世界最高峰のリーグが開幕!
北京オリンピック、東京オリンピックで金メダルを獲得した女子ソフトボール。
その最高峰である “Japan Diamond Softball League(以下、JDリーグ)” が、2年目となるシーズン開幕を迎えました!
日本の金メダリストはもちろん、アメリカ、オーストラリア、メキシコ、イタリアといった強豪国の代表選手も多く所属するJDリーグは、世界トップレベルのスピーディーでパワフルなプレーを見せてくれるリーグです。
また、プレー同様にトップレベルなのが、明るく元気な選手たちの “笑顔” 。選手たちが笑顔いっぱいに一生懸命プレーする姿や、ファンと交流をする姿は観ている人たちを幸せにしてくれます。
そんなJDリーグがいよいよ4月15日(土)から開幕!群馬県高崎市、愛知県安城市、福岡県北九州市、兵庫県尼崎市の4会場で全16チームが一斉に対戦する予定でしたが、全国的な雨に見舞われほとんどの試合が順延となりました。
前日までの天気が嘘のような快晴の中、4月16日(日)では仕切り直しで尼崎ラウンドが開幕。Journal-ONEは開幕戦に臨んだ4チームをレポートします。
SGホールディングス vs 伊予銀行
第1試合は、昨シーズン西地区3位のSGホールディングス ギャラクシースターズ(以下、SGH)と同地区5位の伊予銀行ヴェールズ(以下、伊予銀行)の対戦です。
昨年、プレーオフで惜しくもホンダ リヴェルタに敗れたSGH。東京オリンピック・オーストラリア代表で主力選手として活躍したStacey Porter(ステーシー・ポーター)選手、Kaia Parnaby(カーヤ・パーナビー)投手、イタリア代表のErika Piancastelli(エリカ・ピアンカステリ)選手、Greta Cecchetti(グレータ・チェッケッティ)投手と外国人スター選手を中心に、爆発的な打撃力が特徴のチームです。
「オフシーズンは打撃力の向上はもちろん、走塁や守備など全体的にレベルアップが図れました。チーム全体の底上げとして日本人選手たちがとても成長したと思います。」と試合前に加藤 愛監督が手応えを教えてくれました。
試合中は選手と一緒に大きな声を出してチームを鼓舞する元気な加藤監督ですが、やはり開幕戦は特別な雰囲気があるそうで、「やはり開幕戦は緊張しますね。どういった展開になるかもやってみないと分からないので・・・ 外国人選手の来日が直前になってしまったこともあるので、試合の入り方に気をつけたいです。」と調整する選手たちを見ながら話してくれました。
対する伊予銀行は昨年同地区5位。男子ソフトボール界で世界を知る石村 寛監督を迎え、巻き返しを図ります。
「いよいよ始まるといった感じですね。」と、昨日の雨天順延で仕切り直しとなった初陣を前に静かに闘志を燃やす石村監督のスペシャルインタビューで詳しく紹介しています。併せて読んでくださいね!
試合は、伊予銀行のエース・庄司 奈々投手、SGHはイタリア代表のエースでもあるグレータ・チェッケッティ投手が先発。1点を争う好ゲームが期待されます。
先攻のSGHは今年、日本代表でも活躍する中川 彩音選手の補強に成功し、強力打線に厚みが増しています。その中川選手が早くも初回に先頭でヒットを放ってチャンスを作りますが、「攻めの配球を心がけた。」と伊予銀行の新キャプテン・安川 裕美捕手のリードに庄司投手が応えて無失点で切り抜けます。
一方の伊予銀行も、昨シーズン盗塁王に輝いた松瀬 清夏選手が先頭打者でヒットを打ってすかさず盗塁と、持ち味の機動力でチャンスを掴みますが、グレータ投手の力投でこれまた無失点。お互いの特長を開幕戦から存分に発揮した手に汗握る攻防で始まりました。
2回裏、伊予銀行は本間 紀帆選手のヒットから1死2・3塁のチャンスを作ると、打席には伊予銀行の元気印・吉金 亜希子選手!
追い込まれながらも粘る吉金選手に出たサインはヒットエンドラン。厳しいコースに対応したものの惜しくもファールとなり、先制点とはなりませんでした。(ソフトボールでは、バントの構えでなくてもスリーバントスクイズと見なされ、三振となることもあるようです。)
試合後に「初めての開幕スタメンで、何としてもやってやると思っていたのですが・・・」と悔しい表情で話してくれた吉金選手ですが、シーズンは始まったばかり!翌日には2打点の活躍を見せてくれた吉金選手の活躍に期待です。
続く3回に、SGHの強力打線が本領を発揮します。
先ずは今シーズンの補強の目玉と紹介した、1番の中川 彩音選手が、高い飛球ながらも逆風を突いたツーランホームランを放って2点を先制すると、更に走者を一人置いたチャンスで、ポーター選手が変化球を豪快にレフトスタンドへたたき込んで4点を先制します。
試合前、「準備は万全!オープニングゲームにとても興奮しています。」と笑顔で話していたポーター選手。「打ったのはスライダーかな? とても良いスイングが出来て良かったです。」と幸先の良い開幕戦での1号ホームランを振り返ってくれました。
直ぐに反撃したい伊予銀行は3回裏、先頭のルーキー・齋藤 明日加選手が嬉しい初ヒットで出塁してすかさず盗塁!石村監督がウリにしている “新しい攻撃パターン” である機動力を使ってチャンスを広げると、西地区ベストナインに輝いた川口 茉菜選手のタイムリーヒットで1点を返して試合の流れを渡しません。
その後、伊予銀行・庄司投手は徐々に調子を上げ、守備陣もそれに応えるディフェンスを見せます。SGHも好投のグレータ投手を6回から引き継いだ新井 真奈投手が確り抑え、4-1でSGHが逃げ切って開幕戦を勝利で飾りました。
「今日の試合に向け、金曜日から気持ちは最高潮でした。」と試合前に意気込みを語っていたグレータ投手は、チームの開幕戦勝利にとても嬉しそうな表情。
「まだまだ先は長いですが、先ずは開幕戦を勝てて本当に良かった。持ち前の長打力を活かしただけでなく、後を継いだ新井投手がきっちり抑えてくれたことも収穫でした。」と素敵な笑顔で試合を振り返る加藤監督。
「開幕戦という特別な緊張感がある中、インコースを確り突く投球は出来たんですけど・・・ あそこ(ホームランを浴びた2球は)に投げるんだったら、もっと覚悟を持って放らないといけないなぁと改めて思いました。」と次回に向けての課題を話す庄司投手。
石村監督も、「序盤の良い流れを活かすことが出来ず、惜しい試合となりました。目指すチームとしての戦い方は出来たと思いますが、今日見つかった課題も幾つかありますので、帰って選手たちと修正して明日の勝利に繋げます。」と長いシーズンを見据えた今日の収穫を話してくれました。
シオノギ vs 東海理化
オフシーズンに取り組んだチーム強化がお互いに功を奏し、接戦を展開した第1試合に続き、第2試合は地元の大声援を受けて登場したシオノギ レインボーストークス(以下、シオノギ)と東海理化チェリーブロッサムズ(以下、東海理化)の対戦です。
シオノギを率いるのは、昨年まで男子ソフトボール界のレジェンドとして活躍した松田 光監督。野球・MLBの大谷 翔平選手と同じく、”リアル二刀流” として2019年にチェコで行われた世界選手権では、投手で4勝(防御率0.46)、打者で打率.546、13打点と活躍し、その年の世界野球ソフトボール連盟 (WBSC)の年間最優秀選手にも選出されたソフトボール界のスーパースターなんです!
「開幕戦、めちゃくちゃ緊張しています。選手として世界大会でプレーしている方が全然気が楽ですよ。」と試合前にコメントをしてくれた松田監督。
「女子ソフトボールのことはシーズンオフから日々勉強です。幸い、チームのメンバーがほとんど残ってくれていたので、チームの雰囲気作りなんかは本当に選手たちに助けてもらいました。岡村 昌子シニアアドバイザー(前監督)にもアドバイスをいただきながら良い状態に仕上がってきています。」とチーム一丸となった開幕戦勝利に向けての意気込みを話してくれました。
対する東海理化は、昨年に引き続きトヨタ自動車を強豪チームに育て上げた中西 あかね監督が率いて、昨シーズン8位のリベンジに燃えています。
「新たな選手も加わって走攻守全てにレベルアップを図ることが出来たシーズンオフでした。」と開幕に向けての余念の無い準備について話す中西監督ですが、「選手やチームのレベルが上がっているのは他のチームも同じ。決して過信することなく1試合1試合粘り強い戦いが出来るようにしたい。」と、チーム躍進へのポイントを教えてくれました。
試合は、シオノギ・千葉 咲実投手、東海理化はルーキーの田畑 七海投手が “開幕投手” という重責を担います。
先ずは初回、藤木 未来選手の長打でチャンスを作った東海理化が、1死満塁と千葉投手の立ち上がりを攻め、貝沼 晴香選手のタイムリーヒットで先制します。
一方のシオノギもその裏、1死1・2塁のチャンスに氏丸 陽南選手の逆転スリーランが飛び出し流れを引き戻します。「田畑投手は大学(金沢学院大)の後輩なので、絶対に負けられないと思って打席に立った。」と言う氏丸選手の “技あり” 弾丸ライナーのホームランに、地元応援団からもどよめきが起こりました。
序盤の攻防は更にヒートアップ!東海理化が直ぐに反撃に転じます。
再び1死満塁と千葉投手を攻め立て、この試合初めてマウンドに松田監督が激励に向かいますが、初回にツーベースを放った藤木選手が大きな犠牲フライ打ち、1点差に迫ります!
マウンドで、ベンチで、何度も胸に手を当てて集中力を高めていた千葉投手が試合後に「開幕戦はとっても緊張しました。」と語ってくれた通り、序盤から激しい主導権争いとなった試合は開幕戦という雰囲気も重なり精神的に非常に厳しい展開。
地域の絆が選手たちの力になる!
そんな千葉投手やシオノギの選手たちの後押しとなったのが、スタンドに詰めかけた高校生のブラスバンド演奏でした!地元・尼崎市立尼崎高校の吹奏楽部は、沖縄県代表の甲子園出場高校を友情応援することでも知られています。
「この春も沖縄尚学高校を応援した生徒たちも来ています。」と教えてきたのは、引率の岩山 悦志先生。兵庫県吹奏楽連盟の副理事長も務める岩山先生は、「今回、ご縁があってソフトボールの応援をさせて頂くことになりました。ソフトボールの試合を観るのは初めて。生徒ともども選手たちの力になれるように一生懸命応援します。」と甲子園のアルプススタンドで披露している本格的な応援演奏でシオノギを鼓舞します。
また、このシリーズで始球式を務めたプロ野球・元東京ヤクルトスワローズの坂口智隆氏もシオノギを後押しします。
坂口氏はシーズンオフにシオノギの練習に参加。この日も昨シーズンまでプレーしたヤクルトのユニフォームがシオノギベンチに飾られるなど、地元・兵庫県での交流を重ねています。
「すっかりソフトボールの魅力にハマってしまいました。西地区の応援団長に勝手に就任します!」と、シオノギを始めとする女子ソフトボールの盛り上げていく宣言を行い、観客からの大きな声援を受けていました。
この声援を背に受け、千葉投手は3回以降本来の投球を取り戻し、東海理化打線を封じていきます。打線も4回、1死2・3塁のチャンスに戸村 美紅選手のタイムリーヒットなどで2点を追加して千葉投手を援護。5回を投げきった千葉投手が、開幕戦初勝利を松田監督にプレゼントしました。
「地元の力強い声援をいただき、何とか勝つことが出来て嬉しいです。」と千葉投手がコメントすれば、松田監督も「無事に開幕戦で勝ててホッとしています。」と満面の笑みで試合を振り返ります。シオノギの選手たちも、地元に勝利を届けることが出来てこの素敵な笑顔です!
敗れはしましたが、好守に溌剌と最後まで面白い試合を魅せてくれた東海理化。「試合中盤で一気に差を広げられる展開が多かった昨シーズンに比べ、粘り強い試合をしてくれたことは収穫です。多くの投手をマウンドに上げることが出来た展開も今後に活きてくると思います。」と中西監督も開幕戦で得た収穫を話してくれました。
JDリーグは身近な街にもやってくる!
雨天順延となった4月17日(月)は、伊予銀行が東海理化を下して今シーズン初勝利!地元の声援で勢いに乗ったシオノギがSGHに競り勝って開幕2連勝となりました。
6月12日まで続くJDリーグ2023の前半戦、次節は4月22日~24日に神奈川県秦野市、埼玉県さいたま市、岡山県倉敷市、愛知県豊田市で17試合が行われます。
笑顔あふれる選手たちの熱いプレーは、皆さんのお住まいの近くでも開催されます。今年は是非JDリーグの観戦に行ってみませんか?
Journal-ONEは今シーズンも女子ソフトボールと地域の皆さんの素敵な笑顔をフィーチャーしていきますのでお楽しみに!