アメリカの4大スポーツのひとつ “アメリカンフットボール”。
最高峰プロリーグのNFL(National Football League)は、全米で最も興行収入の高いプロスポーツと言われ、その優勝決定戦のスーパーボウル(Super Bowl)において「観戦チケットが4,500ドルから!」とか、「テレビCMの広告枠が30秒で約7億円!」といったニュースが日本でも報じられるほどです。
また、アメリカではプロリーグはもちろん、高校や大学でもその人気は絶大!特にアメリカの大学が参加して行われる “カレッジフットボール(College football)” は、NFLと同じくテレビなどで放映される程の人気なんです。
フットボール人気(アメリカでは、アメリカンフットボールではなくフットボールと言う)の象徴とも言えるカレッジフットボールは、アメリカ国内ではMLBやNBAと並ぶ人気を誇ります。4大プロスポーツリーグのチームがない州や都市では、スポーツ=カレッジフットボールといっても良いくらいに熱狂するスポーツです。
各大学のキャンパスには、観客席付きの立派な専用スタジアムがあり、試合のたびに多くの観客が詰めかけてスポーツ観戦を楽しんでいます。正に地域に根付いたビッグなスポーツイベントですね。
そのカレッジフットボールでも歴史と人気のあるアイビーリーグ(Ivy League)のオールスターチームが来日しました!
来る、2023年1月22日に、日本の社会人アメリカンフットボール・Xリーグが選抜チームを編成し、米国のアイビーリーグ選抜チームと対戦する「Japan U.S. DREAM BOWL 2023」に参加するため、51名の選手(とスタッフ)が来日したのです!
Journal-ONEは、アイビーリーグ選抜に密着取材!
試合はもちろん、選手やスタッフの皆さんの素顔や、日本の歴史文化、最先端技術の体験や、学生との国際交流を通して、アメリカンフットボールが繋ぐ日米の絆を紹介していこうと思います。
早速、初日の練習を取材するために神奈川県川崎市の富士通FRONTIERS Fieldにやって来ました。急に寒さが増して小雨も降る中、前日の夜遅くに羽田空港に到着した選手たちのコンディションが心配です。
身を震わせながら選手たちを待っていると・・・ 早速やって来たのは、今回最多の選手を選抜したコロンビア大学(Columbia University)のキッカー(K)・アレックス・フェルキンス(Alex Felkins)選手と、ロングスナッパー(LS)のパーカー・レフトン(Parker Lefton)選手です。
着替える前に先ずはフィールドのコンディションを確認しに来た2人。芝の具合や練習器具の確認をしているようです。「移動の疲れはないですよ。」「日本に来ることができて本当にワクワクしています。」と笑顔で撮影に応じてくれました。
徐々に選手が集まり始めました。今回の選抜チームを率いるアル・バグノーリ(Al Bagnoli)ヘッドコーチにご挨拶です。
「日米の多くの関係者の皆さんのご尽力で、日本でプレーできる素晴らしい機会をいただいたことに先ずは感謝したい。」とバグノーリHC。「私を含めた約50名の学生選手たちと、約20名のスタッフは本当に良い経験をさせてもらえる。昨夜遅くに日本に到着して翌朝の練習だから、選手たちのコンディションが心配ですが・・・ 日本の文化や歴史に触れ、日本人の皆さんと交流することも重要なミッション。この取り組みが続いていくよう、良い成果を残せるように頑張ります。」と、本当に日本でプレーすることを喜んでいました。
「来日は・・・たしか2006年以来だったかな? 久しぶりの日本を楽しみたいですね。」とバグノーリHCはロングフライトの疲れも見せず、笑顔で話してくれました。
選手たちが集まり、全員でストレッチを行った後は、ポジションに分かれての練習に入ります。数カ所に分かれてそれぞれに練習する様子は、1月3日に行われたアメリカンフットボールの日本一を決定する選手権試合「ライスボウル」でも紹介しましたが、他のスポーツではなかなか見ることのできない光景です。
「それが、アメリカンフットボールの魅力のひとつでもあるんですよ。」と教えてくれたのは、高本 史章さん。高本さんは、Japan U.S. DREAM BOWL 2023を主催する一般社団法人 日本社会人アメリカンフットボール協会の副部長です。「フィジカルの全てが優れていないと活躍できないスポーツとは異なり、走るのが得意、投げるのが得意、蹴るのが得意など、専門的なプレーを集結させてチームを勝利に導いていくというスポーツなんですよ。」
なるほど!自分の得意な部分を活かして、誰もが参加できるスポーツであるアメリカンフットボール。多様性のある競技特長が、全米屈指の人気スポーツである理由なのかもしれませんね。
アメリカ北東部にある名門の私立大学8校から選抜されたIvy League All-Star Team。カレッジフットボールNCAA Division IのFCS(フットボール・チャンピオンシップ・サブディビジョン)に所属するアイビー・リーグは、NFLで活躍する選手や歴代大統領などの著名人を多数輩出している超名門校ばかり!
皆さん本当に礼儀正しく、笑顔の素敵なナイスガイです。給水タイムには、笑顔でインタビューにも応じてくれます。ワイドレシーバー(WR)のジェリー・テイラー(Jerry Taylor)コーチも練習の合間に、「日本に来る機会をもらえて本当に嬉しいです。今日は軽めの調整で様子を見て、徐々にコンディションを整えていきます。」と笑顔で話します。選手の皆さんも、笑顔で違う大学同士のコミュニケーションを高めています。
先ず皆さんが訪れたのは、高徳院(詳名: 大異山高徳院清浄泉寺)です。法然上人を開祖とする浄土宗の仏教寺院は、本尊の国宝・銅造阿弥陀如来坐像 “鎌倉大仏” が訪日外国人に人気の観光名所です。
最初に話を聞いたのは、クオーターバック(QB)のライアン・グローバー(Ryan Glove)選手です。ドナルド・トランプ第45代アメリカ合衆国大統領の母校・ペンシルベニア大学 (The University of Pennsylvania)のライアンは、「日本に来ることを本当に楽しみにしていました。」と嬉しそうに話します。「まだ来日して1日しか経っていないけど、日本は安全で清潔な国ですね。鎌倉を始め、色々な体験をして日本をもっと知りたいですね。」と到着して直ぐに缶コーラを買っています。
遠くから大きな大仏をじっと見つめていたのは、ディフェンシブバック(DB)のジェイレン・グランベリー(Jaylan Granberry)選手です。ジェイレンは、日本でも有名なイェール大学 (Yale University)からの選抜。多くのアカデミー賞受賞者や、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ大統領の母校でも知られる学校ですね。
「日本の歴史と文化に興味があったので、ここに来ることが出来て本当に嬉しい。」と熱心に撮影アングルを探しながら話してくれました。
ユニフームを着ていないと、アスリートとは思えないほど物静かな好青年のジェイレン。国立競技場での彼の俊敏なプレーを観るのが楽しみですね。
続いては、大仏の前で記念撮影するブラウン大学 (Brown University)の5人組です!
左からカムデン・ガニオン(Camden Gagnon)選手、ハンター・フォルソム(Hunter Folsom)選手、チャド・ブルームウェブスター(Chad Broome-Webster)選手、アレン・スミス(Allen Smith)選手、チャールズ・ダラッペ(Charles Dallape)選手です。
皆さん本当に仲が良いですね!全員が初来日の皆さん、大仏はもちろん、様々な建築物や庭を興味深くじっと見つめてはその風景をスマホに収めています。来日前から彼らのInstagramアカウントをフォローしていた私たちのJournal-ONEを紹介すると、「僕、観ていたよ。このメディア。」とハンターがチームメイトに紹介してくれました。
回廊にはめ込まれた英字のパネルを熱心に読んでいる選手がいます。プリンストン大学 (Princeton University)から選出された、DBのCJ・ウォール(CJ Wall)選手です。
CJも「日本の歴史や文化はアメリカとは全く違うので、とても興味深いです。」と、初来日の見聞を広めようと、少ない英語の案内を見つけて熱心に読み込んでいました。一緒に記念撮影したCJの笑顔!とても素敵ですね。
続いては、同じ神奈川県鎌倉市にある鶴岡八幡宮にやって来ました。日本では昨年、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で人気が再燃した鎌倉を代表する観光名所です。
11世紀後半に創建されたという歴史、小高い丘の上から見下ろす鎌倉の町並み。朱塗りで彩られた建物や鳥居に、選手たちはシャッターを切りまくっています。
ひとり静かに祈りを捧げる選手がいます。
イェール大学 (Yale University)から選抜された、ワイドレシーバー(WR)のノア・アーロン(Noah Aaron)選手です。「日本の歴史や文化に興味があったのですが、とりわけ宗教に興味を持っています。売店で、神道について書かれた英語の書籍を買いました。」とノア。
お父さんが牧師のノアは、幼い頃から宗教学に興味があったそうですが。「大学では宗教学のカリキュラムが今ひとつハマらなかったので、専攻しませんでした。」と経済学を専攻しているのこと。卒業後はニューヨーク・マンハッタンのウォール街(Wall Street)で働くことになっているというノア。
神道の参拝の作法 “二礼(Bow twice deeply)・二拍手(Clap your hands twice)・一礼(And bow once more deeply)”を一緒に行い、とても満足そうなノアでした。
境内から出た後は、つかの間の買い物タイム! 皆さん少人数で散策を楽しんでいる様子です。
赤い大きな鳥居をひとりで見ていた選手に話を聞きます。「日本の文化は本当に興味深いものばかりです。」と話すのは、コーネル大学 (Cornell University)から選出された、DBのイザヤ・ホーガン(Isaiah Hogan)選手です。
続いては、食べ歩きのコロッケを買い求めていた大きな2人の選手。プリンストン大学 (Princeton University)のラインバッカー(LB)のアイザック・ホール(Isaac Hall)選手とディフェンシブライン(DL)のマイケル・アゼベド(Michael Azevedo)選手です。
アイクのInstagramアカウントは、幼き日のアイクが人気アニメ “NARUTO” の鉢巻きを巻いたプロフィール写真なんです。子どもの頃から日本が好きだったのかなと思って聞いたところ、「見てくれた? 子どもの頃から日本のアニメが好きなんです。今のお気に入りは、”ONE PIECE” や “COWBOY BEBOP” かな。」とアイクが嬉しそうに話すと、「僕も、”Attack on Titan”(進撃の巨人)が好きなんだ。」とマイケルも笑顔で加わります。
やはり、日本のアニメという話題で世界中の人と盛り上がれることは、本当に嬉しいですね。
集合時間5分前・・・ おや?まだ店内で行儀良く静かにコロッケを待っている選手がいます。
同じ、プリンストン大学 (Princeton University)から選出されたパンター(P)のウィル・パワーズ(Will Powers)選手と、ジェームズ・スタッグ(James Stagg)選手です。「日本の産業を学ぶメニューのリニアモーターカー(Superconducting Maglev)の試乗が一番楽しみ!」と話すジェームズに、ウィルも賛同します。
揚げたてのコロッケを待つ間、ウィルとスタッグにも日本の皆さんにメッセージを書いていただきました。こちらも、Journal-ONEのInstagram人気企画「Powerful message from Athletes」で紹介していますので見てくださいね!
長旅の疲れも見せず、来日初日を終えたアイビーリーグのオールスターチームの皆さん。この後も、びっしりと詰まったスケジュールをこなしながらコンディションを整えて試合に備えていきます。
2023年1月22日に、日本選抜チームが米国の学生選抜チームと対戦する「Japan U.S. DREAM BOWL 2023」は、東京2020で新しくなった東京・代々木の国立競技場を舞台に、日本で9年ぶりとなるアメリカンフットボールの国際試合です。
今回、素顔を紹介したアイビーリーグのオールスターチームと、ラグビー日本代表のように、日本でプレーする外国人選手も招集した最強のJapan All-Star Teamが対決する夢の試合を是非、皆さん観戦に行きませんか?
この後も、アイビーリーグのオールスターチームの活動をレポートしていきますので、お気に入りの選手を見つけて、日米両国の選手たちを応援して下さいね。