TwitterFacebookLinePinterestLinkedIn

”天下分け目” の決戦・関ヶ原の戦いの舞台となった美濃国(岐阜県)で行われた、女子ソフトボール世界最高峰リーグ “JD.LEAGUE(JDリーグ)” の東西地区対抗交流戦シリーズ。

「天下分け目の岐阜決戦・前編」レポートに続き、5月28日に大垣市(大垣市北公園野球場)に繰り広げられた熱戦の後半戦を、各チームの “名将“ に焦点を当ててレポートします。

東軍・下野国 vs 西軍・近江国

第3試合は、ホンダ リヴェルタ(栃木県真岡市)と日本精工ブレイブベアリーズ(滋賀県湖南市)の対戦です。昨シーズンはリーグ4位ながらプレーオフに進出。1勝を挙げた勢いをそのままに、今年もここまで8勝2敗の2位と好位置に付けるリヴェルタと、同リーグ7位、今年も2勝8敗で7位と巻き返しをはかりたいブレイブベアリーズの対戦です。

好調リヴェルタを今年から率いるのは、加藤 一秀監督です。男子ソフトボールで活躍した加藤監督ですが、実は昨年までリヴェルタのコーチをされていたのです。選手のことを良く分かっている新監督での下、選手たちも落ち着いた様子で試合前のアップに臨んでいます。

長身で真っ黒に焼けた笑顔から溢れる白い歯。アニメに登場する爽やかなスポーツマンが実写化されたような加藤監督は、「シーズン前に良い流れは守備から作ろうと言っていたことを、選手が同調して一生懸命やってくれています。それが序盤に勝てている一番の要因ですね。」と、力を注いだ守備力の強化がチームの好調を支えていると話します。

「カーダと、フォードの両外国人投手も昨年のプレーオフ2戦を経験して、更に成長してくれている。特にビックカメラ高崎戦(5月13日の第4節)にも好投してくれて、ようやく勝つことができた。この勝ちもチームに良い流れを作ってくれています。」と、アメリカが誇る両エースの獅子奮迅の活躍に目を細めます。

一方、昨年の東地区首位打者(打率.405)、本塁打10本と打点27はいずれも東地区2位。今シーズン、三冠王に最も近い選手と注目をされている塚本 蛍選手が、波に乗り切れていないことを聞くと、「塚本は、もう戻ってきますよ。練習を見ていても状態はずっと良いんです。あとはちょっとした切っ掛けだけですから、昨年以上の塚本が見られますよ。」と断言していました。

リヴェルタ先発のAlly Carda(アリー・カーダ)投手は、東京2020銀メダリストで、昨年アメリカで開催されたWorld Gamesでもアメリカの金メダル獲得に貢献した選手です。

この名投手をどう攻略するのか?注目のブレイブベアリーズ打線が、初回から “先制攻撃” を仕掛けます。1死から髙原 侑里選手が二遊間に鋭い打球を放って出塁すると、3番の沢 柚妃選手もレフト前へ弾き返して1、2塁と先制のチャンスを作ります。

しかし、国際大会で多くの修羅場をくぐり抜けているカーダ投手は動じません。続く打者を打ち取り、無失点に抑えます。

“戻ってきた” 主砲が火を噴く!

その裏、リヴェルタも攻め返します。先頭の大川 茉由選手が内野安打で出塁すると、2番・下村 歩実選手も “スラップ” というソフトボール特有の打法で内野安打!

1死1、3塁とチャンスを広げ、打席に入るのは “戻ってくる” と加藤監督が予言した4番の塚本 蛍選手です。

「今までは、結果を求めてしまっていた自分がいたので、先ずはしっかりミートをしていこうと打席に入りました。」と試合後に話してくれた塚本選手。ともすれば打ち上げてしまうであろう浮き上がる速球をしっかりと上から叩いたボールは、あっという間に左中間のフェンスを越えていきました!

先制点を奪って喜びに沸くリヴェルタベンチに戻ると、メジャーリーグ(MLB)のロサンゼルス・エンゼルスで話題となっている、大谷 翔平選手やMike Trout(マイク・トラウト)選手らが本塁打を放った後に見せる “兜パフォーマンス” でニッコリ。

予言的中の加藤監督も、3塁コーチャーズボックスから嬉しそうに手を叩いて祝福していました。

これで主導権を握ったリヴェルタかと思われましたが、ブレイブベアリーズも簡単には引き下がりません。1死から𠮷田 樹理選手、弓納持(ゆみなもち)あみ選手、黒木 美佳選手の下位打線3人で満塁のチャンスを作って上位打線に繋ぎます。

2イニング続けてランナーを背負う苦しい展開のカーダ投手ですが、ここから緩急を使ったピッチングでまたもやピンチを切り抜けます。

すると2回裏2死からリヴェルタ打線が爆発します。3番・大工谷 真波選手、4番・塚本選手の連続タイムリーに加藤監督のぐるぐる回す右腕も忙しそうです。さらに1、3塁とすると、6番の木村 愛選手がスリーランホームラン!一挙に5点を奪う “電光石火の連続安打” に試合の大勢が決しました。

TwitterFacebookLinePinterestLinkedIn