その後同点に追いつかれ1-1と再び膠着状態になった6回には、2死から4番の山科 真里奈選手が粘って四球を選びます。加藤監督が話した”何かが足りない” と取り組んだチャンスメイクをしっかり果たし、5番のエリカ選手に繋ぎます。
「第1打席でも良い感触でボールを捉えていました。少しスイングのタイミングが早かったので、そこを修正することを心がけて打席に入りました。」と話したエリカ選手。修正して振り抜いたバットからボールをクラッシュする大きな音が響くと、打球はあっという間にセンターの頭上を飛び越えるツーランホームラン! 2死ランナー無しという苦しい場面から2点を奪い勝ち越せるリーグ屈指の攻撃力に、ここまで力投を見せてきた黒木投手もマウンド上で苦笑いするしかありませんでした。
試合後、「打ったのはスロードロップでした。チームに勢いを付ける良い場面でホームランを打てて良かったです。」と話してくれたエリカ選手。「黒木投手とは対戦することが多く、とても良い投手である彼女との対戦を毎回楽しみにしているんです。」と、ライバルとの緊張感ある対決を心から楽しんでいることを教えてくれます。
前の試合でもホームランを放つなど夏場以降の打撃は絶好調! その理由を聞くと、今夏に欧州(イタリア、スペイン、アイルランド)で開催された “第17回ワールドカップ(以下、ソフトW杯)グループステージC” での経験が活きているとのこと。
「イタリア代表の一員として、世界中のハイレベルのチームと母国・イタリアで戦えたことがとても良い経験になりました。家族や友だちからの応援を受けプレーできたことも、とてもエキサイティングでテンションがあがりました。戦う姿を観てもらえて本当に嬉しかったです。」と、母国で得た貴重な経験を話してくれました。
また、このソフトW杯グループステージで打率.500、4盗塁と大活躍し、日本代表のグループステージ1位通過に貢献した中川選手も、その経験を活かした俊足好打を披露。7回にこの日2本目のヒットで出塁すると、二盗、三盗と立て続けに盗塁を決めてダメ押しとなる4得点目のホームを踏む活躍を見せました。
プレーオフ進出に向けては、「多くのみなさんに試合を観に来て欲しいですね。皆さんの声援が力になるんです。」と話すエリカ選手。これから益々熱くなるギャラクシースターズとエリカ選手の打撃は是非とも生で観戦して欲しいところです。
銀河系投手陣にも注目!
強力な打撃陣に目が向きがちなギャラクシースターズですが、投手陣も負けてはいません。
後半戦からチームに合流した、キャスリン選手は昨年の8月に日米対抗ソフトボール2022で初来日を果たし、ギャラクシースターズの選手として2度目の来日。9月が新年度スタートとなるアメリカから見れば “2シーズンぶり” の来日になります。
「3日前に来日し、チームのバスと一緒に松山に来ました。」と、スタンドでギャラクシースターズのユニフォームを着て応援していたColin Sandercock(コリン・サンダーコック)さん。キャスリン選手のお父さんです! がんに対する免疫療法に関する会社の上席副社長を務めているコリンさんは、大阪や東京などへの来日経験は豊富ですが、松山は初めてとのこと。「京都からの道中、大きな橋(瀬戸大橋)を渡ったり、綺麗な山々を眺めたりと日本の車窓を楽しみました。」と話します。
キャスリン投手が日本でプレーをすることについては、「アメリカのプロリーグとは違ったソフトボールを体験することはとても良いことです。アメリカで一緒にプレーしたこともあるエリカ選手が同じチームに所属していることも心強いですね。」と、キャスリン選手の選んだ道が良い選択であるとコリンさん。「来シーズンの開幕に合わせて、妻を連れてまた来日しようと思います。京都という素晴らしいホームタウンで活動するギャラクシースターズですので、家族で京都の美しい桜を楽しみたいですね。」とニッコリ。試合後には親子で、球場前に並んだキッチンカーで松山のご当地グルメを楽しんでいました。
ヴェールズ戦に先発したキャスリン投手は、得意のドロップが冴え渡り3回1死まで走者を1人も出さないパーフェクトピンチングを披露。4回には味方の送球ミスで1点を献上しましたが、被安打2、奪三振6の完投勝利! 「今日は得意のドロップボールを使って良いピッチングができました。」と嬉しそうに好投を振り返ります。
「日本でのプレーをとても楽しんでいます。日常の練習や生活はもちろんですが、遠征の途中で観る景色など素晴らしい体験ばかり。JDリーグで、今までと違ったタイプの選手たちとの対戦するのも楽しみです。」と、日本のソフトボールと生活の感想を教えてくれました。日本食も美味しいと話すキャスリン投手のお気に入りは “おにぎり”。一緒にインタビューしたエリカ選手が、「ラーメンも美味しくて好き!」と聞くと笑顔で頷いていました。