉強しなければと思いました。」と数年後に会議に参加していることを想像するかのように話してくれました。
神戸市外国語大学への進学を希望しているふたり。先輩たちの活躍する様子を見て、その決意は更に高まったという話に、引率の田島 和人教諭も目を細めます。未来を担う素敵なおふたりの笑顔がとても印象的でした。
大会を仕切るのも大学生
セッションが始まり、大会が活気を帯びてきた中にもかかわらず、NMUN神戸大会事務総長であるヒキタ・キーシャ・ロレーヌ・サントーヨさんが独占インタビューに応じてくれました。