柔道の総本山・講道館が初めて企画した朝稽古、世界中の柔道家たちが憧れる畳で稽古をする初心者の筆者・矢澤昌之(講道館大道場にて)-Journal-ONE撮影
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突然訪れたチャレンジの機会

人間、幾つになっても新しいことにチャレンジしたい!でも、年を重ねるごとにその意欲やきっかけが少なくなってきます。「ご縁とタイミングってあるんだなぁ。」とつぶやきながら、柔道衣に袖を通した稽古初日の朝7時前。

日本のお家芸として、先のオリンピック・東京大会でも金メダル9個を含む12個のメダルを獲得。コロナ禍で沈んでいた私たちに大きな感動と夢を与えてくれた柔道ですが、まさか自分が柔道の聖地・講道館で柔道をすることになろうとは思ってもみませんでした。

今回の企画はある会議で、「矢澤さん。今度、講道館で未経験でも参加いただける朝稽古を始めることになったんですよ。是非、取材に来て下さい。」と講道館 国際部の仮屋 力さんに教えていただいたことに始まりました。柔道の総本山・講道館が初めて企画した朝稽古、体験取材を提案していただいた仮屋力先生は六段の紅白帯を締める(講道館大道場にて)-Journal-ONE撮影

同席されていた、講道館第5代館長の上村 春樹さんからも、「是非、(取材に)来て下さい。」とお誘いをいただき、直ぐに講道館ホームページから申し込みを完了!新たなチャレンジを得た何とも言えない高揚感と共に、「本当にできるんだろうか?」と不安も感じながら東京・春日にある、講道館国際柔道センターの4階にやって来たのです。柔道の総本山・講道館が初めて企画した朝稽古に毎日指導に来られていた上村春樹館長(講道館大道場にて)-Journal-ONE撮影

世界中の柔道家たちの憧れの地に立つ!

“本家” “聖地” “発祥の地”と聞いて、皆さんはどんなことを想像しますか?柔道の創始者・嘉納治五郎師範の銅像と発祥の地・講道館の看板-Journal-ONE撮影

自分の仕事や趣味、食べ物などにもそのルーツがあり、そのルーツを訪れること自体が観光となっているケースも多く見かけられます。有名アーティストの生家、人気アニメのシーンで出てきた土地巡りなど、誰もが一度は何かしらのルーツへ足を運んだことがあるのではないでしょうか。

柔道の “発祥の地” 講道館も、日本の柔道家はもちろん、世界207カ国の柔道家の憧れの場所。特に、数多のオリンピック選手が修行した、7階にある “大道場” で修行するために1年に何回も日本に足を運んでくる海外の柔道家も多くいる “柔道の聖地” です。海外からの修行者の中には大道場に立てることに感動して涙を流される方もいらっしゃるのだとか。そこで素人が柔道をするなんて・・・ 野球でいえば “素人がいきなり甲子園のマウンドから投げる”、演劇でいえば “素人がいきなりブロードウェイの舞台で演じる” といったところです。世界中から柔道家が稽古に訪れる憧れの地、柔道の総本山・講道館にある大道場-Journal-ONE撮影

しかし、ここ講道館国際柔道センターは誰でも入ることの出来る、非常に寛容な施設なんです。詳しくは、Journal-ONEで紹介した『世界中から人々が集まる “柔道の聖地” ~ 講道館(東京)』の記事を読んでいただければ、その理由が分かります。

緊張感と高揚感が入り交じる初日の集合

大道場に集まった、朝稽古の参加者はおよそ80名。この後7日間、色々な参加者が出たり入ったりしていましたが、延べ参加者数は約600人に及んだという “朝稽古”。毎朝7時から8時30分に行われたこの取り組みは、「学生の方や会社勤めの方でも始業前に参加ができますので、ジョギング感覚で汗を流して爽快な1日の始まりにしてもらえれば。(仮屋さん)」との思い通り、スーツを着た方も多く参加されていました。柔道の総本山・講道館が初めて企画した初心者も参加できる朝稽古に参加した人たちと先生方(講道館大道場にて)-Journal-ONE撮影

大道場に足を踏み入れた初日、「オリンピックの開会式のような国際色豊かな人たちが集まったなぁ」と思うほど様々な国の方が参加しています。最近、街には多くのインバウンド(訪日外国人観光客)の皆さんを見かけるようになり、以前よりも世界が身近に感じるようになってきた日本ですが、ここ講道館は、更に国際色豊かです。柔道の総本山・講道館が初めて企画した朝稽古に参加した国際色豊かな参加者たち(講道館大道場にて)-Journal-ONE撮影

しかも、小学生の子どもからご年配の方まで年齢層も幅広い!女性の柔道家も3割くらいはいるでしょうか。それぞれが、朝稽古を前にストレッチなどの準備をしています。柔道の総本山・講道館が初めて企画した朝稽古の参加者には女性も多く(講道館大道場にて)-Journal-ONE撮影

「おはようございます。いよいよ始まりますね。頑張って!」と笑顔で声を掛けていただいたのは上村館長です。ご挨拶をしていると、次々と外国人柔道家が集まってきて、上村館長に挨拶をしています。

稽古前に記念撮影をお願いする柔道家もいて(この後、7日間毎日記念撮影を求められていました)、やはりオリンピック・モントリオール大会の金メダリスト、上村館長の人気は絶大です。柔道の総本山・講道館が初めて企画した朝稽古には上村春樹館長との記念撮影を摂る外国人柔道家の姿も(講道館大道場にて)-Journal-ONE撮影

私が体験した第1回講道館朝稽古は、体験、技、形、乱取と経験や気分に合わせた4つのコースに分かれていて、“都合の良い日だけ参加OK” “途中からの参加、コースの移動、退出OK” という、個々の都合にも配慮されたプログラム。参加費は無料で、私のような初心者には柔道衣も貸していただけるんです!稽古後はシャワーを浴びることもできますので、会社の出勤時間前にその日の体調と相談しながら、無理なく体験できる素晴らしい仕組みとなっています。

エジプトから工場実習で来日しているというムスタバさんは、「柔道は少しだけエジプトで体験したことはあるけど、日本にいる間にどうしても聖地・講道館で柔道を習いたかったんだ!」と興奮気味に話します。

一見、柔道には縁遠いように見える華奢な女性は、「職場のお友達に誘われたんですよ。」と黒帯の参加者が集まっている集団を指差します。「運動をしていないので不安ですが、怪我しないように楽しみたいです。」と目を輝かせて話してくれました。柔道の総本山・講道館が初めて企画した朝稽古、初日に集まった初心者4人と有川有貴先生、藤中拓馬先生(講道館大道場にて)-Journal-ONE撮影

そして、この後の7日間全てを共にした唯一の初心者、加賀さんも初日を迎えた期待と不安を話してくれます。「前から柔道をやってみたいと思って、様々な道場を検索していたんです。でも、初心者には難しいかなぁと諦めていたら、まさか総本山の講道館がこういった取り組みをすると知り、間髪入れずに申し込みました。ただ、身体がついていけるかですよね(笑)。」柔道の総本山・講道館が初めて企画した朝稽古、7日間を共にした加賀ん(講道館大道場にて)-Journal-ONE撮影

他にも、近くの東京大学に通う女性は「学校の行き帰りに通るので、ここが講道館だということは知っていました。いつも小学生たちが楽しそうに入っていく姿を見て気になっていたんですが、この朝稽古参加者募集のポスターを見て “これならやってみようかな” と思って参加しました。」と、人気コミック『柔道部物語(小林まこと作)』を配したフレンドリーなポスターが参加の決め手になったことを教えてくれました。

2人の先生が丁寧に指導

「この度は、ご参加いただき本当に有り難うございます!」と、爽やかな笑顔で私たちを迎えていただいたのは、有川 勇貴(六段)先生です、有川先生は、講道館大阪国際柔道センターを中心に活動されている先生。朝稽古が始まる直前まで、スロベニアへ指導に行かれていたとのこと!そんなお忙しい先生に教えていただくなんて・・・と恐縮しています。柔道の総本山・講道館が初めて企画した朝稽古、初心者指導をする有川勇貴先生は六段の紅白帯を締める(講道館大道場にて)-Journal-ONE撮影

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